2007年03月30日
若手の育成と中堅のレベルアップ
~ソフトバンク・石渡新2軍監督~
今回は、ソフトバンク・石渡新監督に登場してもらった。24日から開幕した公式戦。昨年の優勝チーム阪神に連勝。幸先良いスタートを切った。初戦は終盤に打線が爆発して逆転勝ち。2戦目は投手陣が2失点に踏ん張った。好ゲームを展開した目の前の選手を見ながら、チーム全体を分析してみた。小久保は復帰したが、井口、城島の主力が抜けても優勝争いのできる常勝軍団。ファームから1軍へ入り込むのは並大抵のことではないが、2軍選手のレベルアップなくして、現在のチーム力を保てないのは確か。石渡監督の方針は…。
ファームの基本を尋ねると、「若手の育成と1軍に必要な選手のレベルアップ」を挙げた。両立させるには温度差がネックになる。性急に結果を求める。いわば1軍半の選手には実戦練習を。逆に辛抱強く。根気と我慢の指導が必要な若手選手には基本教育を。「1、2軍の入れ替えは必ずあります。上から指名してくる場合、こちらから推薦する場合とありますが、いつ声をかけられてもいいようにしておくのが我々の仕事ですし、若手にもいい素材の持ち主が多いので楽しみですね」。いかに選手の才能を引き出すか、注目したい。
編成部長からの抜擢。ファームには自分の目で確認して獲得した選手がいるだろう。そういう意味で責任は重いだろうが、楽しみもある。バッティング練習中、ケージの後ろで選手を見つめる目は輝いている。そして、真剣な表情で話しかけるとき、笑顔で接するとき、コミュニケーションも忘れてはいない。2軍では脚光を浴びることはまずない。ファンの関心度も薄い。地道な練習の積み重ね。でもやり甲斐はある。己が育てた選手が1軍で活躍したときの爽快感は経験者でしかわからない。現楽天の野村監督がよく口にしていた。「今、何をやりたいかと聞かれたら、ファームか高校野球の監督と答えるね。育てる要素がいっぱいあって楽しいぞ」と…。
自分が補強してきた選手がいる。石渡監督の立場は、野村談話に近いような気はするが、そこは2軍監督1年目。精神的にそこまでの余裕はないだろう。『松田とか小斉などは素晴らしい素材の持ち主ですね。小斉は思い切りがいい。松田は、昨年入団したばかりで、何もわからないまま1軍に抜擢されましたが、やはりいい結果は出せませんでした。そういう意味で、今ここでじっくり練習ができるのは、逆にいいことだと思います。バックスクリーンへ、平気でライナーでほうり込みますから』。なるほど、鳴尾浜球場での初戦。見事、バックスクリーンへ。2戦目は2安打を放った。選手の育成。人情と愛情。そして、時には非情になることが要求される。
March 30, 2007 05:45 PM
2007年03月22日
ウエスタン・リーグ24日開幕 4チームに新監督誕生
~阪神・平田勝男監督~
ウエスタン・リーグの開幕が24日に迫った。一番星に備えて選手名鑑に目を通してみた。確認してみるものだ。勉強不足だった。思わぬことに気が付いた。5球団で構成されているリーグの中で、4チームに新監督が誕生していた。阪神・平田。中日・辻。オリックス・住友。ソフトバンク・石渡の各監督。若手の育成。不振に悩む選手の調整。故障者の復帰。大役を背負っているわりには目立たない存在だが、チーム作りの原点はファームにある。腕の見せどころだ。昨年の優勝チーム、平田監督から直撃してみた。
教育リーグ(ファームのオープン戦)終了後、タイガースのベンチを覗いてみた。選手を集めて各コーチが中心となってミーティングの真っ最中。しばらく様子を見て、終わりかけたところで平田監督に声をかけてみる。「すいません。選手に伝えたい事がありますので、ちょっと待ってください」。ゲーム後、即、反省点を伝えるためだ。今、ファームでは全チームがこうした反省会を行っている。いい習慣だ。平田監督の私への言動には、選手育成にかける意気込みを感じた。大いに期待したい。その後の熱弁の中身は厳しかった。
