2007年09月28日

ガッツマン

~サーパス・柴田亮輔内野手~

 サーパス・住友監督が大きな期待を寄せている。「技術的には、まだファームでも下の方かもしれませんが、彼の場合ハートがいい。ガッツはありますし、ハングリー精神も持っている。先のことはまだわかりませんが、ハートのいい子は楽しみですね。いま、セカンドを守って、2番を打たせていますが、鍛え甲斐のある選手だと思っています」。そう答える顔はほころんでいた。

 プロ入り2年目。柴田亮輔内野手(20)。愛知県は愛工大名電から高校生ドラフト3位でサーパスに入団。歩んできた道は、あのシアトル・マリナーズのイチローと同じ。高校時代左打ちにかえて、右投げ、左打ちのスタイルも一緒。違いといえば内野と外野のポジションか。「先輩は我々と全くレベルの違う人ですから-。確かに先輩のことをよく聞かれますが、それ以前に自分がやらないといけないことがいっぱいありますから」(柴田亮)。相手は雲の上の人。現状は自分のことで精一杯だ。

 9月25日、鳴尾浜球場で行われた阪神との練習試合。右前にヒットを放ったが、目を引いたのは4回。阪神・大和が打った中前に抜けると思われた打球をダイビングキャッチ。素早い動作で立ち直って一塁へ送球。見事アウトにしたプレーは、住友監督のいうガッツそのものだった。「いま、自分としては守りに重点を置いています。それも、簡単なゴロを確実に捕球できるように心がけています」。ゴロ捕球の基本。首脳陣に指摘されたわけではない。己で考えての実行だ。意欲のあらわれであり、一番技術が身に付く練習方法である。この気持ちを持ち続ける限り、進歩は目に見えている。

 現時点では1軍のレベルに達していないが、見通しは明るい。住友監督も選手時代ガッツが売り物だった。それだけに強い精神力を持ち備えた柴田に興味を持ったのだろう。「この秋で、グッと成長してほしいですね。これから10月には宮崎でフェニックス・リーグ(12球団の2軍戦)がありますし、11月には秋季キャンプが待っています。大いに鍛え上げてみたい選手です。そこで自信をつけてくれたら、来年が楽しみになります」。性急に結果を求めるのは酷かもしれないが、住友監督、今年1年指導してきて出した結論。もう、柴田を見抜いての方針だろう。

 今季のウエスタン・リーグの成績。95打数24安打で打率は・253。発展途上にある選手の成績だ。「2年が終わろうとしていますが、やっとバットが振れるようになりました。これからですね。課題としては左ピッチャーになると、どうしても上体が突っ込んでしまうので、体を後ろに残せるように取り組んでいます。野球は奥が深いといいますか、2番を打ったり、セカンドを守っていますと、ケースによっていろいろ状況判断しないといけませんし、なんだか野球がますますむずかしくなってきました」。柴田の話である。誰もが通る道だ。目指す1軍入り。当たり前のことを当たり前にこなせるようになれ。まずは正しい基本を身に付けることだ。

September 28, 2007 12:56 PM

2007年09月21日

復活を目指して

~ソフトバンク・山田秋親投手~

 手術に踏み切った。最近、肩、肘(ひじ)にメスを入れる選手は多くなったが、決断するまでの精神面の葛藤は大変だったと思う。右肘内側側副靭(じん)帯再建手術。昨年の3月、復活を目指して覚悟を決めた。計り知れない鍛錬が待ち受けている事は承知のうえ。その厳しい状況に直面している選手がいる。ソフトバンクホークス・山田秋親投手(29)。立命館大から、大きな期待を寄せられて入団した大物。今シーズンで7年目を迎える。大きな転機。どう切り抜けるか。注目したい。

 長期の治療だった。一度故障した体を生き返らせるためのトレーニングは並大抵の事ではない。誰も助けてくれない。自分で立ち向かって行くしかない。妥協したら負けだ。「昨年は確かに苦しかったですね。いやになったといいますか、やはり野球選手でありながら、野球ができない。ピッチャーなのにボールが投げられない。本当、つらいですね。精神的にもまいりました。もう、二度と味わいたくない体験でした」(山田)。これから、失った自信がもう一度蘇るまでの努力も必要とされる。今、苦しみのど真ん中にいる。死に物狂いで頑張らないと復活はない。

