2006年05月31日
19歳のダルビッシュにやられた:上野耕太郎
楽天の野村監督が予告先発反対を唱えているが、交流戦はその予告先発がない。ローテーションから推測するが、時には試合前まで頭を悩まされることもある。パ・リーグの予告登板制に慣れてしまったせいか、落ち着かない日々が続く。
30日の巨人戦、19歳のダルビッシュにやられた。担当記者だけではなく、巨人も先発は左腕リーと予想し、右打者を並べるオーダーを組んできた。しかし、ふたを開けてみると、マウンド上にはダルビッシュが…。完投勝利を挙げ、試合後はしてやったりの表情だった。「心理戦」を楽しんでいるようにも見えた。
記事にもしたが、巧妙だった。まあ、すっかりだまされてしまったのでこれはあくまでも言い訳として読んでください。
ダルビッシュは結構、顔に出る選手だと思っていた。でも、今回の交流戦で考えを改めた。前回の阪神戦、登板予定日が雨で順延した。室内練習場にいたときだ。
記者 今日、ブルペン投げるの。
ダル 投げますよ、結構。(しばらく別の話題が続き)ところで、今日の阪神の先発って下柳さんだったんですかねぇ。前日にかなり投げ込んだって新聞で見たんすけど、先発の投手がそこまでやりますか、普通。
記者 でも今日、(ダルビッシュは)結構投げるんだろ。じゃあ、明日先発なしだな。
ダル あっ…、いや~、まあ、そうっすけど。
ほかのスタッフなども取材して、感触から先発は回避したと思ったのだが…、結果はスライド登板。試合前にダルビッシュはベンチでニヤリと笑い、「ヨッシャー」と小さくガッツポーズを取っていた。前日のついポロリは演技だった。許さん。
そして迎えた巨人戦でもコロリとひとひねりされてしまった。その内容はすでに書きましたので記事を参照ください。
2回の失敗を思い返した。共通点はニヤリと笑いながら向こうからやってきたことだ。ふ~ん、試合前の「ニヤリ」に気をつけよう。なんて書くと、大人を引っ掛けるのが大好きな19歳に、さらに裏をかかれるかもしれないが…。
May 31, 2006 10:44 AM 投稿者:上野耕太郎 | トラックバック (0)
2006年05月26日
ニュースター誕生の予感:高山通史
食べ物も、野球も新鮮な方がいいに決まっている。交流戦もそろそろ折り返しだが、今年は新しい話題が満載だ。もちろん、その中心にいるのが八木。昨季までは新庄、ルーキーだったダルビッシュに偏りがちにならざるを得ない日刊スポーツの紙面を大きく変えてくれている。当然、感謝。
だがちょっと残念なのは球団の、ちょっぴり出足が遅い。ようやく26日ヤクルト戦から個人グッズが登場。もっと早く仕掛けて、売り出すべきでは…と思ってしまう。グッズなどを担当している球団の方たちの話を聞くと、準備などの大変さを聞いているので事情は分かるが。でもせっかくのニュースター誕生の予感。もっと「スピード感」があっていい、と個人的に思ってしまう。
明確な売り出そうという意志が、はっきりと感じられない。球団側の対応も「普通の一選手」として、できるだけほかと平等に対応しよう、マスコミ対応させようという風にしようという印象を受けている。だが、あくまで個人的には違うと思う。「延長10回無安打無得点」でブレークし、「プロ初完投」と「プロ初完封」を連発。このブログを書いている現在、ハーラートップタイ6勝。もう「普通ではない」新人なのだ。
ようやく生え抜きで、チームの核になろうという選手が出ている。本拠地移転3年目。これまで新庄選手、稲葉選手らFAで獲得した人気選手に頼っていた面がある。小笠原が今年FA宣言を取得、金村も順調にいけば来季には権利を取得する可能性がある。移籍しない可能性はゼロではない。新庄も今季限りで引退する。やっと出てきた八木ら「鮮度」のいい素材。選手を料理に例えるのは失礼だが、その素材を生かすも殺すも…。しかも、いくら新鮮でも何もせず、そのままほっておけば腐ってしまうこともある。
May 26, 2006 08:33 AM 投稿者:高山通史 | トラックバック (0)
2006年05月23日
今後のダルビッシュに意味ある「空白の1カ月」:上野耕太郎
