鷹番日記

2006年04月24日

やはりルーキーだった:中村泰三

 やっと出た。ルーキー松田に待望のプロ初アーチが飛び出した。開幕から87打席目での1発。試合中に広報から発表されたコメントは「何も覚えてません」。鈴木広報に聞くと、本当に興奮していたそうだ。

 これまで、どんなに打てなくても「大丈夫です。調子は上がってます」と強がってきたが、この日の挙動はルーキーらしかった。ハイタッチを終えてベンチに入った松田は何をしていいのか分からない。そのまま自分のイスにどっしりと腰を下ろせばいいものを、1度、ベンチ裏に下がりかけ、ミラー室をのぞき、またベンチへ…。目的もなくさまよっていたそうだ。

 記念のホームランボールは打撃用手袋と交換で、ファンから譲り受けた。ただ、松田の興奮ぶりに鈴木広報はすぐに手渡さなかった。「すぐに渡すとスタンドに投げ込むと思ったんで」(鈴木広報)。ヒーローインタビュー後、2個のサインボールをスタンドに投げ込むのが通例。勝手が分からない松田には「外野と内野で1球ずつ」と説明したが、松田はどう見ても平常心ではない。予想通り? 外野に2個とも投げ込んできたという。一連の儀式を終えた後に、松田はメモリアルボールを受け取った。

 そんな松田だが、最後は冷静だった。ヒーローインタビューを終えると、先輩たちを待たせまいと、足早にバスに乗り込んだ。

April 24, 2006 08:11 PM 投稿者:中村泰三 | トラックバック (2)

2006年04月17日

ムネリン復帰がカンフル剤:石田泰隆

 プロ野球史上初の延長12回ノーヒットノーラン負けに2試合連続完封負け、25イニング連続無得点…。開幕から想像以上に苦しむチームを、あの男はどう感じているんだろう。

 国・地域別対抗戦ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で本塁クロスプレーの際、利き腕の右ひじを強打し、開幕1軍メンバー漏れ。現在、2軍で調整を続けるムネリンこと川崎選手だ。

 川崎 どう表現するのが的確か分からないけど、みんなちょっと元気がないかなと。投手の方も野手の方も頑張っているんですけどね。それが結果として結び付かない。その中に自分がいれないことが悔しい。焦っても仕方がないことは分かっているけど、正直、悔しいですよ。自分がいればどうこうできるというわけではないんですけど、早くチームに戻ってチームのために仕事をしたい。

 4月7日の2軍戦で実戦復帰。DHでの出場だったが、右ひじのケガを感じさせない力強いスイングを王監督の前で披露した。翌8日には今季初安打もマーク。並行するように送球の練習もこなし、今では遊撃の定位置から一塁までしっかり送球できるようにまで回復した。あとは、実戦の中で感覚を取り戻すまでに差し掛かっている。

 2軍は17日から北神戸へと遠征に向かい、18日からサーパスと3連戦が組まれている。川崎はこの3連戦で遊撃手として出場を目指しており、実戦感覚を取り戻した上で、1軍が関西遠征となる21日からの合流を目指している。

 川崎 何とか間に合えばね。自分の中でも早く上(1軍)に上がれればと思っている。けがの状態もほとんど悪くないし、自分ではいけると思う。あとは王監督のOKを待つだけ。チームの状態もこんな具合だし、いつ呼ばれてもいいように準備は整えておきます。

 王監督は川崎の今後の野球人生も考慮し、慎重に慎重を重ねた上での1軍昇格を計画しているが、川崎ははやる気持ちを抑えきれない様子で話した。勢いを失いかけているチームにいま一番必要なものは、ムネリンのような元気あふれる選手だろう。川崎もきっとそのことを自覚しているはずだ。【ソフトバンク担当=石田泰隆】

April 17, 2006 08:06 PM 投稿者:石田泰隆 | トラックバック (5)

