2006年03月03日
厳しいファームの実態
~選手編~
OB会役員として、タイガース第2次キャンプ地の高知・安芸市へ陣中見舞いに訪れた。1、2軍が合流した直後の紅白戦。ファーム選手の目の色は変わっていた。1軍昇格をアピールする最高の場。喜田剛(26)、桜井広大(22)が持ち味を発揮したホームランを放った。新人・前田大和(18)が赤星の三遊間の打球を見事に処理して一塁で刺した。前評判通りの守備だ。今年も激しい争いが始まった。己を追い込まないことにはライバルに勝てない。厳しいファームの実態とは…。
「選手の指導は平等に」。2軍監督、コーチの指導方針だが、そんな生やさしくはない。かつて、西鉄(現西武)を3年連続で日本一に導いた名監督、故三原脩さんがこんな話をしていた。「1年に1人、1軍に定着できる選手を送り込んでくれたら、10年後には凄いチームになります。ファームはそれでいいんですよ」と。私がタイガースのフロントに在籍していた当時、この話を持ちかけてみると、どのコーチも「その通り」と答えた。
建前は「平等に扱う」だが、実は、個人を徹底的に鍛え育てるというのが本音なのだ。順調に成長していく選手、故障などで出遅れる選手、時間がたてばおのずと各選手の力量はわかる。ここが大きな分岐点だ。野球界には、出遅れた人を救ってくれるほどやさしさはない。練習の継続は可能だが、遅れを取り戻すための特別な指導などありえない。
さらに言えば、コーチのアドバイスがすべてプラスになるとは限らない。逆にマイナスになることもある。その教えが自分の技術にプラスになるとみて取り入れるか、マイナスとみて切り捨てるか、判断するのも自分だ。
「プロ野球選手である前に、一社会人であれ」一般常識とあいさつ、特にあいさつの徹底は厳しい。体育会系はまだまだタテ社会。年齢差による上、下関係はうるさい。1日はあいさつで始まり、あいさつで終わる。ここが団体生活のよいところだが、毎年、9月の声を聞くと整理対象選手の名前が耳に入る。わずか2、3年でユニホームを脱ぐ選手もいる。実力の世界とはいえ、若くして去っていく選手の気持ちを察すると身につまされる。
March 3, 2006 10:52 AM
