2007年05月25日

持ち味は足と肩

~阪神・大城選手~

 平田二軍監督が期待を込めて、こう言った。「久々に野球小僧といいますか、野球の虫といいますか、練習の虫といえる選手を見ましたよ。ノンプロ出身ですが、これまで、あまり環境に恵まれていなかったのでしょう。かなり苦労してきたみたいで、努力は惜しまない男ですね。合宿所の横にある室内練習場で、夜もよく練習をしていますよ。久しぶりですね、こういう選手は」と-。選手は、首脳陣にこうした目に見えない努力を認めてもらえるほどうれしいことはない。

 阪神タイガース・大城祐二選手(21歳)。大学、社会人ドラフト5位で入団した新人。身長172センチ、体重74キロ。小柄ではあるが、自分のセールスポイントをたずねると「足と肩です」という自信の発言。なるほど、50メートル走は5秒7の俊足。ノンプロ時代、1試合5盗塁を決めた事がある。こうした特長を持った選手への期待は大きい。試合前の練習を見ていると、アップとキャッチボールのあと、まず内野の守備練習からはじまり、続いて外野でノックの打球を追う。そして、バッティング、走塁とこなしていく。真剣に練習に取り組む選手のユニホームはよく汚れる。まさに、大城のユニホームがそれだ。汗と泥にまみれている。

 「プロにはいって、キャンプから実戦の試合へと移って、約4カ月ですかね。おかげさんで故障という故障はしていません。ありがたいことです。アマチュアとの違いを一番感じたのは、プロは、やっぱり、何にかにつけて正確だということです。ゲームで失投を待つんですが、なかなか投げてくれません。プロですね。もうひとつ、足と肩以外に、スイッチヒッターも自分の持ち味だと思っています」

 自主練習は意欲の現われである。技術が身につく事は多々あるが、やっても、やっても目に見えて上達するわけではない。全く進歩のないまま時間だけが通り過ぎてしまうこともある。だから、練習を続ける事は苦しい。根気と我慢。常に前を向いて進む強い精神力が必要だ。技術を体にたたき込むための近道はない。上達する時の分岐点がどこにあるか、これは誰にもわからない。あきらめずにやり続けるしかない。そして、誰にも負けず、一心にやり続けた自分への満足感を感じた時、何かを得られるような気がする。これが進歩か…。練習の虫、大城なら期待大だ。

 沖縄の出身。TDK千曲川を経てタイガースへ。鳴尾浜のタイガースデン。合宿所、グラウンド、室内練習場、トレーニングルーム。すべてが整っている。己を鍛えていく環境は抜群。「今、内野と外野の両方をしていますが、チャンスがあればどちらでもOKです」どん欲だ。ハングリー精神の持ち主だ。5月22日現在のウエスタンの成績は、56打数14安打。打率は・250。平田二軍監督「技術的にはまだまだですが、黙々と練習するあの姿は頼もしいですよ」弱音を吐く選手ではない。実力主義の世界。当たり前の事を、当たり前にできる選手になれ。

May 25, 2007 11:49 AM

2007年05月18日

次世代を背負う大型ルーキー

~広島・鈴木将光外野手~

 走、攻、守-。3拍子揃った選手だ。鈴木将光外野手(20)。昨年の高校生ドラフト1位。182センチ、80キロ。バランスのとれた体。50メートル走は5秒台。当然、守備範囲は広い。高校時代、放ったホームランは64本。遠投120メートル。遊学館から広島東洋カープ入り。甲子園大会に出場した時には、ホームスチールを決める度胸の良さ。山崎二軍監督をして「まだやる事はたくさんあるが、素材は申し分ない」と言わせる大型ルーキー。5月5日の阪神戦(ウエスタン)では、1軍でバリバリ活躍している野口捕手から盗塁を決めた。センスは抜群。即1軍とはいかないだろうが、次世代のチームを背負う大器であることは間違いない。

