鷹番日記

2007年10月30日

小久保が決めた「覚悟」:押谷謙爾

 「なあ、覚悟ってどういう意味なんやろ? イメージはあるけど、言葉の意味、説明できる?」。

 シーズン終盤のある日、福岡ヤフードーム一塁側ベンチ前でストレッチをしていた小久保に聞かれた。恥ずかしながらとっさに返答できず、記者室でパソコンを取って戻ってきた。yahoo!辞書(http://dic.yahoo.co.jp)で検索した画面を見せると、意味の第1項に見入っていた。

 「危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすること」。

 その部分を熟読した小久保は「「野村語録にも『覚悟に勝る決断なし』って書いてある。奥の深い言葉やな」とつぶやいた。覚悟を決め、逆転優勝を目指したホークス復帰1年目のシーズンは3位で終わった。

 そして。米ロサンゼルスで10月30日(日本時間同31日)、シーズン終盤痛みに苦しんだ左手首の手術を受ける。「手術をするにあたり、来シーズンを視野に入れ、将来的な事も考慮し、前に進む為にも決断致しました」。小久保は球団を通じてコメントを発表し、自身のサイトでも人生6度目の手術について「決断」のタイトルで心境を記している。今後の野球人生をかけて、オペを決めた。

 パソコン画面を見つめていたあの日、すでに左手首は痛みを叫び始めていた。今回、術後から現場復帰までは4カ月を要することが見込まれるが「それを受けとめる心構え」をした。宮崎・秋季キャンプは第1クールが終了。そして、太平洋の向こうでは「覚悟」を決めた男がプロ15年目への戦いを始めた。

October 30, 2007 10:12 PM 投稿者:押谷謙爾 | トラックバック (1)

2007年10月24日

王監督の決意をどう受け止めるか:中村泰三

 日本シリーズが開幕する10月27日に、ソフトバンクは宮崎で、08年シーズンに向けた秋季キャンプをスタートさせる。4年連続のV逸。04、05年はレギュラーシーズンは1位で通過しながら、プレーオフで敗れた。ただ、昨年、今季は2年連続シーズン3位。明らかに「優勝」から遠のいた。王監督はその現実をしっかりと受け止め、今秋から選手の意識改革を求め、従来のパワーベースボールに得点効率を高めたスモール野球を再導入する。

 23日には来季1、2軍コーチングスタッフが発表された。ともに昨年と全く同じ顔触れ。現場の首脳陣、背広組のフロントもだれ1人、責任を取ることなく、5年ぶりのV奪還を目指し、ソフトバンクは動き始めた。昨年と1つ違うのは、王監督が10日のクライマックスシリーズ第1ステージ終了後、選手ミーティングで「来季はラストのつもりでやる」と、自らの退路を断った点だ。

 一流選手の複数年契約が定着している現代で、王監督は一環して単年契約主義者だ。複数年による甘え、妥協、気の緩みを嫌う。そんな王監督も孫オーナーからは「永久監督」という言葉を投げ掛けられる。結果が出なければ来季はないという1年契約とは、相反する保証。ミーティング以降、来季限りの勇退を公で認めない王監督は「決意めいたものが必要だった」とオーナー報告で表現した。来季にかける思いを球団、選手たちに明確に示したかったのだろう。

 来季の結果、王監督の去就は神のみぞ知る。ただ、王監督の決意を周囲はどう受け止めるのだろう。主砲松中は06年から7年契約を交わした。その06年からチームはシーズン1位を逃し、松中自身も過去の冠がウソのように、打撃は低迷している。ダイエー時代の過去には柴原が複数年契約を自ら解除し、減俸を申し出た例もある。王監督のラストイヤーになるかもしれない来季、美辞麗句はもはや必要ない。甘えや妥協を断つのは、己の決意にほかならない。

October 24, 2007 08:47 PM 投稿者:中村泰三 | トラックバック (5)

2007年10月16日

なんだかスマートすぎる:梅根麻紀

 クライマックスシリーズが早く終わってしまって寂しいことで。

 自宅に戻って千葉マリンスタジアムに取材に行ってた期間の折り込みチラシを見るとなお寂しい。「クライマックス応援セール」、「優勝応援セール」など。飲食店からパチンコ店までソフトバンクを応援。まあ、便乗応援ってトコもあるんだろうけど。