2006年04月10日

出てこいポスト城島:中村泰三

 もがき、苦しむソフトバンクとは対照的に、西武が快調だ。新生チームの象徴として高校生ルーキーの炭谷が、よく取り上げられる。高卒1年目の開幕スタメンだけでも驚きだが、経験が重要とされる捕手だから余計に周囲も反応する。「伊東監督ならではの起用。自分の通ってきた道だからね。われわれではできない」と王監督も驚きを隠せなかった。3月29日の北九州市民球場での試合では、この炭谷にプロ初本塁打を満塁で許し、さらにもう1本、打たれた。

 こうなると比較される。ソフトバンクの高校生ドラフト1位、荒川だ。「炭谷の方が良かった」「炭谷は取れなかったのか」とか外野では論議が活発になる。結果がすべてのプロ野球。1軍で結果を残している炭谷が現時点では確かに上だが、現時点がすべてでないことも確かだと思う。

 今年の宮崎キャンプ。B組の練習を見ていた1軍の簑原マネージャーが、ふと漏らした。「肩と守りに関しては、荒川は城島が入ったときより上。これははっきり言える」。簑原マネージャーは城島が入団した当時、2軍マネージャーとしてそのプレーを毎日、見ていた。高校生はその素材を獲得する。チーム事情により、1軍で起用しながら育てる、という方針もあるだろうが、基本的には育てて、使うだ。

 今ではメジャー初の日本人捕手という代名詞を得た城島だが、ホークスでレギュラーをつかむまで3年を要した。王監督が中途半端な考えは捨て、2軍の指定強化選手として、徹底的に育てることを決断したからだ。入団前には将来的に三塁手に転向させるという考えも一部にあった。2軍での下積みがなければ、たとえメジャーに移籍したとしても、違う形だったかもしれない。

 王監督は「将来的に井手や松田、荒川がクリーンアップを打ち、その前後を城所が打つ」という構想も持っている。荒川が順調に育つか、炭谷との差が開く一方か、今はだれも判断できない。雁の巣で汗を流す選手たちをときには長く、ときには厳しく見守りたい。

April 10, 2006 06:49 PM 投稿者:中村泰三 | トラックバック (2)

2006年04月02日

消えた松田スマイル:石田泰隆

 シーズンが開幕してもう1週間が経った。ホークスは開幕戦からロッテ、西武といきなり強豪チームとの対戦となったが、この5連戦を4勝1敗。次の楽天3連戦も2勝1敗で勝ち越すなど、開幕から3カード連続勝ち越しを決めた。

 今年、王監督が掲げる「つなぎの野球」。さっそく開幕戦から披露したかと思えば、続く2戦目は大村、松中、ズレータが3本の本塁打で競演。小技、大技を絡めた、まさに「06年型」の野球を披露し、懸念された城島の穴を全員でカバーして勝利をつかんだ。

 その中で1人、プロの壁にもがいている男がいる。希望枠ルーキーの松田宣浩内野手(22=亜大)だ、東都大学リーグでは通算15本塁打を放ち、大学球界最強スラッガーと期待されて入団。だが開幕から8試合、安打は出るが、待望の1発が出ていない。そのせいか、松田の表情から笑顔が消えた気がしてならない。

 3月29日の西武戦(北九州)。自分の目の前で高卒ルーキーの西武炭谷が満塁本塁打を放ち、先を越された。しかも1試合2発のおまけ付き。さらに3月31日はセ・リーグも開幕。こちらも同じくヤクルトの希望枠ルーキー武内が本塁打をマークするなど、遅れをとってしまった。松田は「焦りじゃないけど、早く1本打ちたい。と言うか、打たなければならないと思っている。1本出れば、回りの見方も変わってくるはず。だから早い段階で1本ね。調子は悪くないので」と上り調子を強調した。

 4日から東京ドームで日本ハム3連戦を控える。この球場は福岡ドームに比べて狭く、比較的、本塁打が出やすい球場として有名だ。地元福岡のファンの前でゆう然とダイヤモンドを1周する姿も見てみたいが、それよりも、1日でも早く「松田スマイル」が戻る日を心待ちにしている。
【石田泰隆】

April 2, 2006 10:55 PM 投稿者:石田泰隆 | トラックバック (2)