 入団した昨年、ウエスタンの教育リーグ(3月)外野からの送球で右肩を痛めた。まだ右も左もわからない時期。なかなか完治しない。焦っているところへ今度は腰痛。踏んだり蹴ったり。期待されながら1年間ゲームに出ることができなかった。「野球ができない辛さを痛感しました」1年目から、故障という無情な体験と直面した。人間、目の前にある仕事がやりたくてもできない時ほど辛いことはない。精神的に落ち込んだこともあっただろうが、与えられた試練は自分に討ち勝つチャンスだともいう。克己を持つことだ。

 「今年が1年目のつもりでやっています。肩と腰の故障でしたが、肩が悪くなったとか、足が遅くなったという感覚はありません。多少の怖さはありますが、そんな事は言っておれません。1試合でも多くゲームに出場して、存在をアピールしないと」

 これまで何人もの選手を見てきた。運が悪いというか、肝心な時になるとケガをする選手がいる。例えば、久々に先発出場する日。1軍への昇格が決まる一歩手前、あるいは決まった時。昇格、即、まだゲームに出場をしてもいないのに故障して降格。など、不運を背負っているような人がいる。一度つまづいた人にはその可能性がある。だからといって、何をするにしても怖々やっていると余計ケガをする。手抜き工事ではいい結果が出るはずがない。ひとつ、ひとつのプレーに集中することだ。

 “無事コレ名馬”「合宿の隣に室内練習場はありますし、環境には恵まれています。その気になればいくらでも練習はできますのでありがたいです。投げるとか、打つだけではなく、まだやる事はたくさんあります。当然、体力の強化もしていきたいです」故障しにくい体作り。ケガに強い体作りが望まれる。まだ若い。先は長い。山崎二軍監督「まだ次のプレーへ移る時の用意が遅い。いい素材ですから、じっくり鍛えていきますよ」打って、走って、守れる。5月15日現在、ウエスタン・リーグの成績は、23試合に出場。58打数、14安打、打率・241。1ホーマー、6打点、2盗塁。これからの選手だ。鈴木よ-。純粋に野球を好きになれ。

May 18, 2007 12:06 PM

2007年05月11日

25歳の新人

~広島・中東直己選手~

 中東直己選手(25)。今シーズン大学、社会人ドラフト5位。ホンダ技研鈴鹿から広島東洋カープに入団した25歳の新人。170センチ、71キロ。小柄だが、体はガッシリしている。50メートル5秒7の俊足。右投げ左打ち。野球センスは抜群。キャンプ中、早くも即戦力が認められる。オープン戦1軍帯同も、ゲーム中接触プレーで指を故障。しばらく治療にあたっていたが、完治、即1軍へ。桧舞台に立ったが、厳しいプロの洗礼を受けて4月の終わりから降格。5月4日、5日のウエスタン・リーグの阪神戦。はつらつとしたプレーは、2軍落ちのショックなどみじんもない。再度昇格の日は近い。そう思って見ていたら、なんと、8日の中日戦。早くも登録されていた。

 チームの主砲、新井と同じ広島工出の後輩。タイプは全く違うが地元出身。阪神-広島戦の取材に行ってびっくり。4日の6回戦が左翼で1番。5日の7回戦では捕手で1番のスタメン出場。連盟登録は外野手。捕手で入団して外野も兼ねていた選手は何人か見てきたが、このケースは珍しい。大学時代、捕手として明治神宮大会優勝の経験者。「野球をしていて、いろんな面でむずかしくて面白いのは捕手ですが、自分の持ち味(足)を生かすためには、やはり外野ですかね」自分を見失っていないのは立派。

 山崎二軍監督に聞いてみると「適正を見極めるためでもありますが、1軍からの要望がありまして、定期的に捕手として出場させています。そうですね、3試合に一度ぐらいですかね」ということ。確かに、戦力的にも中東をベンチにいれておけば、捕手は2人の登録でまかなえるし、他ポジションの選手がもう1人25人枠の中にはいれる。戦力アップになる。器用な選手だ。2試合拝見させてもらった。4打数1安打と5打数3安打。3塁打を放った時のスピードは魅力たっぷり。素晴らしい足の持ち主。

