2006年06月30日
走、攻、守三拍子
~阪神赤松真人選手~
本来なら1軍ベンチに居てもおかしくない選手。阪神赤松真人外野手(23)。6月9日から1度1軍に昇格したが、6試合でファームへ。「結果を求め過ぎました」。内容は盗塁こそ決めたが、ノーヒットに終わった。走、攻、守、三拍子揃った期待の星だ。京都出身。平安~立命大を経て昨年入団。ウエスタン・リーグではあるが、いきなり首位打者と盗塁王に輝き、最高出塁率まで獲得した。プロ野球選手として順調に育ってきたが、今年は“故障”というアクシデントが出世を妨げている。
大事な時になるとケガをする、ツキの無い選手がいる。私もこれまで何人か見てきた。今年の赤松を見ていると、そんな運命を抱いているのではないかと心配する。昨年の秋季練習もそうだったが、新しい気持ちでスタートした今季、まずキャンプで右足を痛めて2軍落ちした。オープン戦でも声はかかったがドクターストップ。そして、ファームの開幕戦で左手甲にうけた死球で骨折。遠回りせざるを得なかった。「初めは焦りました。少しでも早く復帰したくて少々無理をしましたが、中途半端ではやはり体が思うように動かないし、焦りは禁物だと気付きました。野球選手が野球できないのは辛いですね」。肌で感じとった教訓には実感がこもっていた。
もう大丈夫だろう。2度と繰り返さないことを肝に銘じて、いまファームで頑張っている。28日現在、打率3割6分4厘で7盗塁を決めている。「今、調子はあまりよくないが、この前1軍で先発で使ってもらったし、いい体験をしてきました。ヒットが打てなかったのは残念ですが、今回一番いい勉強になったのは、1軍では精神的にタフでないと務まらないのがよくわかりました。“結果を出さないとファームへ落とされる”こんな気持ちではダメですよね」。初のスタメン。プレッシャーのかかる状況での勝負は、精神力がものをいう。技術と共に心を鍛えよ。
これからもお呼びはかかる。外野手予備軍の1番手。そのまま1軍に定着するのが理想だ。平田ヘッドコーチは「間違いなく外野手の1番手だね。今年はちょっと故障の多いのが気になるが、走って、守れるのは強み。常に実戦練習を心がけ、いつ呼ばれてもいいように用意しておくべき選手です」。他チームなら1軍にいる。性格は猪突猛進形。28日のオリックス戦では4安打の固め打ちを見せた。1軍に向かって突き進め。
June 30, 2006 10:34 AM
2006年06月23日
長距離砲の期待
~中日新井良太選手~
「ファームでは、何番を打っていてもバントのケースになれば、バントをさせます。ファームではクリーンアップでも、1軍では何番を打つかわかりませんから。でも、新井は別です」。佐藤2軍監督の話だ。新井良太内野手(22)は長打力を売り物にするバッター。チームの方針としては大きく育ってほしい選手なのだ。駒大出の新人、東都大学リーグでは歴代7位の14ホーマーを放っている。
ウエスタン・リーグではあるが、4番にドッカと座っている。成績は18日現在121打数28安打で打率は2割3分1厘。ホームランゼロで9打点。持ち味の長打力がまだ発揮されていないのは気になるが、バッティングフォーム等は兄貴によく似ている。「確かに兄貴と比較されることはよくありますが、ある意味、これは僕の特権だと考えるようにしています。そうですね。みなさんが思っているほど気にしていません」。実をいうと、昨年、セ・リーグのホームラン王に輝いた広島・新井の実弟である。背番号も兄と同じ「25」。懸命に1軍を目指している。
期待されての入団だが、なかなか思うようにはいかない。今、苦しみのド真ん中であえいでいるはずだ。死に物狂いで頑張るしかない。鍛えに鍛え抜いて体にたたき込むしかない。「そうです。練習あるのみです。今の僕には、これまでの経過が順調だとか、遅れているとか、納得しているとか、していないとか言っている場合ではありません。まだまだやる事はたくさんありますし、やっぱり僕には練習しかないですね」。言い訳はしたくないのだろう。成績を見れば言わんとしていることはわかるが、与えられた試練は、自分に打ち勝つチャンスでもある。克己を持て。
