2007年03月16日
故障克服、センス抜群…前年度高校生ドラフト1位
~阪神・鶴直人投手~
「やっと昨年10月頃からピッチングを始めましたが、センスは抜群ですね。高校3年の時と昨年、約2年ほど投げていませんでしたが、ヒジの使い方、腕の振りなど素晴らしいですよ。フォームのバランスもいいし、本当、楽しみにしています。彼を一人前にするのが指名だとも思っている」。
遠山育成コーチが惚れ込んでいるのは、阪神・前年度の高校生ドラフト1位、鶴直人投手(19=近大付)である。身長180センチ、体重75キロ、右投げ、右打ち。我慢の日が続いた。高校時代に患った右ヒジ痛。痛みは消えてくれない。違和感は持ったまま。来る日も、来る日もランニング中心の体力作り。「6月(昨年)頃でしたかねえ。やめようかと思った事がありました」。苦しかった。悩んでいても胸の内は誰にもわからない。投げてはみた。やはり…。練習に変化はない。嫌気が差した事があった。
どこの社会も同じだろうが、投手がピッチングを、打者がバッティングを、野球選手が野球できないとなると、どうしても苛立ちはピークに達する。ストレスはたまりっ放し。精神面はズタズタになる。こんなに辛い事はないが、今年の鶴は明るい。安芸キャンプ。1日置きではあるが、ブルペン入った。50球。何日続けても痛みは無い。練習に張りが出てきた。何をやるにしても前向きになった。現在では70球。カーブを投げ始めた。変化球を投げても大丈夫だ。急速に良くなる故障ではない。段階を経て一歩一歩前進するしかないが、もう後ろを向く事はなくなった。インタビューに現れた時の表情はニコやかだった。
「何度か投げて(昨年)みましたがダメでした。一緒に入団した選手はもうビュンビュン投げているのに、自分はブルペンにもはいれない。みじめといいますか、ストレスはかなりたまりました。本当に辛かったですね。遠山コーチや伊藤コーチ(トレーニング)にいろいろアドバイスをいただきまして、やっと開き直ることが出来ました。あの時点で、自分自身をよく考えてみますとこれ以上悪くなる事はないと思えるようになったんです。皆さんに感謝しています」。
まだ試合に登板できるまでには達していない。育成コーチの管轄下にある。遠山コーチは「早く僕の手からはなれた方がいいんですが、ここで焦ってはダメだと思いますし、じっくり鍛えていきます。鶴はねえ、70~80%の力で投げても、普通の投手ぐらいの球は投げますから」と話した。故障持ちを承知の上で獲得した器だ。並みの素材ではなかろう。「もう、精神面でまけることは無いと思います」。鶴の話である。高校時代、すでに150キロ台のストレートを投げていたという。地元大阪の出身。与えられた試練は、自分に討ち勝つチャンスだともいう。大きく羽ばたく日が待ちどおしい。
March 16, 2007 03:27 PM
