2006年09月29日
希望枠で入団
~阪神・岩田稔投手~
岩田稔。昨年希望枠で関西大からタイガースへ。大きな期待を背負って入団したが、半面、持病(糖尿病)への関心度も高く、違った意味でも注目されていた。結果は、現時点で1軍での登板機会はなし。ウエスタン・リーグはというと、公式戦は全日程終了したが、登板数は6試合。投球回数は12回で自責点は9。防御率は6・75で勝敗には関係なし。決して満足のいく成績ではなかった。来季は…。
過去に、この持病をかかえて大活躍をした選手はいただろうか。私の記憶の中にはない。タイガースはそんな不安を無視して希望枠で獲得した。高い評価。どんな結果が出せるか注目してみた。他チームで、大学から希望枠で入団した投手が活躍している。焦りはあっただろう。プレッシャーを感じたに違いない。本人は「早く1軍へ上がって投げたい、という気持ちは当然もっていましたが、厳しい世界です。こういう結果になることも考えていました」と、意外に冷静だったが、ヒジの違和感でピッチングができない時期もあるなど、あらゆる角度から気遣いを余儀なくされたのはトレーナーだろう。
猿木チーフトレーナーに聞いてみた。「岩田が大学時代にかかっていた医者に、どんな治療をして野球をやっていたかなど、すべて聞いてきましたし、我々もいろいろ考えました。体調を5段階に分けて、調子のいい時、悪い時などを毎日チェックし、本人に報告させました。また、ゲームでの投球回数、ランニングの量とか、その日に行なった練習内容で血糖値がどうなるか、細かく見てきました。確かに運動したら血糖値は下がるし、休日は上がるわけですが、激しい運動をしたあと、数値が規定より低くなる場合があるので大変です。今、3、4イニングでストップしていますが、これからのフェニックスリーグで投球回数が伸ばせれたらと思っています。ヒジのお陰で逆に、体をじっくりチェックできたことがプラスになりましたし、投球回数を伸ばせる体になってきました」。1週間、あるいは2週間を区切って投げ込む日、走り込む日を決めてステップを試みる。
葛西ピッチングコーチが「かなり強い球が投げられるようになった。体のこともあり、ヒジの故障もあって出遅れましたが、なんとかメドが立ちました」というように、9月26日のオープン戦、1イニングだったが、ストレートは力強いし、カーブは角度があった。岩田も「練習にも慣れてきましたし、もう大丈夫です。これからのフェニックスリーグや、秋季キャンプで1軍の首脳陣にも大いにアピールできるように頑張ります」と話す。道は開けてきた。健康体の選手以上の苦労はあるだろう。克己を持ち続ける以外にない。
September 29, 2006 02:51 PM
2006年09月22日
1日も早く支配下選手に
~カープ育成選手、中谷翼選手~
3桁の“128番”今年から設けられた制度、育成選手に与えられた背番号である。広島東洋カープ・中谷翼内野手「頑張るしかありません。自分としては1日でも早く契約してもらうことしかないです」彼の気持ちのすべてが、このひと言に込められている。四国アイランドリーグの、愛媛マンダリンパイレーツからの入団だが、まだ支配下選手として認められていない。1軍の公式戦には出場できない身分。当然年俸の最低保障はない。厳しい条件の中、好んで飛び込んだ世界。野球にすべてをかけている。
高校時代、仙台育英の二塁手として2度甲子園に出場している。立命大を中退。昨年、アイランドリーグでは打撃3部門、いずれも2位の好成績を挙げてプロ入り。「野球がやりたい」一心から勇んで挑戦したものの、キャンプで腰を痛めてつまずいた。あまりいいスタートではなかったが「いいセンスの持ち主ですよ。キャンプで腰を痛めてちょっと出遅れましたが、練習熱心ですし、かなりレベルアップしてきましたよ。もちろん、体力、技術面ともまだやることはたくさんあります。例えば、足は速いんですが、なかなか盗塁ができないとか…」とは岡コーチ。指導することは多くあるようだが、中谷の野球センスは認めている。
6月にはいってから、やっとウエスタン・リーグに出場できるようになった。試合前のバッティング練習を見ていると、右投げ左打ちで、バットはスムーズに出てくる。スイングの軌道はレベルでクセはない。上半身と下半身のバランスも悪くない。9月18日現在の成績は、59試合に出場、打率は・244で1ホーマーの9打点。岡コーチが指摘していたが、盗塁は0。3度試みていずれも失敗している。今はまだ失敗は許されるが、その原因を追究し、失敗も成功も根拠のあるものにしておくことが必要だ。
