2008年01月25日

小柄でも大きな野望持つ村田:村上秀明

 大物ルーキー中田の器の大きさには感心させられるが、こっちの新人も負けていない気がする。大学・社会人ドラフト4巡目で入団した村田和哉外野手(22=中大)だ。新人合同自主トレ中に力強くこう話してくれた。「やっぱり何でも一番がいいですからね。中途半端は嫌なんで」。身長の話だ。

 球団に伝えた登録身長は165センチ。体格のいい選手がそろっている球界で、最も低い数字だ。162センチの中日鎌田圭司内野手が昨季限りで球界を去り、新入団でいきなりランキング1位に座ることになった。育成選手として今季入団した楽天内村賢介内野手が163センチだが、支配下登録選手になるまではNO・1といえる。

 本人にとっては、決してうれしい話題ではないはずだ。実際、小さいころは劣等感があったという。「最近の嫌な思いは?」との質問には「飲み会とかで背が高い男性が好きという女性に出会ったとき。ちくしょう、バカヤローって思いますよ」と豪快に笑う。今ではネタにするくらい、受け入れている。

 その身長だからこそ、できることもある。「体が小さい子どもたちに、自分が活躍することで、できるんだぞって伝えたい」。体の大きさに恵まれてない未来の野球選手に対し、体を使ってメッセージを送りたいという思いがある。「何か1つでも長所があればできる」。1軍で活躍することが、そのままエールになると思っている。

 村田にとっての「何か1つ」は足だ。50メートル走5秒7の俊足が何よりの武器になる。「走攻守すべてにおいてのスピードを見てほしい」。196センチの長身ダルビッシュ、100キロ前後の中田が活躍するのもプロらしく豪快だが、165センチ、65キロの村田が大活躍する姿もまた、心地いいはずだ。

 これから最も気になってくるのは、楽天内村の動向だという。「(支配下登録されて)出てきたら嫌だなあ。(自分の頭を)たたいて小さくしますか」。ジョーク交じりだが、何でもNO・1でいたいという思いは強いようだ。小柄でも大きな野望、希望が詰まった村田の1日でも早い活躍を楽しみに待ちたい。

January 25, 2008 07:28 PM 投稿者:村上秀明 | トラックバック (0)

2008年01月20日

山田GMの手腕に注目したい:高山通史

 注目の中田翔ら新人とともに、新たなステージに立った人がいる。山田正雄ゼネラルマネジャー(GM)だ。GMを3年間務めたヤクルト高田繁監督の後継として、重責を託された。前職はスカウトトップのアマスカウトグループのシニアディレクター。他球団のGMは監督経験者や現役時代の有名選手など「過去」が輝かしい人物が多い中で、その事例と比較すれば、「現在」の実績を評価された、異例の内部昇格と言えるだろう。

 達観した生きざまが、魅力だ。その過程には、数奇な人生がある。プロ野球選手としては投手、野手としてプレーをしたが大成しなかった。引退後、一般企業に就職した。営業だった。山田GMの説明によれば、衣料メーカー。しかも男性用下着を売る営業マンだった。「パンツを1枚売って、利益が1円という世界だった」と、華やかな世界から激変した当時を淡々と振り返る。量販店などに営業をかけ、少しでも商品を卸す。そんな毎日だったと、事もなげにいう。

 その会社の社長には、ある年数を経過した時に、こう伝えられたという。「あと○年頑張れば、きっといいことがある」。ちょうど10年後の転機を“予言”していた。山田GMは「本当にそんなことがあるのか、と思った」。営業マンとして節目の、そのちょうど10年目、日本ハムからスカウトとして勧誘された。その時には、成績優秀な敏腕営業マンだったが、カムバックを決意した。当時の名残だろうか、年下の担当記者を呼ぶ時は、すべて「○○さん」と必ず敬語だ。体育会系の上下関係が重んじられる球界では、ちょっと珍しい。

 話は横道へそれたが、辞表を提出した直後、その恩師でもある社長に頭を下げられたという。「お前にこのビルを建ててもらった」と、立派な社屋を指さされて、逆に感謝された。その最後のあいさつを終えて、ビルを出た時に自然と体と心がシンクロし、ある行動に出たという。道路にひざまずいて、そのビルへ向かって土下座をしたのだそうだ。しかも深々と頭を下げたと、山田GMは目じりを下げて笑いながら回想する。「周りの人(通行人)は変なやつがいると思っただろうね。でも、なぜかそうしていた。不思議なもんだよね」。

 スカウト時代は、周囲、他球団の仲間に迎合しない「一匹おおかみ」だった。勝負をかけているような選手は、球場のバックネット裏の定位置と言える“スカウトだまり”で視察はせず、ほぼ1人、違う場所、角度からお目当ての選手をチェック。スカウトの間では「忍者」との愛称があるほど神出鬼没な活動で、異彩を放った。選手としての才能は第一だが、記者顔負けの取材力で、周辺から人間性も調査。誰にもこびることなく、たった1人で、すべての道を切り開いてきた。正義感が強く、手法が違う他球団のスカウトともたびたび、衝突したという逸話が幾つもある。

 そんな狭い世界に染まることがなかったから今、次へのステップが開けたのだと思う。新しいGM像を作りそうな、手腕に注目している。

January 20, 2008 03:07 AM 投稿者:高山通史 | トラックバック (0)

2008年01月15日

中田君は体も心も大きいんです:本間翼

 中田翔は大きい。182センチで100キロもあるのだから当然なのだが、そうではなくて人間として大きいということ。29歳にもなって、態度の悪い駅員さんと“ちょっぴり”口論になってしまう僕とは比べものにならないほど…。

 鎌ケ谷では寮と球場の往復時に、サインを求めるファンに必ず囲まれる。週末ともなればその数は100人を超えるのですが、中田は全員にサインをしてから引き上げます。「朝早くから待っていてくれるしありがたいです。毎日来てくれてる人もいるんですよ」。イヤな顔1つしないのです。

 ファン交流会が行われた13日は、約500人のファンが集まりました。「さすがにこの数は…」と表情を引きつらせたのは球団関係者。レッドソックスの松坂は西武に入団した1年目、サインのしすぎでけんしょう炎になったというエピソードもあります。けがをされても困るという理由で、この日はスタッフが完全ガードで送迎しました。でも中田がその後「(サインを)したかった」と悔しがっていたのが印象的でした。

 僕たち報道陣への対応もそうです。毎日、毎日後を追われ、質問攻めにあうのはいい気分ではないでしょう。「おまえが言うな」と言われそうですが、その気持ちはよくわかっているつもりです。だけど中田は「注目してもらうのは自分の力になっています」と快く対応してくれるのです。これには球団スタッフの指導も関係しています。大渕スカウトは新人選手の講習会で「メディアの向こう側にはファンがいるということを忘れないで」と話しました。新聞は選手とファンをつなぐ1つの媒体。同スカウトの教えはありがたくもあり、そして、だからこそ僕も、責任を持って原稿を書いていかなければと改めて思っています。中田の紙面は特に“大きい”ですから。

 超大物ルーキーとともに過ごす1シーズン。僕も今から楽しみにしています。

January 15, 2008 02:40 PM 投稿者:本間翼 | トラックバック (0)