「この世界。1軍で活躍してなんぼです。自分が1軍に残るためには何をすべきか。例えば、ファームに落ちたら、その原因を追究すること。原因を把握して工夫した練習をすること。何も考えず、ただメニューを消化するだけでは、プラス材料は全くありません。特に現在のチームは、レギュラーは固定されています。1軍は勝つためのチーム構成をします。上にあげたい候補選手が2人いたら、やっぱり実績のある選手を指名してきます」。
ヘッドコーチを経験した発想には現実味がある。そして、こう付け加えた。「ファーム選手には1、2軍を往復している1軍半的な選手。2軍である程度年数を経た人。若手に新人。それぞれの立場から練習内容の考え方は違うはず。バッティング練習を見ていて喜田とか桜井クラスが、コーチの投げる球をガンガン、スタンドにほうり込むのは当たり前なんですよ。それで満足しているようではダメ。彼らなら、もうひと段階上の練習というか、ストレートのタイミングで打ちにいって、変化球をさばいてみるとか、その逆をやってみる。守りも同じです。練習したらうまくなるのは確かですが、肝心なところになるとエラーする選手がいる。これも工夫ですね。もちろん。それを指導する我々です」。やる事はたくさんある。
まだ、まだ話は続いた。「当然、全試合勝ちに行きます。勝つためには何をすべきかわかってほしいし。勝った時の喜び、負けた時の悔しさを感じてほしい。負けてヘラヘラしているようではダメ。また、『この選手は』と思ったら徹底的に鍛えていきます。コーチにも伝えてありますから。あと2、3年でチームはかわっていきます。金本の後ガマ。矢野の後ガマ。そんなに時間はありません。『あの頃の2軍監督は誰や。平田か。あいつ何しとったんやあ』と言われんよう頑張ります」。一般的には、ファームは勝負にこだわらない。練習は平等に。の言い伝えがある。私には生ぬるく感じていた。平田監督の方針は正確だ。楽しみに見て生きたい。
March 22, 2007 03:20 PM
2007年03月16日
故障克服、センス抜群…前年度高校生ドラフト1位
~阪神・鶴直人投手~
「やっと昨年10月頃からピッチングを始めましたが、センスは抜群ですね。高校3年の時と昨年、約2年ほど投げていませんでしたが、ヒジの使い方、腕の振りなど素晴らしいですよ。フォームのバランスもいいし、本当、楽しみにしています。彼を一人前にするのが指名だとも思っている」。
遠山育成コーチが惚れ込んでいるのは、阪神・前年度の高校生ドラフト1位、鶴直人投手(19=近大付)である。身長180センチ、体重75キロ、右投げ、右打ち。我慢の日が続いた。高校時代に患った右ヒジ痛。痛みは消えてくれない。違和感は持ったまま。来る日も、来る日もランニング中心の体力作り。「6月(昨年)頃でしたかねえ。やめようかと思った事がありました」。苦しかった。悩んでいても胸の内は誰にもわからない。投げてはみた。やはり…。練習に変化はない。嫌気が差した事があった。
どこの社会も同じだろうが、投手がピッチングを、打者がバッティングを、野球選手が野球できないとなると、どうしても苛立ちはピークに達する。ストレスはたまりっ放し。精神面はズタズタになる。こんなに辛い事はないが、今年の鶴は明るい。安芸キャンプ。1日置きではあるが、ブルペン入った。50球。何日続けても痛みは無い。練習に張りが出てきた。何をやるにしても前向きになった。現在では70球。カーブを投げ始めた。変化球を投げても大丈夫だ。急速に良くなる故障ではない。段階を経て一歩一歩前進するしかないが、もう後ろを向く事はなくなった。インタビューに現れた時の表情はニコやかだった。