ダルビッシュが18日の阪神戦で久しぶりに勝った。2勝目だ。この1勝に1カ月以上かかっている。この時間の長さが結構、こたえたと思う。
勝てなかった要因はいろいろとあるだろう。「右肩が思うように回復しない」「微妙な制球が悪い」「昨年のような走者を背負った時の粘りがない」「清原への死球の後遺症」などなど-。
個人的な意見だが、何かにいら立っているというか、焦りみたいのが見えた。
年上だがルーキーの八木が勝ち星を重ねていく。投手陣全体が一気に持っている以上の力を発揮しだした。その中で1人、乗り切れなかったのがダルビッシュだ。淡々としすぎている性格は逆に言うなら冷静で欲がない。その持ち味がこの1カ月、少しだけ影を潜めていた。
自分の不調を深く考えたのだろう。同期の橋本とも寮で話し込んだ。らしくない気もするが当然だろう。ダルビッシュは負けず嫌いだ。小学校低学年の時、ミニ四駆の全国大会が鈴鹿サーキットであり、出場した。年齢制限がなく、この大会は大人も参加。当然、大人たちはお金を投資し、速い車をつくり上げてきた。結果は惨敗。そのとき、「相手は大人だから」という自分を慰める気持ちはまったくなかったそうだ。お年玉を貯めたりしてリベンジを狙ったという話を父親のファルサさんから聞いたことがある。
だからこそ、この空白の1カ月に意味がある。同世代の選手たちから刺激を受け、何かが変わった。言い方が難しい。どん欲になったと言うのがいいのだろうか。負けん気が、前面に出てきたというのか。ダルビッシュにとって、いろいろな意味での敗北は大きな財産になったと思う。そう感じた。
May 23, 2006 09:10 PM 投稿者:上野耕太郎 | トラックバック (3)
2006年05月19日
新庄の原点、聖地のグラウンド「甲子園」:高山通史
土のにおいがする。ちょっと芝生の青臭い香りがする。甲子園の記者席で、このブログを書いている。今は雨天中止から一夜明けた18日の試合前。目の前では、戦いを待つ聖地のグラウンド整備の真っ最中だ。昨季の阪神との交流戦。昨年6月12日、敵地3連戦の最終戦だった。ちょうど悪夢のような11連敗がここで止まった。1本塁打を放ちヒーローになった新庄は、後ろからくっついてきた報道陣に言った。
「育ててもらいましたから。芝のにおいが…。よく寝転がってましたからね。世界一の球場でしょ」。
日ごろは選手と歩調を合わせながら取材をされる、いわゆる「ぶら下がり」というスタイルではコメントを発することがない。だが甲子園では特別だ。あの黄金バットを披露した、昨年の球宴第2戦でも歩きながら、取材に応じた。ここではいつも何かから解き放たれたように「雄弁」になる。何も飾らない、素顔の新庄が見られるのは、ここだけのような気がする。
引退と決めているため、今回を含めてあと2試合がラスト甲子園。誰よりも感慨深く、土を踏みしめるに違いない。以前は「間違って(阪神の)一塁側ベンチに行ってしまいそう」とまで話していた、プロ野球選手の原点がここにある。
今季中にもう1度、ユニホームを着て帰ってこられるとしたら、日本シリーズでの古巣対決。仕事はもちろん大変になりそうだが、そんなシーンも見てみたい。野球人生そのもののような、ドラマチックなフィナーレは待っているのか。ただちょっと二日酔い気味のボーっとした頭の中には、まだそんなシーンは描けなかった。
May 19, 2006 10:15 AM 投稿者:高山通史 | トラックバック (0)
2006年05月15日
「八木ショック」が先輩投手陣にも飛び火:上野耕太郎
残念ながら首位を陥落したばかりの5月14日の午後10時半過ぎに今回のコラムを書いている。それでも3日間、パ・リーグの頂点に立った。打撃陣の不調もあり強さを感じる戦い方ではない。接戦を1試合ずつ取っていく。その積み重ねが好結果につながっている。
首位浮上の原動力に投手陣の踏ん張りがあるのはご承知の通り。セットアッパー武田久、守護神マイケルの安定感で勝利を引き寄せている。ただし、好調の「震源地」は別の所にあると思う。
