2007年10月05日
ファームの存在
~阪神・平田2軍監督~
ぬるま湯一掃。甘えは許さない。妥協を許さない。練習量は増えた。一年間厳しく鍛えた。その結果は出た。林は後半故障でリタイアしたが、定位置をつかむところまで成長した。途中から昇格した桜井は、一時クリーンアップの一角を担う活躍をした。投手では、上園が8勝を挙げて新人王争いをしている。渡辺もいまや戦力として欠かすことのできないリリーバーだ。いずれも1軍に定着した選手。その他にも狩野がシーズン当初大ブレークした。庄田が、坂がいい働きをした。若手だけでない。2軍で手抜きをせず、きっちり調整していた葛城が、いい場面でいい味を出している。高橋光も復帰してから持ち味を発揮している。今季のタイガース、瀕死の状態から生き返った裏には、ファームの協力があったことを忘れてはならない。
ファーム率いるは平田監督。2軍を指導するのは今季が初めて。「今年を振り返ってみますと、いい勉強をさせてもらったというのが実感ですね」と語るが、なかなかどうして、かなり厳しい練習をしてきた。山脇コーチが「練習の量、時間とも昨年より多くなりましたね。ランニングひとつにしても、使用していない外野席を利用したランニングロードを設けて走っていますし、目的意識を植え付けるために、同じ事を繰り返し繰り返しやっています」というように、例えば、ある選手のバント失敗でゲームを落としたとすると、徹底的にバント練習をさせる。まだ5月頃だったと思う。新人の野原が失敗した。「もう他の事は何もしなくていい。もういい、言うまでバントしとけ」(平田2軍監督)何んと4、5時間。右手の握力がおかしくなって、食事をする時まともに箸が握れなかったという。バント失敗がその試合をどう左右したか、勝つための目的意識を植え付けるための特訓である。
「確かに練習量は多くなったかもしれませんが、僕はこの練習が決して厳しいとは思っていません。まだ実力の無い、ファームの若手であれば当たり前だと思っています。ひとつの例を出して言い聞かせるというか、問いかけるんですよ。ヤクルトの青木はなあ、バッティング、ロングティー、バットスイングなど、キャンプなんかでは毎日、2000スイングはするらしいぞ。あの青木が2000スイングや。お前らなら何スイングしたらいいかなあって。返事はですねえ『1万本は』なんですが、果たしてそこまでやっているかどうかね。でも、そうした意識を持てるようになったということは成長している証拠ですから」
桜井について聞いてみた。「昇格のタイミングが良かった。まだ、なんとか1軍に上がりたいという強い気持ちがあった時期ですし、ウエスタンで首位打者に立つなど調子の良かった時に声をかけてもらった。ラッキーだったと思います。それと、即起用してくれた事。うまくチャンスをつかみましたね」は平田2軍監督。打つだけでスローイングを含めた守りに欠点のある若手には、どうしても声がかかりにくい。使い勝手が昇格のカギを握っている。過去5年間一度もお呼びがかからなかった理由はそこにあった。今年の昇格。私の20年余りのフロント経験から思うに、ファームからのかなり強い推薦があったに違いない。そういう意味で現在の桜井の存在は、ファーム首脳陣の大ヒット商品だったと思える。
「大和、野原らの若い選手もかなり成長しています。2、3年後を見ていて下さい」自信の同2軍監督。明治大学時代、厳しい事では定評のあった島岡御大の精神野球が身についている。不甲斐無い投手陣に3時間ぶっ通しで走らせた。平凡なミスを連発して負けた試合後の「お前ら、熱中症になるまで走っとけ」では本当に熱中症の選手が出てしまった。平田イズムは浸透している。この厳しい中から這い上がってきた選手は本物だ。
October 5, 2007 10:39 AM