「何度か投げて(昨年)みましたがダメでした。一緒に入団した選手はもうビュンビュン投げているのに、自分はブルペンにもはいれない。みじめといいますか、ストレスはかなりたまりました。本当に辛かったですね。遠山コーチや伊藤コーチ(トレーニング)にいろいろアドバイスをいただきまして、やっと開き直ることが出来ました。あの時点で、自分自身をよく考えてみますとこれ以上悪くなる事はないと思えるようになったんです。皆さんに感謝しています」。
まだ試合に登板できるまでには達していない。育成コーチの管轄下にある。遠山コーチは「早く僕の手からはなれた方がいいんですが、ここで焦ってはダメだと思いますし、じっくり鍛えていきます。鶴はねえ、70~80%の力で投げても、普通の投手ぐらいの球は投げますから」と話した。故障持ちを承知の上で獲得した器だ。並みの素材ではなかろう。「もう、精神面でまけることは無いと思います」。鶴の話である。高校時代、すでに150キロ台のストレートを投げていたという。地元大阪の出身。与えられた試練は、自分に討ち勝つチャンスだともいう。大きく羽ばたく日が待ちどおしい。
March 16, 2007 03:27 PM
2007年03月09日
大型内野手の期待
~阪神・野原将志内野手~
今年の新人選手。将来楽しみな素材の持ち主がいると聞いた。そんな噂に我が身が反応。じっとしておれない。早速ファーム鍛錬の場へ出向いた。鳴尾浜球場、グラウンドを見渡してみる。いたいた、素晴らしい体格の選手が視野に。ガッシリしている。でっかい下半身。太モモはなんと69センチとか。ランニングを見ても、守備練習を見ていても足の運びはスムーズ。50メートル走が6秒。頼もしいヤツがいるではないか。184センチ、85キロは身長と体重。キャンプ終盤に1軍へ。紅白戦ではヒットを放った。平田2軍監督は「鍛えがいのある選手が入ってきましたよ」と太鼓判を押した。
阪神・野原将志内野手。長崎日大出身の高校生ドラフト1位。期待の大きさがうかがえるが、過去、いいセンスを持ちながら日の目を見ないまま去っていった選手がいる。何人も見てきた。問題は野球に取り組む姿勢だ。野原の考えは…。「今、自分でやろうと思っていることは、シーズンを通して、きっちり野球のできる、強い体を作ることです。僕は体がかたいので、どうしても故障しやすいし、アップもかなり気を使ってやっています」。頑丈な体作りは正確。なかなかのしっかり者だ。
初めてファームを担当した平田監督はどう見ているのか。「いい体をしているでしょう。まだ、体の強さはないが、下半身はどっしりしているし、いい素材ですね。田舎者(出身地は同監督と同じ)ですから、引っ込み思案ではないかと心配していましたが、声はよく出るし、元気者ですわ。体の切れはまだ鈍いけど、現時点でそこまで求めたら酷ですね。イメージとしては、巨人の二岡みたいな選手になってくれたらと思っています」。平田監督は熱いまなざしで野原のネット打撃の相手をしていた。大いに楽しみにしているようすだ。
伊藤トレーニングコーチには、体力面について聞いてみた。「キャンプの第2クールからみんなと同じメニューで練習してきましたが、最後まで故障せずに乗り切ってくれました。新人のキャンプは体が強いかどうかのバロメーターになりますから」。恵まれた体にホレ込んでいたが、実は、高校時代苦い経験をしている。3年生になってキャプテンに抜てきされた。責任感から、痛めていた内転筋をかばいながらの練習で股関節まで痛め、野球から数カ月間も遠ざかった。「野球ができないジレンマ。辛かったです。もう2度と体験したくないです」。最高に辛い思いをしてきた。肝に銘じてほしいが、怖がっていては進歩がない。
野球漬けの毎日。プロ野球選手になった証だ。「4日間ですが、1軍の人と一緒にプレーできてうれしかった。緊張もしましたがいい勉強にもなりました」。気持ちのうえで張りができたことだろう。スタート時点に立った。プロ入りしただけで満足してはいけない。これからが勝負。大型内野手の要素は十分。楽しく練習を拝見させてもらった。
March 9, 2007 09:16 AM