「もう1年が過ぎそうですが、やっぱりプロの世界は厳しいですね。体力面では、もっとパワーをつけたいし、スタミナ面でも1年中厳しい練習に耐えられる体力が必要。スピード面でもまだついていけないところがありますし、バッティング、守備、走塁、いま岡コーチなどからいろいろアドバイスいただいていますが、やることはいっぱいあります。何とかプロのユニホームが着られたわけですから、己に妥協したら負けです。頑張ります」。
克己を持ち続ければ、自分で自分を支配できるようになる。自主性も出てくる。自主性はやる気と意欲を燃え立たせる強力なエネルギーとなる。忍耐にもつながる。忍耐の裏には希望がある。希望があるから耐えられる。成長過程には数々のカベがある。カベをぶち破ってこそ成長がある。実力の世界。実力をつけないと勝ち残れない。大いに苦しめ。
September 22, 2006 11:46 AM
2006年09月15日
将来のクリーンアップ
~ソフトバンク江川選手~
「長打力があって、確実性もあるバッターに育ってほしい。可能性は持った選手ですから」秋山2軍監督の期待を一身に集めている。179センチ、79キロ。体はそれほど大きくはないが、ガッシリした体格。打球を遠くへ飛ばすパワーの持ち主。三重県は宇治山田商から、ドラフト1位でソフトバンク入り。今季2年目の江川智晃内野手(19)の将来は前途洋洋。チームの中心打者への期待度は、高校出でありながら、ウエスタン・リーグの公式戦では、常にクリーンアップに名前を連ねていることでわかる。
同リーグの成績は、昨年が打率・252、本塁打6、打点33。今季は同じ順番に並べて行くと・281、10、41。(9月12日現在)ホームラン数はリーグトップを行く阪神喜田が14本。立派な成績だ。今年の江川は、キャンプから首脳陣に持ち味をアピール。開幕から1軍ベンチの可能性があった。本人も可能性を求めて懸命に練習したが、現状は2軍生活。途中1軍に昇格はしたが、定着には及ばなかった。今季はもう終わろうとしている。果たして1年を振り返ってみた、いまの心境は-。
「開幕から1軍ベンチに入れた方が良かったのか、2軍でじっくり練習ができ、ゲームに出ていた方が良かったのか、はっきり言ってよくわかりません。1軍へ上がった時は、結果を出そうと思い、焦って調子を崩してしまいましたが、いまは好調です。これからも自分をどんどんアピールしていきたい」。
己を見失っていた時期があったようだが、原点に戻ったことに意義がある。最近ゲームを見ていると、登録は内野手でありながら、外野を守っている。本人は「いろいろ経験することはいい事だと思っていますし、内野だからとか、外野だからとかの意識はありません」これから秋季キャンプ等、1軍首脳陣にもアピールするチャンスは十分あるし、この前向きの姿勢がいい。秋山同監督に聞いてみても「可能性があれば、どこでも守れた方がいい。ゲームに出るチャンスは多いはず」。同2軍監督も内野手から外野へコンバートされた経験の持ち主。そして、長打力と確実性を持ち合わせた選手だった。走、攻、守、三拍子揃っていた自分とダブらせるほどの“大器”として期待を寄せている。
September 15, 2006 12:05 PM
2006年09月08日
ファーム連覇の柱
~今季の勝ち頭・筒井和也投手~
ファームの連覇は秒読み。その優勝を大きく引き寄せたのは、ローテーションをきっちり守り、1シーズンを投げ抜いた筒井和也投手(24)だろう。愛知学院大から自由枠で入団して3年目。本来なら1軍でローテーション入りしているべき投手かもしれないが、年々レベルアップしているのは確か。新人の年の横浜戦で初登板、初先発、初勝利を挙げ、大いに期待されたが、まだ1軍定着を果たしていない。今季は2軍戦とはいえ8勝5敗(5日現在)で勝ち頭。防御率の4点台は気にいらないが、投の軸として投げ続けたことを自信に結びつけてほしい。