兄貴もどちらかといえば遅咲きだった。今後も苦しい局面にぶち当たるだろう。勝負事はやってみないとわからない。少々の事があっても、変なコンプレックスは捨て、当たって砕けるしかない。チームの期待は長距離打者。「自分でもそうありたいと思っていますし、長打が打てるバッターを目指して頑張ります」。苦しみの向こうには夢がある。何事も一心にやり続けた人は、必ず、1軍選手になっている。
June 23, 2006 12:50 PM
2006年06月16日
売りは長打力
阪神タイガース喜田剛内野手(26)。売りは長打力。昨年ウエスタン・リーグのホームラン(21本)打点(55)の2冠王だ。今季はキャンプからオープン戦にかけて、ずっと1軍にいた。その期待度がうかがえるが、開幕と同時にファームへ。現在、ウエスタンで1軍昇格へのアピールの真最中だ。12日現在、打率2割4分7厘は望まれている安定感にはいまひとつ欠けるが、7ホーマーを放ち、24打点は今年も2冠。持ち味は大いに発揮している。
最近調子は上昇気味。「シーズン当初は調子が悪く、なかなかいい結果が出ませんでしたが、いまは、かなり調子は上向いています」。やっとトンネルを抜け出し、本人はその気になってきても、チーム事情によるが、なぜか上から声がかからないケースがある。選手層の厚さは12球団No.1の阪神だ。喜田のポジションは一塁手。1軍のファーストには打力、守備力とも備わったシーツがいる。どうしても声はかかりにくい。
平塚バッティングコーチに、喜田の現状を聞いてみた。「いま、やっと調子が上がってきた。狙った球がだいぶ打てるようになったね。シーズン当初は、狙った球もほとんど打ち損じていたし、そうなると応用もきかなくなるので、すべてが悪循環になっていた。確かにいまは調子はいいが、もうワンランク上というか、もうひとかわむけてほしい」。厳しい注文だが、1軍へ上がった時のことを考えれば、見る目が厳しくなるのは当然だろう。
大学を出て今年で5年目。体力的には脂の乗り切った年齢だが、こういう立場の選手の一番大事な点は精神力だ。我慢できるかどうか。かつて、掛布やバースなどの影にかくれたまま球界を去った選手がいたが、救われるのは喜田の野球に対する姿勢はどこまでも前向きなことだ。精神面を聞いてみたが「1軍昇格は自分で決めるわけにはいきませんから…。いま、本当、調子はいいしこれからですよ。精神的な面は大丈夫です」。この気持ちが頼もしい。ライバルに勝てない、とか、自分では無理だ、とか、諦めから始まる練習からは何も生まれてこない。夢は見続けるものだし、勇気も持ち続けてほしい。夢と勇気は自分に強さを与えてくれるはずだ。
June 16, 2006 09:02 AM
2006年06月09日
若手育成への情熱
今シーズン、ソフトバンクの王監督は“若手起用”をチームの基本方針としてスタートした。井口が抜けた。城島も抜けた。両選手とも夢の大リーグに挑戦して頑張っている。戦力ダウンは当然のことだが、弱少球団を何年もかけていまの常勝チームにした王監督は、現状と将来を見極めながら、チームの転換期という危機を乗り越えていく考えだ。この方針をしっかり受け止め、若手育成に全力を傾け、次々と1軍に若い選手を送り込んでいるのが秋山幸二2軍監督である。
驚くことに、昨年のドラフト会議から導入された育成制度で獲得した2選手を、早くも1軍に昇格させた。四国アイランド・リーグの愛媛マンダリン・パイレーツから入団した西山道隆投手(26)と打者では、PL学園~東農大生産学部出身の小斉祐輔選手(23)。この2人、ドラフトにもかからなかった選手。入団した当時の実力のほどがわかろうというもの。その他にも辻、城所などなど、若手の昇格が目立っている。