 ファームに降りてから、ウエスタン・リーグの成績は5日現在、28打数10安打で打率・357。「外野手として、プロ野球界から指名されたわけですから、外野手で、とは思っていますが、この世界、1軍のゲームに出て“なんぼ”の世界ですから。チャンスがあればどちらでもOKです。出番がきた方で出場してチャンスをつかみたい。今回は、打てなくて下にきましたから、やはりバッティングですね。今度、上にあがった時は、絶対に落ちない力をつけたいですね」新人とはいえ、25歳。己をしっかり見つめている。

 使い勝手のいい選手だ。守備固めとして外野は守れる。キャッチャーもいける。そして、ピンチランナーもOK。昇格した中日戦、代打で出場したあとセンターを守っている。何事にも挑戦する勇気。相手の気持ちに勝る元気。誰にも負けない努力。中東のハングリー精神に期待したい。

May 11, 2007 12:55 PM

2007年05月04日

将来のクリーンアップ候補

~ソフトバンク・松田選手~

 希望枠で入団して2年目。ソフトバンクが即戦力として獲得。昨年は、ルーキーながら1軍の開幕戦でスタメン出場。大いに期待された選手だが、プロの壁は厚かった。62試合、204打数、43安打、打率・211。3ホーマーの18打点。納得のいかない成績。力不足を痛感したが、パワーは抜群。近い将来の中心打者。松田宣浩選手(23)。亜細亜大出の大型内野手。今季はファームからのスタート。2日、鳴尾浜球場で行われた阪神-ソフトバンク戦を取材してきた。

 第1打席、山村バッティングコーチが「どうしても、上体が突っ込むので、変化球にタイミングが合わないことが多い」欠点が出て、ゆるーいカーブに泳いで一邪飛。2打席目は、同コーチが「松田の持ち味」という長打力をいかんなく発揮。外角寄りの高めストレートを、何と、スコアボード直撃の特大5号ホーマー。その後は四球、三振、二ゴロだったが、四球で出塁した6回、エンドランで二進したあと、果敢に三盗。捕手の悪送球を誘って生還。この日のチーム3得点中、松田がバットと足で2点を稼いで、試合は3対1で勝利。「自分の判断で走りました」。打つだけではない。こんな足ワザを持っている。

 「昨年は本当、悔しい年でした。当然納得はいきませんし、自分のふがいなさに腹の立つ一年でした。今年は反省も含めて、じっくり、基礎を身につける年にしたいですね。技術面でも、バッティングだけでなく、守備の方もみっちりやりたい。もちろん、体力の強化もしないといけませんし、もう一度やり直しといいますか、体力と技術をしっかり身につけたところで再スタートしたいと思っています。盗塁ですか…。一、二塁間の盗塁は高校、大学時代結構していました」。

 試合後、ランニングしたあとのバットスイングは、山村コーチが付きっ切り。「バットが外まわりするクセがありましたから、少しバットを寝かせて構え、インサイドアウトに出やすいようにしているのと、軸足の固定ですね。とにかくあの長打力は魅力ですよ」との期待を寄せれば、石渡2軍監督も「まだ、まだ、いい時と悪い時の差はあるが、遠くへ飛ばすパワーは天性ですね。将来の中心打者に育てたい」。クリーンアップを打つ素材であることを、両首脳とも認めている。

 今、苦しみのど真ん中にいるだろう。厳しい練習、どん欲に取り組むこと。何事にも興味を持って体当たりすること。失敗を恐れるな。今の失敗は許される。ただし、その原因は追求し解決すること。失敗も成功も根拠を見いだすことが次のプレーにつながる。今、ウエスタン・リーグの成績。71打数、24安打、5本塁打、19打点。打率・338(5月2日現在)ファーム暮らしにも、現在の松田には焦りはない。「すべてをレベルアップしないといけません。持ち味は長打力です」。物事にこだわらない性格だという。プロ野球選手に向いている。

May 4, 2007 11:31 AM