3年間筒井を見続けてきた葛西コーチは「調子のいい時と悪い時の差がありすぎる。やはりバラツキがあるんですよ。何とかまとまらないものかと、色々アドバイスをしているんですが…。いまひとつですね。でも、今年の8勝は今までで一番多い勝ち星を挙げている。防御率はよくないが、先発投手の場合、ゲームを作っていかないと勝ち星はついてきませんから」。愛情のこもった指導をしている発言だ。同コーチ、個人をつかまえてじっくりアドバイスしたり、時には全員を集めて1軍へ上がった時の心構えのミーティングをしている。
現状ではまだ1軍へ上がれない。筒井は「調子にバラツキがあるのはよくわかっています。昨年からの課題ですが今年もいまひとつです。自分で自分が気に入らないところがいっぱいあります。やることだらけだと思います」。少しでも早く現状を打ち破るためには、コーチからアドバイスを受けたこと。他選手を見て得たもの。相手打者と勝負して気付いたことなどから出した答えで、自分が何をすべきかを決めて練習することだ。
「1軍へ上がるためには、ファームで何試合も続けていい結果を出すことですが、今年の8勝は、ちょっとリリーフに出て勝った量ではなく、先発して一応ゲームを作って挙げた勝ち星だと思いたいし、今後は、技術面、精神面とも自分の形を作ることだと思います」。
いい球を投げるための基本は、まずはフォームのバランスである。そして、体の切れ、球の切れ、腕の振りに低めへのコントロール、さらに、ウイニングショットであり、9分9厘の確立でストライクを取れる球種。リリースポイントのマスターは集中力だ。今年の8勝から得たものを無駄にするな。
September 8, 2006 04:11 PM
2006年09月01日
先発起用で自滅解消へ
~プロ入り初勝利を挙げた阪神・中村泰広投手~
「プロ入り初勝利は先発で挙げられましたし、自信にはなりましたが、逆にあの試合、ひとつも三振が取れてないんですよ。ファームであれば空振りする球でも、1軍ではバットに当てられる。別に三振が取りたいわけではなく、バットに当てられてもアウトを取れるというか、打者を打ち取れるピッチングを考えないとダメですね。要するに投球内容の組み立てをきっちり考えて投げないと通用しません。もっと、もっとレベルを上げて練習します。いい勉強をしてきました」。
7月12日の対広島9回戦でプロ入り初勝利を挙げた。初先発で初勝利。中村泰広投手(27)は入団当時、キャンプなどでピッチングを見ていると、実に切れのいい球を投げていた。174センチと小柄だが、ダイナミックなフォームをしている。腕の振りは鋭い。1軍で活躍できる要素を持っていたし、その年、開幕戦は1軍のベンチ入りをしていた。奈良の郡山高から慶応大、そして、日本IBM野洲を経て阪神入り。左投手、ワンポイントなど、リリーフなら即戦力の計算をしていたはずだが、正直、期待を裏切った。
問題はコントロールだった。制球が乱れだすと止まらない。過去3年間、1軍の登板をイニングにしてみると6、5、3回と投げているが、与えた四死球は8、5、5個。なんと14イニングで与四死球が18。これでは首脳陣に認めてもらえるはずがない。ウエスタン・リーグに登板してもバラつきがある。試行錯誤を重ねる中、今季先発を中心に起用してみると、四球を連発する自滅癖が解消されだした。
葛西コーチは「確かにそうですが、昨年ファームで先発した時の四球を数えてみると、今年とかわらないんですよ。だから、急に良くなったわけではないと思います。ファームの子は皆どうしてもバラつきがある。中村もそうですが、彼の場合、勢いで投げていくタイプなんで、もっと考えて投げてほしい。技術的にはレベルアップしていますから、投球内容をこのカウントから、この球を投げたらどうなるかなど、もっとレベルを高いところに置いてほしい」と話している。
コーチも成長は認めているし、プロ入り初勝利が実証している。今、ファームで再調整しているが、1軍定着にはできるだけ早い機会に、もう1度、己をアピールすることが望まれる。「リリーフの場合、ひとりが対象というか、登板した時の打者を歩かせたら即交代ですが、その点、先発は1イニングとか、5回1点、あるいは2点などトータルで考えればいい。気分的に余裕が持てるし投げ易い」と精神面を主張。自信を持つことは大事だ。この自信で課題が解消できるか。中村の場合まだ実績はない。起用法を考える前に、もう1度技術を磨くために頑張って、頑張って、頑張り抜いて制球力を体にたたき込んでほしい。
September 1, 2006 11:55 AM