2006年04月28日

ポスト矢野を争う2人

~阪神狩野恵輔、岡崎太一両捕手~

 タイガースのホームベースを守る矢野輝弘捕手も、ことし38歳。まだまだ元気だといっても、いつまで現状を保てるか。チームとしてはゆっくり構えているわけにはいかない。矢野が退いたあと、実力に大差なくマスクをかぶる選手が出てくるのが理想だ。現在1軍には野口と浅井が帯同しているが、正捕手争いは実に激しい。

 ファームでは狩野恵輔(23、前橋工)、岡崎太一(22、松下電器)の両捕手がウエスタン・リーグでマスクをかぶり、実戦経験を積みながら飛躍を目指している。

 狩野は今季6年目を迎えている。経験を積み、守備面ではフットワークもよくなってきた。

 「リード面で内角球を使うことを心がけている。間違ったら1発があるので怖いが、内角を攻めないとリードの幅が狭くなる。試合では、ブルペンの調子とマウンドに上がってからの様子を見ながら、その日のいい球を中心にピッチングを組み立てていきます。バッティングも手首をこねる悪いクセがだいぶ直ってきましたし、なんとかいい感じになってきました。もちろん1軍でマスクをかぶるのが目標ですが、今はウエスタンでしっかり実戦を学んでいます。中途半端で(1軍に)上がるよりいいと思ってやっています」

 選手の器には大小あるが、常に器いっぱいの頑張りを繰り返せば、その器は大きくなる。

 もう1人の岡崎は、智弁学園から松下電器を経て入団したエリートだ。

 「ことし2年目ですし、プロの流れが分かってきたというか、次にやることが読めるようになりました。気持ちはだいぶ楽になりました。何事も攻めていくことを考えてプレーしています。リード以外でも、例えばバント処理なら、瞬間二塁は間に合わないと思っても、まず二塁へ送球することを前提に処理します。リード面でもどんどん攻めています。当然、引くところは引きますがね。1軍にいつ呼ばれてもいいように勉強しておくのが、今の自分だと思いますし、何でもどん欲に吸収したい」

 現在、試合では両捕手を併用している。年齢は1歳違い。首脳陣としてはライバル心をかきたてて、競争させるのが狙いだ。勇気と元気と努力。野球を好きであり続けた選手には、必ずチャンスは訪れる。

April 28, 2006 04:20 PM

2006年04月21日

厚い2人の壁に挑む

~中日森岡良介内野手~

 コツコツと努力を重ね、ウエスタン・リーグで中日の3番バッターとして活躍している。174センチ、71キロ。右投げ、左打ち。小柄だが素晴らしい野球センスを持っているのが、森岡良介内野手(21)だ。高知の名門、明徳義塾の出身。ドラフト1位で入団して3年が経過した。順調に成長しているが、厳しい現実を打ち破ることができるか-。

 高校時代の甲子園大会では攻、守にわたって大活躍して、超高校級の遊撃手として注目を集めた。プロ入り後も一歩一歩、階段を昇っているが、1軍での活躍を目指す森岡の前には大きな、分厚い壁が立ちはだかっている。森岡は現在、セカンド、ショートの両ポジションを守っている。中日の二遊間といえば、いまや球界を代表する1、2番コンビの荒木と井端である。簡単に追いつき、追い越せる相手ではない。

 ライバルの存在は大き過ぎる。かといって、手をこまねいて去って行くのをじっと待っていられる世界ではない。森岡にとって当面の目標は「1軍に上がること、1軍に定着すること」だが、これをクリアするために「目標は高く、守りではエラーをゼロにしたい。バッティング面でも結果を出していきたい」という。求められるのは走・攻・守の三拍子が揃ったプレーヤーになることだ。

 1軍定着まで時間はかかるかもしれない。我慢が必要になるだろう。焦って精神面で己に負けたらそこで終わりだ。「確かに大変かもしれませんが、自分としては周りのことは意識しないようにして、自分のことをしっかりやっていこうと思っています」。レギュラーをつかむためには、自分をしっかり見つめて、何事も吸収していく心構えで練習に取り組むほかはない。

 チャンスは必ずやってくる。荒木、井端も不死身ではない。転換期は訪れるだろうし、いつ故障するかわからない。チームは、そういう時になんの違和感もなく、スムーズに空いたところに入り込んでくれる選手に期待しているはずだ。

 佐藤2軍監督に聞いてみた。「当然、あの2人のあとに考えているが、まだ力不足だね。バッティングも守備ももっとしっかりしてほしいね」。辛口評は森岡への期待の裏返しだろう。18日のウエスタン・リーグ阪神戦では、3四球を選んで出塁した。翌19日の試合では走者をおいて得点につながるヒットを打った。継続は力なり。常に緊張感を持って野球に取り組んでほしい。

