2007年07月13日

苦労人

~ソフトバンク・西山道隆投手~

 プロ野球選手に-。夢を追い求めて必死に野球に取り組んだ。愛媛の名門、松山商から城西大へ。ドラフトにかからない。卒業後は昭和コンクリートを経て、カナダ独立リーグへと進む。執念をむき出しにしたプロ野球への挑戦。四国アイランド・リーグが発足するや、即、地元の愛媛マンダリンパイレーツ入り。思い切りのいいピッチングは、やっとスカウトの目にとまった。西山道隆投手(27)。昨年から制度化された育成枠だったが、福岡・ソフトバンクホークスに入団。今季2年目を迎えている。

 力を持ち備えているのは、早々と認められた。入団した年の5月には支配下選手として登録。即、1軍の試合に先発した。結果は2試合に登板して、3回3分の1イニングを投げて自責点4。勝ち負けはつかなかったが、防御率は10・80.厳しいプロの洗礼を受けた。「力の違いを痛感した」。経験は、西山にとっていい勉強になった。今シーズンは二軍スタート。キャンプから十分走り込んだ。集中力を持って投げ込んだ。球に力がついた。変化球の切れもよくなった。ウエスタン・リーグの成績は、7試合に登板して3勝2敗。6月頃から調子は上向き。

 練習熱心だという。苦労人だ。精神的にもしっかりしている。「確かに、プロ野球選手としてプレーできる夢はかないましたが、これで満足したら終わりだと思います。これからが勝負です。1軍で活躍できるようになって、初めてプロ野球選手だと思っていますから」。西山の話である。浮いた気持ちは全くない。6日の甲子園球場、7イニングスを3失点。3勝目を挙げた。「力んでしまいました。自分でもわかっているんですが、回りが見えなくなる悪いクセがあるんです」。よく聞いてみた。その力みには訳があった。

 藤田ピッチングコーチだ。「実は、雨が降らなかったら、7月4日の楽天戦で先発する予定だったんですよ。それが雨で中止になり、登録まで抹消されてしまった。だから、今日(6日)は、なにがなんでもいいピッチングをしてやろうという気持ちが、力みになったんだと思います。でもね。この試合で、悪いなりのピッチングができる証明になったわけですから。いい方に考えないと。冷静に自分の投球ができれば、もっと幅がありますし、1軍でも通用すると思います。今、ファームで1軍に推薦する1番手は西山です」。西山の精神状態を教えてくれたが、成長は認めている。

 1軍昇格の日は近い。「技術的には、外角低目ストレートのコントロールですね。カウントは稼げるし、勝負球にもなりますから、なんとしてもマスターしたい。昨年はチャンスをもらいながらいい結果が出せませんでした。今年は絶対ものにしたい」。本当、真面目だ。帽子を取ったまま、ハキハキと答えてくれた。甲子園球場での取材。最後に話してくれたのは高校時代の思い出。「一度も試合には出ていないんですが、2年生の時、ベンチにいて優勝を経験させてもらったんですよ。甲子園はいい思い出がありますし、今日(6日)初めて憧れのマウンドを踏ませてもらいました。感激しました」。高校生のようなさわやかな表情。純粋に野球の好きな青年だ。1軍のマウンドへあがる日が楽しみだ。

July 13, 2007 12:15 PM