 昨年は1年間ゲームに登板することはなかった。復活を目指してひたすらリハビリに励んだ。違和感なくピッチングができるようになったのは今年の6月から。藤田ピッチングコーチに現状を聞いてみた。「もう違和感なく投げています。今、良かった頃の140キロ台後半のストレートを投げろといっても無理です。昨年、手術したばかりですし、じっくり、慌てずやっていくことが必要だと思っています。技術的にはちょっと体が開き気味で、球の切れ、コントロールとも良くないので、一時は先発していましたが、最近はリリーフで使っています」。故障再発に気を使い、辛抱強く指導していく方針だ。

 9月19日現在、山田のウエスタン・リーグの成績は、10試合に登板。2勝0敗1セーブ。防御率は3・27。数字だけを見る限り、まずまずといったところだが、投球内容は満足できないのが現状。故障あがり。当然のことだが前を向いて進んで行くしかない。一歩一歩前進するしかない。「やっと6月頃から違和感なく投げられるようになりました。今ウエスタンでは、リリーフ、先発といい体験をしています。いい時を10としたら、現在は7ぐらいですかね。でもね。良い時のピッチングができるように頑張ります」。焦りは禁物だが、山田の目は前を見つめていた。

 何事にも勇気を持って挑戦することだ。勇気は己に失いかけている自信と強さを与えてくれる。そして、今こそ、もっともっと純粋に野球を好きになれ。今は邪念を捨てて野球に集中する時だ。復活に向けた努力を惜しむな。

September 21, 2007 11:56 AM

2007年09月14日

プロのカベ

~サーパス(オリックス)・岡田貴弘選手~

 ウエスタン・リーグ、59試合に出場。204打数、49安打。打率・240。本塁打4、打点23。プロ入り2年目のサーパス(オリックス)岡田貴弘選手(19)。今季9月8日現在の成績である。履正社出身、高校時代からナニワのゴジラといわれ、ヤンキース・松井に憧れて入団。背番号55。今年は飛躍の年と期待された。キャンプでは1軍に抜擢、コリンズ監督から一塁手専任、清原の後継者とまでいわれた。結果はこの成績。伸び悩んだ。苦しい1年だったが光は見えてきた。今、上昇ムードである。

 試合前のバッティング練習を見ていると、バットがインサイドからスムースに出ている。感じはいい。私の目には好調と写った。ゲームは、サーパス1点リードで淡々と進んだ。9回だった。岡田の真価を問う場面がやってきた。阪神のマウンドにはジャンがいた。1軍でも勝ち星を挙げている投手だ。ランナー一、二塁。ジャンが投じた外角ストレート。練習時と同じように、スムースに出たバットで捕らえた打球は、左中間を完ぺきに破った。2点二塁打。勝負を決める貴重なタイムリー打。住友監督が「いまは自信を持って打っていると思いますよ」という期待の一打である。

 同監督と話をしているところへ、その岡田がやってきた。「今年はいろいろあったけど、よう頑張ったよな」。笑顔で話しかける監督。神妙に相槌を打つ岡田の、あまりに対照的な表情が、今季の2人の関係を浮き彫りにしているような気がした。「前半はねえ。だいぶ干したんですよ。ゲームでも使いませんでした。まあ、いろいろありまして」(同監督)。おそらく野球を甘く見ていたに違いない。野球に取り組む姿勢に疑問を感じたのだろうが、首脳陣の厳しい指導は、いい方向に導いた。

 岡田は「ホームラン数だけではなく、成績には全く納得していません。技術的なことだけでなく、精神面からすべてがダメでした。野球はもっと頭を使わないといけないし、かりに失敗しても根拠のあるものにしておかないと。次に進めません。そういうことがやっとわかってきました。最近になってボールとの距離が取れるようになりましたし、調子はよくなりました」と語った。今、死に物狂いでで頑張っている。その努力が報われてきた。野球に集中しろ。継続は力なり。その結果が成長につながる。

