2007年08月24日
今季トレーニングコーチに専任
~阪神・伊藤敦規コーチ~
今年の阪神、ファームがひと味違う。若手成長株筆頭の林と、シーズン当初の巨人戦で大ブレークした狩野は、開幕から1軍にいた選手だが、2軍から昇格した若手も、数試合は必ず勝利に貢献している。その先頭に立つのが桜井。守りではまだ、目をつぶりたくなる場面はあるが、バッティングは素晴らしい。いまだ3割をキープ。外野の一角を確保しそうな勢いだ。野手では、現在再びファームで活躍している庄田、坂もプロ入り初ホーマーを放ってデビュー。投手では、上園が先発投手として5勝をマーク。渡辺は中継ぎで存在をアピール。その他、岩田、若竹、玉置といったところが1軍昇格して片鱗を見せた。極め付けは能見の成長である。その秘密、ランニングの効用に注目してみた。
1軍に登録される直前、能見の言っていた言葉を思い出した。「今年は、ファームにいる間、本当によく走りました。ランニングでかなり自分を追い込むことができました」である。昇格後、すでに先発で2勝。18日の広島戦では、プロ入り初の完封勝利を飾った。先発した投球回数、15イニング無四球の安定感は、ランニングで下半身を鍛えた成果に違いない。今年の鳴尾浜球場、観客席として使用していない外野席の、センターからライトまでのスタンドに、アンツーカーを引いて走路を設けた。ネットを張って打球は飛び込んでこない。安心してランニングができる場所。この施設の設置でチームの方針は一目瞭然。野球の基本というか、スポーツの基本であるランニング重視。足腰は強くなる、体力はつくの一石二鳥。今季からトレーニングコーチ専任になった伊藤敦規コーチ(44)に、練習内容などについて聞いてみた。
「昨年とは練習内容がだいぶ変わりましたね。個人的な技術指導プラス、ランニングといいますか、走る量がかなり増えました。当然最後はウエートをやりますが、トレーニングルームにきた時の選手はランニングの後ですし、ちょっとヘバり気味で入ってきますよ。僕もまだ修業の身ですので、オーバーワークにならないよう試行錯誤の状態ですが、トレーナーの協力があって、なんとかやっています。野球にランニングは欠かせません。やっぱり体力がないと何もできませんし、夏場も乗り切れませんから」
選手生活15年。阪急、オリックス、横浜を経て、タイガースにはテストで入団した苦労人。中継ぎ投手として連日マウンドへ。タイガース在籍6年間で312試合に登板したタフな男。現役時代からヒジを痛めた時などに、関西メディカル学園に通って、人間の体について学んだ勉強家。プロ野球を体験しているだけに、何をすべきかわかっている。毎日、自分で練習メニューを作成して指導にあたる。そういえば、我々の現役時代、体を鍛える手段はランニング。あの400勝投手金田正一氏をはじめ、米田哲也氏、小山正明氏、鈴木啓示氏などの300勝投手も走り込むことがすべてだった。
今年の阪神、練習を見ていると、スタンドの走路、外野のフェンス沿いで、選手の走っている姿をよく見る。試合後のランニングなどは、平田監督も目を光らせている。チームの転換期まであまり時間がないのが現状。林、桜井に続く選手を、能見、上園、渡辺などに続く投手を育てなければならない。「ランニングをする事には、抵抗はなくなったというか、かなり浸透してきましたね」(伊藤コーチ)。野球の原点はランニングだといってもいいだろう。走って、走って、走りまくれ。ファームである。一度原点に立って野球を見つめ直すのも、いい勉強になるはずだ。
August 24, 2007 12:13 PM
