鷹番日記

2006年05月23日

極め続けた技の重み:中村泰三

 米大リーグ、ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手(41)が歴代2位ベーブ・ルース(元ヤンキース)に並ぶ通算714号本塁打を20日(日本時間21日)に放った。翌日の日刊スポーツの記事を読めば、敵地アスレチックスの球場では、ファンが約2分間、立ち上がって拍手を送るスタンディングオベーションで祝福したが、その中にはブーイングも混じっていたようだ。ボンズの薬物疑惑に対する非難が、そこにある。

 WBCで米国に滞在中、王監督を取材する米メディアは事あるごとに、ボンズの薬物疑惑について質問を浴びせた。「偉大な本塁打記録が、薬物を使用した選手に塗り替えられることをあなたはどう思うか?」。言い回しは違えども、何度となく繰り返された問いに、王監督は嫌な顔を見せずに、答えた。現役時代、868本塁打の世界記録を作った王監督は、純粋に本塁打の本数を評価する。

 王監督 彼が禁止薬物を使用したかどうか、私には分からないが、仮に本当にしようしたとしても、当時は禁止されていなかったんだから。薬物を使えばだれでも本塁打が打てるわけじゃないし、それにはやはり技術が必要。彼は現実に本塁打を積み重ねてきた。それは紛れもない事実だ。だれにでもできるものじゃない。本塁打記録は素直に評価されるべきだと僕は思う。今も薬物を使っているというのなら話も違うけどね。

 王監督は言う。「丸いボールを丸いバットで打つ。野球の技術に終わりはない。引退するときに初めて、その人の技術の終着点が来るんだよ」。アーチをかける技術を現役を引退するまで求め、極め続けた王監督。その足跡が868本のアーチだった。そんな王監督だからこそ、ボンズの記録を理解できる。

May 23, 2006 12:52 PM 投稿者:中村泰三

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