秋山2軍監督は、いとも当たり前のように「今年は、はじめから若手を起用していくことが1軍の基本方針ですからこういう形になっていると思います。でもね、ファームでもいい結果を出さないことには上へあげてくれませんから。みんな、一生懸命練習して自分でチャンスをつかんでいきましたよ」。選手におほめの言葉を贈っていたが、2軍選手の指導には根気がいる。タップリ時間をかけることが要求される。首脳陣の並々ならぬ努力のたまものだろう。
信念と愛情。根気と我慢。そして時には非情になることも必要だ。基本練習の反復。継続は力なり。一日一日の積み重ね。一球一球の積み重ね。一打一打の積み重ね。一試合一試合の積み重ね。その結果が成長につながる。「確かに、地元にいる時はたっぷり時間をかけて練習しています。選手の長所を伸ばすことを重点にして、各担当コーチがよくやってくれています。でもね、私から見たらまだまだ力不足の選手はいます。いずれ、ファームに戻ってくる人もいるのでしょう。その時はまたガンガン鍛えていきますよ」。秋山2軍監督の若手にかける情熱は凄まじい。ソフトバンクの将来は心配ない。
June 9, 2006 11:08 AM
2006年06月02日
チーム再建へ
~広島一筋・山崎立翔2軍監督~
「当たり前のことを当たり前にできるようになれ」。一般社会を含め、あらゆる世界の肩書きを持つ役職者のだれもが部下に期待することである。特にプロ野球界の指導者の願いは強い。試合の中での展開は刻一刻と変化していく。その状況によって作戦も変わる。そして、最終的にはお客さんに楽しさと感動を与え、自チームファンに白星をプレゼントする。勝利のための作戦成功には「当たり前のことをあたり前にやる」ことが、必要不可欠な技術なのだ。
広島東洋カープは今年ブラウン監督を迎え、複数年の計画をたて、チームの建て直しを図っている。そういう意味でも大事なファームを指導する山崎立翔(りゅうぞう)2軍監督(48)の、基本だけはみっちりたたきこんでおく方針が「当たり前のことをあたり前に」だった。簡単にできるようでできない。1軍の選手でもなかなかむずかしいことだが、自チームのゲーム展開を有利に進めていくためには一番大事なこと。たたき込むには今しかない。
「いやあ、これっといった方針は立てていませんが、選手に毎日言い聞かせているのが『当たり前のことをあたり前にできるようになれ』なんですよ。簡単なように思えて、ある意味、一番むずかしいことかもしれません。なかなか思うようにいきませんね」
山崎2軍監督の話だが、指揮官はゲーム状況を見て作戦をたてていく。その場面の最善の策を考えて出したサインが失敗に終ろうものなら、また次の作戦を考えざるを得ない。失敗が重なればやる事が後手、後手にまわり負け試合になる。その当たり前の事とは――。バント失敗。エンドラン時の凡フライと空振り。完全な暴走。投手のコントロールミス。特に、一発だけは絶対に警戒しないといけないケースでありながら、手元が狂ってホームランボールを投げてしまうなど、さけることのできるミスを犯すことだ。
ファームの場合、技術はまだ未熟だ。即結果を求めるのは無理。辛抱強く指導していくしかない。根気のいる仕事だが、試合前の練習を見ていると、山崎2軍監督は常に選手をつかまえて、コミュニケーションを図っている。そしてバッティング投手も務める。「投げる人が少ないですから」。1軍にはバッティング投手がいるが、ファームにはいない。監督のこうした姿を見せられては選手は手を抜けない。「当たり前のことが、当たり前に」できるようになった時の広島東洋カープは要注意である。
June 2, 2006 10:45 AM