April 21, 2006 11:00 AM

2006年04月13日

3年目を迎えた「広島の星」

~広島白浜裕太捕手~

 広島東洋カープの正捕手争いは激しい。石原、倉、木村一が中心となってマスクをかぶっているが、その一角に食い込もうと黙々と厳しい練習に取り組んでいるのが、プロ入り3年目の白浜裕太(20、広陵)である。地元の広陵高出身。2003年のセンバツ高校野球では、巨人に入った西村健太朗とバッテリーを組んで全国制覇している。背番号12が期待度の現れとみていい。

 「まだまだ勉強することが多いんで…」。実直な姿勢がいかにも捕手らしい。現在、瀬戸バッテリーコーチからマンツーマンで英才教育を受けている。ウエスタンリーグでも捕手学を猛勉強中だ。瀬戸コーチは「捕手としての素材は申し分ないし、すべての面でワンランク上を目指してほしい。彼ならできるはずです」と教え子の成長を確信している。

 捕手というポジションは、デビューするまでに自分自身に備えておくべきことが多くある。楽天の野村克也監督が、タイガースの監督に就任した時に作成した「ノムラの考え」に目を通したことがある。捕手の心得として20前後の項目があった。記憶している項目を並べてみると…。

 <1>捕手は守りにおける監督の分身である<2>投手を思いやる心、目配り、気配りが必要<3>チームの野球博士になれ<4>投手からの信頼を得よ<5>主役はあくまで投手である<6>洞察力、勘を働かせよ<7>捕球術は投手を調子に乗せる武器になる<8>送球は速く、正確に、強く<9>1球の恐ろしさを知れ、配球で1球の根拠を持て、などなど。難題は山積みだ。

 「当たり前のことを、当たり前にできるようにしたい。やることがたくさんあるので、1つひとつやっていくしかない。そりゃ、バッティングと守備面が同時によくなってくれたらいいけど、そんな甘い世界ではないと思っていますから」

 肩を強さは抜群だ。練習態度はマジメそのもの。体は年々、大きくなっている。そして、高校野球とはいえ、球児あこがれの甲子園で優勝している。いい星の下に生まれているはずだ。才能といい何より得難いものを持ち合わせている選手だ。

April 13, 2006 02:42 PM

2006年04月06日

ナニワのゴジラは大物

~オリックス岡田貴弘~

 ヤンキースの松井秀喜に憧れ、背番号が55なら、高校時代に放ったホームランが通算55本。マスコミがつけたニックネームが「ナニワのゴジラ」。夢はでっかいほうがいい。今季オリックスが高校生ドラフト1位で獲得した岡田貴弘外野手(18=履正社)がその男である。186センチ、93キロの恵まれた体格。持ち味は当然、長打力。将来の4番打者候補として期待大だ。

 スカウトのめがねにかなってこの世界に飛び込んできた選手は、全員がプロで通用する素質を持っているが、野手では打線のクリーンアップを、投手ならエースになれる選手は、ほかの選手にくらべ特出した力を持っている。岡田はチームの打の柱になれる素材に間違いない。「僕の持ち味は長打力ですから、目指すのはやはり長距離打者です」。はっきりした目標を持っている。

 苦しい道のりは、まだ第一歩を踏み出したばかり。岡田を大石大二郎2軍監督に聞いてみた。「まだ高校を出たばかりで、体はできていません。キャンプでもけがをして満足に練習をしていないんですが、帰阪してからのファームの練習試合で結構、打っていましてねえ」。きっちり片りんを見せているのはさすがだ。

 「バッティングにしてもまだまだ欠点はあります。踏み出した足が開くので、腰も同じように開いてしまう。だから、バットのヘッドが出てこない。バッティング練習でもバットの芯で捕らえる数が少ないが、これからの選手です。遠くへ飛ばせる力があるのは魅力ですし、将来の中心打者になる素材です」

 大石2軍監督が楽しみにしている逸材。登録は外野手だが、4月4日のウエスタン・リーグ対阪神戦(鳴尾浜)では、一塁手としてスタメン出場していた。チームとしては、岡田の可能性を模索しているようだ。「バッティングもまだまだですが、守備が下手なので、守りの方も一生懸命やっていきたい。まずは1軍に上がることが目標ですが、この1年は、自分としては下半身をみっちり鍛えていきたい。足腰がしっかりしてくれば、バッティングも、守りもついてくると思います」。ナニワのゴジラに浮ついた気持ちはない。しっかり自分を見つめている。己をいじめにいじめ抜け。

April 6, 2006 10:27 PM