2007年07月02日

プロならではの“技”:村上秀明

 堂々としたセオリー無視も、プロならではの技なのかもしれない。そう思わされたのが、6月26日で幕を閉じたセ・パ交流戦の広島戦だった。終わってみれば日本ハムは対広島4連勝を飾ったが、変則右腕フェルナンデスの攻略なしには、全勝はなかったと思う。

 来日1年目の広島フェルナンデスは、日本球界では非常に珍しいナックルボーラーだ。投球の6~7割で魔球と称されるナックルを駆使する投手のことで、米大リーグではレッドソックス松坂の同僚ウェイクフィールドが代表格だが、多くはいない。

 ほとんど回転しないボールが、打者の近くで不規則に変化して落ちてくる変化球で、メジャーではナックルボーラー専用捕手がいるほど捕球が難しく、投手もどこに行くか分からないというのが魔球と呼ばれるゆえんだ。当然、制球が良かった場合に打ち崩すのは一苦労で、日本ハムには徹底した指示あった。

 白井ヘッドコーチが明かしてくれた。「打者の左右は関係なく、ナックルは急に落ちてくるので落ちてくるボールの軌道に合わせて打つということ。つまりアッパースイングで外野フライを打ちましょうという指示だった」。複雑な変化球の攻略法にしては、驚くほど単純明快な答えが返ってきた。

 言葉通り、フェルナンデスが登板した2試合でセギノールの3本塁打など計5発と完全に打ち崩した。6月19日は狭い広島市民球場という理由もあるだろうが、まさに外野フライの延長線上が3本塁打になったという魔球攻略だった。自分自身の中にあった常識を逸脱したKO劇に、感心させられた。

 自分も少年野球をやっていたころ、どの指導者からもアッパースイングをよく矯正され「上からたたけ」と口酸っぱく指導されたものだ。アッパースイングは悪い例で、バットは上から力強く振り下ろすという基本的な考え方は今も昔も変わらないと思う。それだけにセオリーに縛られない、チーム統一の指示は印象深かった。

 もちろん少年野球とプロ野球は違う。大人になり技術が向上すると意図的に外野フライを打つようにもなるが、少年時代は楽しみながらも徹底的に基礎を繰り返すことが大切だと思う。良い子には、打撃フォームを崩しやすいアッパースイングは決してマネしてほしくはない。ただ、臨機応変な考え方もプロフェッショナルであることを少しでも知ってもらえたら、と思った。

July 2, 2007 02:08 PM 投稿者:村上秀明

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