 辛抱強く、根気よく、我慢して指導してきた。力をつけてきた岡田がそこにいる。住友監督は、1軍昇格をいまから楽しみにしている。「やっと良くなってきましたね。ウエスタン・リーグはもう終わりますが、ファームにはまだ、フェニックス・リーグはありますし、秋季キャンプもある。岡田がいまのまま野球に取り組んでいけば、来年は実力で1軍へ行けますよ」と太鼓判を押した。岡田よ、楽な人生など、どこにもない。

September 14, 2007 12:00 PM

2007年09月07日

背番号にあやかれ

ソフトバンク・高橋徹投手

 8月31日(金)鳴尾浜球場へ取材に出向いた。試合前の練習で生きのいい選手をチェックしようとグラウンドをのぞいてみた。いつものようにバッティング練習をしていない。外野でランニングをしているだけ。関係者から「今日はグラウンドが少し柔らかいので、バッティングは室内でやっています」と聞いて納得。取材対象者はゲームの中から捜し出すしかない、と判断。本部席でじっくり待つことにしたが。ソフトバンクのベンチ前、投手陣のノックが始まった。

 何げなく背番号を見ていると、ファーム選手にしてはいい番号が揃っている。11、17、18、19、24などなど。九州のチームである。かつての西鉄ライオンズに在籍していた私としては、なぜか24番に目がとまった。神様、仏様の背番号ではないか。稲尾和久さん。大投手とダブらせるなんて失礼このうえない。動きに注目した。なかなかシャープだ。どんな投手かむしょうに見たくなった。思いが通じた。先発投手としてマウンドにあがったのは高橋徹投手。横浜創学館からドラフト3位で入団。今季3年目。その24番が登板した。

 腕は良く振れている。ストレート、スライダー。共に球の切れはいい。すごみはないが球の切れで勝負するタイプ。「今、球種はストレート、スライダー、スプリットの3種類ですが、今現在は球種を増やす予定はありません。課題はコントロールです。今日もそうでしたが、勝負球が甘くなるケースがよくあるんです。大事なことですし、きっちりやらないといけません。当然球の切れは失われないようにしないと」5回まで無失点。7イニング投げて2点を奪われただけ。合格点を与えられる内容。まだまだ稲尾さんの域に達していないのは当り前だが、話を聞いていると強気の性格。将来有望な選手だ。

 実は高橋徹、昨年の練習中、ボールを左右に投げてもらい、素早くターンして捕球する練習を繰り返しているうち、左腕を伸ばし過ぎて手術を余儀なくされた。苦しいシーズンだった。実戦といえばウエスタンで2試合投げただけ。「痛めたのが左肩でしたし、完全に休むと右肩がなまってしまいますので、毎日ボールは投げていました。でも、投手でありながらピッチングができないのは辛いですね。実を言いますと、昨年の春先すごく調子が良かったので、1軍昇格の勝負をしようと思った矢先につまずいてしまいました。悔しかったですね。本格的に投げだしたのは、秋季キャンプからです」少し寄り道をしたようだが、20歳。まだ若い。

 今季の成績(ウエスタン)は8月31日現在、10試合に登板して1勝5敗。防御率3・93。いまひとつではあるが、藤田ピッチングコーチは「腕と体のバランスが崩れていたので、バックスイングを高校時代のフォームに戻してみたら、いい球がいくようになった。現段階ではこの点だけを意識して投げるように注意しています。切れのいい球を投げますし、大いに期待しています」。成長を楽しみにしている。

 今年のソフトバンク投手陣。指導者からは練習を強制しない方針。選手が自主的に取り組むことにかけている。「かなりできるようになってきた」という同コーチの話を高橋徹本人に向けてみると、一瞬「う~ん」と考え込んだが、ハッキリと「上の人の倍の練習をしないと勝てないなのはわかっています」頼もしい言葉が返ってきた。夢はデッカイ方がいい。背番号24。大投手稲尾を目指せ。

September 7, 2007 11:30 AM