2007年08月10日
1軍定着へ
~阪神・能見篤史投手~
この時期、ファームにいてはいけない投手だ。このコーナーに登場する人物ではない。1軍に定着しているべき選手である。阪神タイガース・能見篤史投手(28)。大阪ガスから希望枠で入団して今年で3年目。いまだ1、2軍をいったりきたり。特に井川が抜けた今季。左投手である。いくらかでも穴埋めに貢献してほしい。本来なら、ローテーションの一角を担っていてもおかしくない存在。フォームを崩していた。復活に向けて懸命に練習した。走った。投げた。炎天下、黙々と鍛え直した。7月31日のサーパス(オリックス)戦。8イニング投げて被安打4。9三振を奪って無失点。道のりは長かった。フォーム修正を証明するピッチングを披露。8月7日、1軍からお呼びがかかった。
8月5日。この日はゲーム無し。真夏、容赦ない厳しい日差しが突き刺さる。鳴尾浜球場に出向いた。練習日である。3年間、同じ事の繰り返し。なかなか一本立ちできない能見についての取材でブルペンに向かった。葛西、星野両ピッチングコーチがいた。2人の前で能見の話を持ち出すと、期せずして2人同時に「もう、大丈夫ですよ」の答えが返ってきた。この一言で復調の確信を得た。入団した年から同投手と見続けてきた葛西コーチに、これまでの過程、復活のポイントを聞いてみた。
「いままで腕と体がバラバラになっていた。だから、ボールが指に引っかかり過ぎたり、逆にスッポ抜けたりして、コントロールにかなりのバラツキがあった。どちらかというと能見の場合、ワイドアップ後、右足を上げるところから投げるまでが非常に早かった。それを、少しゆっくりさせてみたら、バッターに向かっていく時、体がホームベースに真っ直ぐ出ていくようになった。腕と体も一体となったし、やっとバランスもよくなり、リリースポイントが安定してきた。もう大丈夫だと思いますが、あとは、1軍で投げる時、本人がどんな精神状態で投げるか。それと、フォームを直したことをどれだけ重要視しているかですね」
ピッチングフォームで一番大事なことは、バランス。今年で3年目。自分が歩んできた道を、じっくり振り返ってみた。同じ事を繰り返してきた己を厳しく見つめる。「昨年までと一緒ではダメ」の結論をだした。炎天下、例年になく走り込んだ。フォーム修正に真剣に取り組んだ。「毎年そうなんですが、今年も夏場はファームなんです。かといって、夏場に弱いとう意識はありませんが。今回の2軍生活はかなり走り込みました。自分を追い込んできました」と能見は話す。フォームづくりは完了した。結果はどう出るか。まずは自信を持つことだ。投手というもの。マイナス思考になってはいけない。
相手打者に意識させる何かを身につける。絶対的な球種を持つこと。1軍定着への必要条件だ。「今年、ファームで取り組んできたのは、体力、技術のレベルアップは当然のことですが、ツーシームと外からのスライダーです。特にスライダーはこれまで内角一本でしたから、外から投げることによって、ピッチングに幅ができると思います。外角へは逃げていく(右打者)チェンジがありますので、相手打者がいろいろ考えてくれるようになるでしょう。迷ってくれたらありがたいですね」ウエスタン・リーグ。7試合に登板して6勝負け無し。ぶち当たった試練、自分に討ち勝つチャンスだと思え。今は野球に集中するしかない。もっと苦しめ。もっと、もっと練習せよ。
August 10, 2007 02:00 PM