ルーキーの八木だ。今季取材をしていて明らかにムードが変わった1日があった。4月15日のソフトバンク戦だ。八木が10回、ノーヒットノーランの快投を演じた。八木に勝ち星はつかなかったが武田久、マイケルも無安打でつなぎ、劇的な勝利を手にした。
何かが変わり始めた。金村が翌日、ソフトバンクの大男ズレータの突進を体で受け止め負傷。休日を1日はさみ、18日には新庄が引退を発表。取材をしていて妙な胸騒ぎのようなものを感じるようになった。
一気にチームも駆け上がり、11日に首位に立った。私の主観だが、ポイントはあの1日だ。
その八木が13日の横浜戦で初完投勝利を挙げて4勝。チームの勝ち頭になっている。14日に八木に並ぶ4勝を挙げた江尻は「後輩が当然のように抑えるから火もつく」と試合後、話した。翌日、エース金村からは「八木に刺激を受けている。まだ若いやつに負けられない」というコメントがあった。
そう、今チームは相手チームだけではなく味方とも戦っている。合言葉は「負けられない」。日本ハムで起こった「八木ショック」は少しずつその範囲を広げている。
May 15, 2006 06:27 PM 投稿者:上野耕太郎 | トラックバック (2)
2006年05月12日
ちょっと気持ちいい「単独首位」という響き:高山通史
日本ハムが単独首位(12日現在)。球団、選手、また日本ハムファンの方々にも失礼を承知で「春の珍事」と書かせてもらった。だって30試合以上消化時点では7年ぶり、しかも前身の東映時代以来35年ぶりという3戦連続延長戦という中日3連戦を、勝ち越してのものなのだから。堂々の「珍事」だ、と自信を持っている。
最後にリーグ優勝をしたのが81年。記者がまだ6歳、小学1年生の時だ。当時を思い出してみようと考えてみるが、はるか昔すぎて何をしていたか浮かんでこない。そんな昔のことなのだ。ルーキーの八木、ダルビッシュはもちろん生まれていない。パ・リーグは6球団。なら優勝できるのは単純計算で6分の1の確率。なぜ今まで…。
家庭用テレビゲーム機(あのファミコン)が大流行した当時、野球ゲーム「ファミリースタジアム」(通称ファミスタ)で「フーズ・フーズ」というチームが日本ハムだった。弱いという理由で好んで選んでいた。確かに弱かった。どうしても勝ちたい相手の時は西武を選んでいた。心に余裕がある時だけ、選んだチームだった。
私の脳裏には「弱小球団」ということが強烈に刷り込まれている。今、当時はブラウン管に向かって「打てよ!」とヤジっていた、現在の白井ヘッド兼内野守備コーチら「実物」が目の前にいる。ちょっと本人を前に、その時のことはもちろん話せない。記事を書いていても、ちょっと気持ちがいい「単独首位」という響き。私の固定観念を覆すような「珍事」が季節をいくつ越えられるのか、注目している。
May 12, 2006 11:15 PM 投稿者:高山通史 | トラックバック (0)
2006年05月09日
交流戦の注目は中継ぎの武田久:上野耕太郎
9日から交流戦がスタートする。昨年は12勝22敗2分けと、この期間にチームは失速した。2年連続での「惨事」は見たくないもの。まずは5割で乗り切ってほしいと思ったりする。
この交流戦で注目しているのは中継ぎの武田久だ。とにかく、昨年の終盤から現在にかけての活躍はすごいの一言に尽きる。身長は170センチと、大男ばかりのプロ野球界では極めて低い。だが、体格のハンディをもろともしない。「180度開脚投法」は「世界一」低い位置でリリースするオーバースローだと勝手に思っている。シュートの切れ味も鋭く、次々と打者を詰まらせていく。
数字を見ていても感服してしまう。今シーズン、5月8日現在で19試合に登板、25回を3失点で切り抜けている。そしていまだに今季は無四球だ。クリッとした目、昨年は坊主頭にした童顔を見た取材陣からアニメの「一休さんのようだ」と声が上がった。武田久の場合は「一久さん」だが…。
普段は地味で人当たりもいい。そして愚痴を一切、言わない。そんな武田久を江尻は「あいつ、すごい。絶対に弱音は吐かないし、黙々と仕事をしていく。そんな人間にならないといけないな」とポツリ。チームメートからも「一久禅師」は尊敬されている。そんな地道な男だからこそ、この交流戦で昨年の阪神藤川のような「全国区」になってほしい。個人的な願望ですけど。日本ハムの好調を支えているのは、この休まず働く「いっきゅうさん」の快投がある。
