2007年12月04日
“見えない敵”との格闘:村上秀明
リーグ優勝の余韻が残る中、来季に向けた新しい戦いがすでに始まっている。2年目の今季、フル回転した左腕武田勝が“見えない敵”との格闘をスタートさせている。大幅アップした契約更改の会見の席で「細かい練習に取り組んでいます」と、この時だけは表情を引き締めていた。
細かい練習とは、自身のクセとの戦いだ。シーズンこそ中継ぎ、先発とフル稼働し9勝をマーク。だがクライマックスシリーズ、日本シリーズでは被弾を許すなど、白星を挙げることはできなかった。体の疲れ、制球ミスなどの理由はあるが、さらに感じたことは、投球フォームのクセが盗まれていることだった。
日本シリーズ後の練習から、ぼんやりとした敵の攻略を熟考。まずは打者からの目線で見てもらうことに主眼を置いた。11月上旬、五輪予選の合宿に向けた鎌ケ谷での自主トレ中、ブルペンでは小谷野、工藤らに打席に立ってもらい、自分自身の観察を依頼した。見えなかった敵が、バッター目線で少しずつ見えてきた。
最初に指摘を受けたのは小谷野だったという。「フォームの途中で握りが見える」という答えだった。変則フォームだが、比較的大きな動きをするため、投げる直前、グラブを持つ右手とボールを握る左手が伸びた状態の一瞬に、打者から何の球種を投げるか見える瞬間があるという。
自分では気付きにくかった敵の出現に「もともとそうなのか、疲れてきて終盤だけそういうフォームになったのか、これから見直したい」。おぼろげながら姿が見えてきた相手について、そう話した。2年目で投手陣の中心的存在になったが、3年目の活躍には“脱皮”が必要だと強く感じている。
契約更改の会見では、カメラマンの要望で来年度版のチームカレンダーを持ち、撮影に応じた。そこに掲載された武田勝の写真は、ちょうど球種が打者に見破られる瞬間で止まった投球フォームだった。「ここなんですよ、ここ。これはスライダーですね」。苦笑いした左腕だが、攻略への自信ものぞかせた。
相手が研究してくる中、さらにレベルアップを図るのは当然だが、実行させ、結果を残すのは簡単ではない。弱肉強食のプロの世界で生き抜こうとするニュースタイルの武田勝の出現が楽しみだ。
December 4, 2007 07:32 PM 投稿者:村上秀明
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