2006年08月11日

苦労人

~育成担当、阪神遠山コーチ~

 育成担当コーチ-。高校出の新人、あるいは故障者を担当する。選手が技術を磨けるようになるまでの過程を指導するというか、リハビリを含め選手が100パーセントの力で投げ、打ち、走ることができ、ゲーム出場が可能なまでにするのが持ち場。その後は投、打、守、走の各コーチに委ねる陰の仕事人。遠征に同行することもなく、連日鳴尾浜球場でバッティング投手もこなし、選手と一緒になって汗を流す苦労人、遠山コーチにスポットを当て、いままでと違った角度からファームをのぞいてみた。

 故障して、身も心も傷ついて下りてくる選手。まだ右も左もわからないままの若手。望まれるのは精神面のケア。自分が体験してきたこととはいえ、人に何かを教えるのは非常にむずかしい。性格が違えば、考え方も違う。自分に当てはめるわけにはいかない。「そうですね。声をかけるタイミングが非常にむずかしいですね。この仕事をしてみて一番気を使うのはその点ですね」相手の性格を把握しておかないとできない。まさに根気と我慢、そして愛情だろう。

 高校からドラフト1位入団。その年いきなり8勝をマーク。右打者の胸元をえぐるマッスラ(ナチュラルスライダー)の威力は抜群の左投手だったが、その後ロッテに移籍。一時は打者に転向するなどの体験をして再びテストを受けてタイガースへ。野村監督時代の1999年、遠山-葛西-遠山といった、マウンドから一度一塁を守り、再度登板するリレーは話題を呼んだ。そして大の松井(現ヤンキース)キラー。同年、カムバック賞に輝くなど、翌年はオールスターに出場。数々の苦境を乗り越えてきた苦労人、持って生まれた明るい性格もひと役買っている。

 「長い間あずかりましたが、橋本にもメドが立ってきた。本来なら昨年同様1軍で活躍しておるべき選手ですが、今年じっくり鍛えたことで体力的にも、精神的にもひと回り大きくなりました。故障してよかったといえるぐらいです。また岩田(希望枠)は大学時代、体調を考えながら、大会などに合わせた練習で通用していたみたいですが、プロはそんなに甘くない。ふだんから厳しい練習を続けないと成長しない。だいぶいい形にはなってきました。辻本ですが、細かい動きは結構シャープで、下半身はしっかりしていますが、肩とかヒジを含めた筋肉が細いので現状ではあまり投げ込んだりができない。ただ、まだ若いので時間はじっくりかけられます」。

 気になる選手の現状を話してくれた。プロ野球界にも、ユニホームを着ていながら全く日の目を見ない人がいる。阪神では水谷、加藤、遠山の3名が育成コーチ。「今後も会話を重点に選手を支えていきますわ」(遠山コーチ)。叱咤、激励の使い分けがカギ。その役割は大きい。

August 11, 2006 11:07 AM