2006年08月25日
ウエスタン・リーグ連覇へ突然の大役
~阪神・立石2軍監督代行~
阪神タイガースに優勝マジック「10」が点灯した。弟分のウエスタン・リーグ、公式戦は終盤を迎え、残りゲーム数は少なくなってきた。1軍の苦しい優勝争いを尻目に連覇に向かって順調そのもの。2位サーパスとの差は6・5。見た目は余裕のペナントレースに思えるが、ここへきて、やっと気持ちにゆとりらしきものが出てきたのは立石2軍監督代行だ。
島野2軍監督が体調を崩した。突然やってきた大役。気持ちの整理をする時間はなかった。「まあ、各担当コーチの協力があってやってこれた事です。選手も頑張ってくれていますから」。さらりとこう語ったが、いち担当コーチの場合、自分の持ち場が打撃であれば、バッティングのみの指導になるわけだが、監督代行となれば選手の全体を見届けるのはもちろんのこと、各担当コーチを束ねていく必要がある。これまでのように一部間だけでなく、何事も把握しておかないと采配等うまくいかない。
ゲーム前の練習。立石2軍監督代行の動きを見ているとなかなか精力的だ。バッティングケージの後ろで選手をつかまえて、ティーバッティングでフォームをチェックしていたかと思えば、今度は打撃投手をやっている。やや太目の体で汗ビッショリかきながら投げている。「いやあ、どこのチームのコーチもやっていることですから」。ゲーム後は、今度はノックバットを持って外野ノック。大声でハッパをかけながら選手を左右に走らせている。
精力的な指導は、選手とのコミュニケーションにもつながる。「できるだけ多くの選手をゲームで使い、少しでも多く選手を1軍に送れればと思ってやってきましたが、常に1軍で必要とされる選手は、いつ声がかかってもいいような調整をし、若いレベルアップが要求される選手は大いに鍛えてきたつもりです。あと少しですし頑張ります」。ファームはこうしたギャップといおうか、兼ね合いがありながら結果を出していくのが大変。「勝ちにこだわらなくてもいい」とは言われるものの、若い選手に一番大事な“自信”を植え付けるために勝利を重ねることが必要であることを、最もよく知っているのは野球を経験してきた監督、コーチである。ファームとはいえ、勝ちにこだわってこそ連覇がある。
August 25, 2006 04:46 PM
2006年08月18日
育成選手から支配下選手へ
~ソフトバンク・小斉祐輔外野手~
育成選手から支配下選手に。背番号が3ケタの121番から93に。そして、1軍に昇格した。今年からプロ野球界が設けた“育成ドラフト”の制度。ドラフトにかからなかったアマチュア選手への救済が目的だが、年俸は240万。3年間で必要としなかったら無条件で整理される。ウエスタン、イースタン(2軍戦)両リーグとも公式戦には出場できるが、育成選手の身分のままでは1軍の試合には出られない。待遇は決して良くないが、それを承知でソフトバンクへ。小斉祐輔(23)。PL学園から東農大生産学部を経て入団。
思い切りのいいバッティングはメキメキと頭角を現した。ウエスタン・リーグでは一時、打撃ベストテンのトップに立った。8月17日現在、2割8分5厘をキープしているが「日本で一番レベルの高いプロでやってみたかった。ノンプロ入りも考えたが、2年後、プロから声がかかるかどうかもわからない。チャンスだし、遠回りするよりいいと思って決めた」だけあって練習は熱心だし、結果も出した。今シーズン中に支配下選手になるリミットは6月いっぱいだったが、小斉は月初めに支配下選手と1軍昇格を果たした。
大学では1年生から4番バッター。パンチ力もあり、昨秋のリーグ戦では最優秀選手に輝いた。育成ドラフト選手とはいえ、非凡なセンスの持ち主だ。秋山2軍監督は「長所はボールを遠くへ飛ばせる力も持っているということ。元々体が開く欠点はあったが1軍でそれがはっきりしたので、いま体を開かず左方向へも打てるように修正している。練習はよくしますよ。ほっとしていたらいつまででも打っていると思います。性格もPLでだいぶ鍛えられているし、しっかりしていますよ」。厳しく鍛えるのを楽しみにしているようだ。
1軍で結果は出せなかったが、目的の6月までの昇格は果たした。一応の目標達成に気持ちの高ぶりとか、満足感はあったのかを聞いてみた。その素晴らしい返事に、彼の将来を見たような気がした。「1軍へ上がることが目的ではない。1軍でコンスタントに活躍できるようになってこそ、この世界にはいってよかったと思えることで、まだ、スタートラインに立っただけです。でも、雰囲気は味わえたし、いい体験はできたと思います。頑張ればやっていけそうな気がする。バッティングでアピールしたいですね」。練習をやり続けても進歩の分岐点がどこにあるかわからない。だから練習を続けるのは苦しいが、野球を体で覚えるもの。歯を食いしばって頑張れ。
August 18, 2006 12:46 PM
2006年08月11日
苦労人
~育成担当、阪神遠山コーチ~