 私はチームの人間ではないから本当の雰囲気は分からないけど、はたから見てて正直「ロッテ勝つなあ、たぶん」って思った。コメンテーターや野球評論家の方々も今年はいちように辛口コメントが多かったなあ。

 今年一番耳にした言葉は「チームがまとまってない」だったような気がする。「戦力がまとまってない」とは違う。千葉でのクライマックスシリーズでわたしはネット裏で撮影していたが第3戦目の8回くらいにベンチを見ていてボンヤリ「チームがまとまってない」という言葉を思い出した。

 プロ野球ってホント短く生きようと思えばカンタン。そんな選手はおらんだろうが。でも長く生きようって思っても必要としてもらわなければそれはかなわない。

 最近、なんだかスマートすぎる。選手から言わせれば「アンタは野球やってないから黙ってろ」って感じかもしんないけど。コメントにしたって「記録は気にしてません」、オフになれば「お金じゃないです、評価です」などなど。

 世間体もあるんだろうけどなんか見てくれ気にしすぎ。泥臭くない。

 変にかしこすぎて「真っ直ぐさ」が伝わってこない。

 人の熱意って、年齢も職種も人種も超える。今年はプレーしてる選手よりコーチ陣の熱意と焦りが伝わってきた。ブルペンに電話をかける杉本投手コーチなんて特に精神削られたはずだ。

 去年もこんな感じのブログ書いたなあ。嫌われてんだろうな。

 来年は「やったね!優勝しちゃったね」なんて冒頭から書きたいもんだ。

October 16, 2007 06:14 PM 投稿者:梅根麻紀 | トラックバック (2)

2007年10月08日

最後の最後で切り替えてくれ:進 尚幸

 今日はCS第1ステージの初戦。負けちゃいましたね…。しかも今シーズンのソフトバンクの負けっぷりを象徴するかのような負け方。追いつかれて引き離せず、そのままズルズルと…。気が付けば大量失点。う~ん、後半戦の流れがそのままですな。

 帰りのバスに乗り込む前に王監督が言った「明日はまた切りかえていかないとね」。この言葉、今シーズン何度聞いたことか。もちろん原稿でもたくさん読んだね。千葉マリンで吹いた風速12メートルの風は、ソフトバンクの追い風とはならなかった。


 9日負ければソフトバンクの今シーズンは終了する。最後の最後での「切りかえ」を見せてほしいなあ。

cs_1_a.jpg

cs_1_b.jpg




















October 8, 2007 10:50 PM 投稿者:進 尚幸 | トラックバック (1)

2007年10月02日

オリックス水口の引退に思う:石田泰隆

 2日の試合後、試合のあった京セラドーム大阪でオリックス水口選手の引退セレモニーが行われた。プロ生活17年で通算1561試合に出場し、通算打率2割6分9厘、53本塁打、417打点の成績を残し、一線から身を引いた。リストの柔らかな打撃、打球の方向を読んだ巧みな守備は、多くのプロ野球ファンに強い印象を残した。

 プロ野球担当記者になって4年。こういう現場に居合わせたのは、今回が初めてだった。試合後の取材があったため、引退セレモニーは当然ながら最後まで見ることはできなかったが、ファンの前に立ち、自分の言葉で「引退」を伝えられる選手というのは、本当に限られた選手だけだ。ファンの惜しみない拍手の中、引退スピーチで涙を流していた水口選手を見て、改めてそう感じた。

 明日3日は、高校生ドラフトが行われる。新たな選手が入団してくるということは、退団しなければならない選手も必ず出る。そのほとんどが自らの決断ではなく、球団から「解雇」という形で球界を去らなければならない。「自分で引退を決められる選手というのは、本当にひと握りなんだよ。だれもがそうできることじゃない。それが嫌なら、自分が頑張るしかない。要は自分次第ってこと」。現役時代、歴代13位の437本塁打を残した秋山総合コーチの言葉だけに、重みがある。

October 2, 2007 10:35 PM 投稿者:石田泰隆 | トラックバック (0)