2005年03月29日
第84幕 メジャー人生初の開幕投手
苦節11年。ホセ・リマが12年目にして初めて開幕投手に選ばれた。「なにしろ、生涯初のことだからね」と喜びを隠し切れないが、対戦相手が94年にメジャーデビューを果たし、02年にはシーズン途中で解雇された、因縁のデトロイト・タイガース。それだけに複雑な気持ちもあるようだ。
チームに明るさをもたらしたリマ。左はペーニャ監督
昨年在籍していたドジャースでは13勝5敗。プレーオフでもカージナルスを相手に完封劇を演じるなどの活躍を見せた。フリーエージェントになった昨年オフ、数球団から誘いがあったが、敢えてリマが選んだのはおせじにもAクラスが狙えるとは言えないロイヤルズだった。02年にデトロイトを解雇され、03年を迎えてもどのチームからも声がかからず、独立リーグでプレーしていた時に声をかけてくれたのが、ロイヤルズだったから、恩義を感じていたのだろう。
だが、それとて、ロイヤルズ傘下3Aのオマハとの契約だった。ところが3Aで登板することになっていた前日の夜中に電話があって「明日投げるのはメジャーでだ」と言われた。忘れもしない、その日は「父の日」だった。リマはドミニカ共和国の父を思った。子供のころから野球には興味を示さず、音楽の道に走っていたリマに野球を教えたのが父だった。父の日のプレゼントとして最高のものになった。
2本指の握手は「ラブとピースを表す」と少年に言う
「お金が欲しければ歌なんかやめて野球をしろ」と野球の道に促したのもその父だった。音楽を選びたかった当時はそれが不満で仕方なかった。が、こうしてメジャーリーガーになり、ここまでを振り返ってみて、つくづく父の言うことを聞いていてよかったと思っている。とはいえ、音楽をあきらめたわけではない。オフには自分のバンドで演奏活動を行い、歌手の弟のためにも曲を書いている。
「音楽は好きだったけど、野球は嫌いだった。今でもそうだけど、野球は仕事、音楽は好きなこと」。こんな割り切りかたをしているが、リマの人生と音楽は切っても切り離せない。ウエイト・トレーニングでは、自分で作った曲を聴きながら体を動かしているし、クラブハウスにもメレンゲが流れている。「彼はのりがいいし人を楽しませるタイプだから、チーム全体が明るく、楽しくなったよ」とペーニャ監督は言う。
ペーニャ監督は「チーム内で彼がもっとも多くの経験を積んでいて、ずっといいピッチングをしていたから」とリマを開幕投手に選んだ理由を述べている。メジャー人生初という重責を担ったリマが「人を楽しませ、チーム全体を明るく、楽しくする」ようなピッチングを披露してくれるのだろうか。4月4日。開幕のその日はもう目の前に迫っている。
March 29, 2005 10:33 AM | トラックバック (0)