May 9, 2006 09:46 AM 投稿者:上野耕太郎 | トラックバック (0)
2006年05月05日
2000本安打へ着実に進む田中幸:高山通史
あのいたずらっぽい笑顔が、まだ見えない。日本ハム一筋21年目の田中幸雄選手が、ようやく2000本安打まで残り30本を切った。生え抜きとしては、球団初の偉業。4日西武戦で今季4安打目を放ち、あと29本になった。だが、置かれている状況は厳しい。今季は一塁を主に小笠原が務め、出場機会、特にスタメン出場が、まだ4試合。少ないチャンスを生かしていくしかないのが現状だ。
担当記者1年目の04年シーズン開幕前。記録まで残り99安打だった。記録に対するスタンスをインタビュー企画の中で聞いてみたことがある。印象的な言葉が心に響いた。「チームのために打った1本、1本を積み重ねていって、それが記録になればいい。入団してから、そうやって打ってきたヒットだから」。今季のシーズンが開幕してまもなく、その考え方に変わりはないか聞いてみた。その答えは、当時と同じだった。
選手に記録を達成させるために、出場機会を増やす球団もあるという。だが、田中選手は「それで打っても、自分には意味がないでしょ。チームのためにならないと意味がないんだから」と明かした。後輩たちに慕われる人柄、そしてキレ抜群? の得意のダジャレを連発するユーモアたっぷりのキャラクター。選手としての魅力を(私の方が年下で失礼だが)さらに、そんな人間性が引き立てているように感じる。
これまでリーグ優勝経験はなく、個人打撃部門のタイトルは打点王が1度だけ。ゆっくりとだが確実に厳しいプロの世界、第一線を生き抜いてきた。大記録達成も、そして現役生活も、間違いなくゴールは近い。今季は主将として臨むシーズン。2000本安打達成のシーンも見てみたい。だが、個人的に一番見てみたいシーンは、照れくさそうに笑いながらチームメートに優勝の胴上げをされているシーンだ。
May 5, 2006 01:42 PM 投稿者:高山通史 | トラックバック (1)
2006年05月02日
日本ハム投手陣が好調:上野耕太郎
日本ハムの投手陣が期待以上の踏ん張りをみせている。4月30日時点でチーム防御率は3・01とリーグトップだ。打線がいまひとつ波に乗れない中でディフェンスがチームを支えていると言っていいと思う。大混戦のパ・リーグ、その要因の1つに日本ハム投手陣の好調があるのだろう。
この防御率をよく考えてみると、あらためてすごい数字だ。ソフトバンクのズレータに暴行を受け、4月16日からエース金村が戦線を離脱している。今の先発ローテは江尻(5年目)リー(日本球界は2年目)橋本、ダルビッシュ(ともに2年目)、そしてルーキー八木の5人。昨季までの通算成績で考えてみても江尻の11勝がトップでダルビッシュ5勝、リーは3勝、橋本と当然、新人の八木は未勝利だ。合計しても19勝というローテが形成され、結果を残している。いい意味で野球評論家泣かせの内容だと思う。
2つの要因があると思う。1つは金村の離脱だ。絶対的な存在のエースの欠場によって頼るものを失った。それにより自分自身へのプレッシャーのかけ方が違ってきてるのだろう。そして八木の存在だ。4月15日、ソフトバンク戦での10回ノーヒットノーランはほかの投手にも刺激になっている。江尻の表情や敗戦後のダルビッシュの悔しがり方を見るにつけ、昨年とは違った「何か」を感じる。
本紙評論家でOBの岩本勉氏は投手陣を絶賛しながらも、一方で不安要素を口にしている。「投手は梅雨の時期になると、やはり調子が落ちる」と自身の経験を話した。確かに今の5人は昨年シーズンを通して1軍で活躍していない。それだけに今後の期待感も膨らむ。シーズンを通して活躍したとき、チームが熱望してきた「投手王国」への道が広がっている。
May 2, 2006 10:53 AM 投稿者:上野耕太郎 | トラックバック (2)
