2007年04月06日

準備を怠るな。ハートを鍛えよ。

~中日・辻発彦新2軍監督~

 外野手の緩慢プレーを見逃がさなかった。確か次打者の左中間安打だったと思う。一塁から一気にホームインした。西武ライオンズの現役時代、巨人との日本シリーズで見せたワンシーン。あの積極果敢な走塁。まさか、の出来事にア然とした。スタンドの興奮は最高潮に達した。勇気あるプレーが持ち味。「当然あの時は、最初からホームまでかえるつもりでスタートしましたよ。でないと…」。今回は強いハートの持ち主。今季中日ドラゴンズの2軍監督に就任した、辻発彦監督にアタックしてみた。

 4月3日、鳴尾浜球場での対阪神、ウエスタン・リーグ公式戦。スコアボードに並ぶ中日のオーダー。4番にドッカと座っているのは、今年の高校生ドラフト1位、タイガースも指名した堂上直倫(18)。5番が昨年駒大から入団した新井良太(23=広島・新井の弟)6番には、あの大阪桐蔭のパワーヒッター平田良介(19)がいる。7番が堂上兄。他にも2番には、2002年のドラ1、明徳義塾(高知)出身の森岡。アマチュア時代の名プレイヤーが名を連ねている。「まだ、頼り無いヤツばっかりですが、皆んないいセンスの持ち主です。大いに楽しみですね」。鍛え甲斐のある若手が多数いる。手腕の見せどころだ。

 育成をしていく中。これだけはなにがなんでも、全選手にたたき込んでおきたい事としてこう話した。「“準備を怠るな”ですね。グラウンドに出る前。グラウンドに出てから。これから野球を始める事に関して、事前にしておくべき事はきっちりすること。いいプレーをするための体の準備。心の準備。凡プレーはこうした準備不足から起こるものです」。野球界に限ったことではないが、確かに、備えあれば憂いなし。大事の前の小事。予防は治療にまさる、など準備段階での重要性を説く格言はある。準備したからといって、いい結果を得る保証はない。だが、準備なくしていい結果が得られないのも事実である。

 勇気と元気を前面に出した努力は、後に大きな自信となる。自信は強い精神力を生む。「技術だけでなく、ハートも鍛えてほしい。例えば、走塁ひとつにしても、行けると思ったら、アウトになってもいいから積極的に前の塁を狙ってほしい。そこで、アウトになったら自分で判断して、次のプレーに生かせたらいい。そして、基本ですね。打球を処理する場合、必ず足を運んで体の正面で捕球するとか。基本をしっかり植え付けないと応用動作は無理ですから」。辻監督である。ヤクルトで3年、コーチとしてファームを指導してきた。監督は初の体験だが「やはり、1軍が勝つ事が最優先ですから、1軍に必要な選手の調達、レベルアップがファームの基本でしょう」昨年のセ・リーグ優勝チーム。力を維持するためにはファームの底上げが必要不可欠。冒頭の走塁でわかるだろう。究極の勝負ができる男だ。“勝負師辻”の精神力注入を期待したい。

April 6, 2007 10:58 AM