2007年11月12日

先行き明るい幸せなトレード:村上秀明

 日本ハム一筋13年、通算88勝を挙げた金村が阪神に移籍した。中村との交換トレードで、日本ハムに別れを告げた。元エースの移籍は電撃的ではあるが、プロ契約のビジネスにはつきものでもある。一見、戦力外での放出という非情なトレードにも映るが、現時点では幸せな移籍といえるのではないかと思う。

 シーズン中は右肩違和感に苦しんだ。癒えた終盤も1軍から声がかからず、名古屋での日本シリーズ第3戦から1軍に合流したが、戦力としての帯同とは言い難かった。元エースを取り巻く環境、居場所が少しずつ変化してしまっていた。若手育成に主眼を置く球団の構想に合致するには厳しい状況だった。

 5勝にとどまった今季の推定年俸は1億8000万円。過去の実績はさておいて、高卒ルーキー吉川が年俸600万円で4勝したことも考慮すると、単純比較だが、やはり適正な費用対効果とはいえないだろう。日本ハムと来季契約をするならば、減額制限40%(年俸1億円以上)を超えることは必至だった。

 なぜ幸せなトレードに感じたかというと、球団側が何とか減額制限を超えないように配慮した点だ。水面下で球団幹部が、先発投手がほしい阪神に接触して「お願いごと」として交渉していた。減俸の幅を少しでも小さくしてあげたい。元エースへのせめてもの配慮だった。求められて行く場所では当然、出場機会も増える。不本意な去り方だったかもしれないが、残留よりは道が開ける。

 日本ハムにやってきた中村にとっても大きなチャンスだろう。5年目の阪神で今季から頭角を現してきたが、これまで1軍定着はない。日本ハムは今季、吉川、山本のルーキーコンビ、オリックスから移籍した歌藤ら左腕が、すぐにチャンスをもらった。確実にブレイクするための機会は与えられるはずだ。

 球界にはいろいろな移籍の形があり、時には後味の悪いケースもある。今回は両投手の現状、そして将来を最大限に考慮しての交換トレードに感じた。正解だったと言えるのは、両者の新天地での今後の活躍次第だろうが、現時点でも先行きの明るいトレード劇だったように思う。

November 12, 2007 02:17 PM 投稿者:村上秀明

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