育成担当コーチ-。高校出の新人、あるいは故障者を担当する。選手が技術を磨けるようになるまでの過程を指導するというか、リハビリを含め選手が100パーセントの力で投げ、打ち、走ることができ、ゲーム出場が可能なまでにするのが持ち場。その後は投、打、守、走の各コーチに委ねる陰の仕事人。遠征に同行することもなく、連日鳴尾浜球場でバッティング投手もこなし、選手と一緒になって汗を流す苦労人、遠山コーチにスポットを当て、いままでと違った角度からファームをのぞいてみた。
故障して、身も心も傷ついて下りてくる選手。まだ右も左もわからないままの若手。望まれるのは精神面のケア。自分が体験してきたこととはいえ、人に何かを教えるのは非常にむずかしい。性格が違えば、考え方も違う。自分に当てはめるわけにはいかない。「そうですね。声をかけるタイミングが非常にむずかしいですね。この仕事をしてみて一番気を使うのはその点ですね」相手の性格を把握しておかないとできない。まさに根気と我慢、そして愛情だろう。
高校からドラフト1位入団。その年いきなり8勝をマーク。右打者の胸元をえぐるマッスラ(ナチュラルスライダー)の威力は抜群の左投手だったが、その後ロッテに移籍。一時は打者に転向するなどの体験をして再びテストを受けてタイガースへ。野村監督時代の1999年、遠山-葛西-遠山といった、マウンドから一度一塁を守り、再度登板するリレーは話題を呼んだ。そして大の松井(現ヤンキース)キラー。同年、カムバック賞に輝くなど、翌年はオールスターに出場。数々の苦境を乗り越えてきた苦労人、持って生まれた明るい性格もひと役買っている。
「長い間あずかりましたが、橋本にもメドが立ってきた。本来なら昨年同様1軍で活躍しておるべき選手ですが、今年じっくり鍛えたことで体力的にも、精神的にもひと回り大きくなりました。故障してよかったといえるぐらいです。また岩田(希望枠)は大学時代、体調を考えながら、大会などに合わせた練習で通用していたみたいですが、プロはそんなに甘くない。ふだんから厳しい練習を続けないと成長しない。だいぶいい形にはなってきました。辻本ですが、細かい動きは結構シャープで、下半身はしっかりしていますが、肩とかヒジを含めた筋肉が細いので現状ではあまり投げ込んだりができない。ただ、まだ若いので時間はじっくりかけられます」。
気になる選手の現状を話してくれた。プロ野球界にも、ユニホームを着ていながら全く日の目を見ない人がいる。阪神では水谷、加藤、遠山の3名が育成コーチ。「今後も会話を重点に選手を支えていきますわ」(遠山コーチ)。叱咤、激励の使い分けがカギ。その役割は大きい。
August 11, 2006 11:07 AM
2006年08月04日
目指せ1軍定着
~真面目人間、阪神藤原通選手~
5年間同じ事を繰り返している。1軍には必ず一度は上がるが長続きしない。今年も一度昇格したもののチャンスをつかむことはできなかった。藤原通内野手(27)、地元兵庫は神港学園から立命大を経て阪神タイガースへ。当時、広報担当として同チームに在籍していた私から見ると、早く1軍に定着してほしい選手の1人。内外野を守れるユーティリティープレーヤー。首脳陣にしても使い勝手はいいはずだけにもどかしい。
真面目な選手だ。野球に取り組む姿勢は申し分ない。練習量はファームでも1、2を争う。「いまちょっと調子を崩していますが、疲れなど暑さは関係ありません。もともと夏は好きです。技術的な面ですね」。普通、真面目な選手は考え過ぎて立ち直りが遅いというが「僕はそんなに長くかかりませんから」。さすが練習の虫だ。先月25日、社会人野球との交流戦(対日本生命)の試合後、室内で懸命に打ち込む藤原の姿があった。あのほとばしる汗を見る限り期待していいだろう。
1軍に定着できないネックはなんだろう。大きな欠点でもあるのか。問題はバッティングではないかと思い、平塚コーチに話を聞いてみた「欠点ははっきりしています。彼の場合、タイミングをはずされると、下半身が全くついていかないんですよ。どうしても上体だけで打ちにいくので、フォームは崩れるし見た目もよくない。まだ、現状では1軍は無理ですが、打率にしても今年が1番いいように、年々良くなっているのは確かです」。8月1日現在3割をキープ。1軍への土台は築いている。遠い道程ではない。
選手層の厚いチームだ。中途半端な力ではなかなか認めてくれない。やはり、何かアピールするものが必要だが、藤原には突出したワザはない。攻守においてコンスタントに力を発揮することだ。「過去、ファームでも3割は打ったことがないが、1軍に定着するには、いま与えられた場所で結果を出していかないとダメだと思います。打つ方ではコンスタントに。守りでも、内外野を守れるといっても、どっちつかずではいけませんので頑張ります」。いかにも真面目人間の返事だが、一心に野球に取り組む姿勢がある。これをやり通した人は1軍選手になっている。
August 4, 2006 11:55 AM