2007年07月26日

もう一つの“熱い”戦い:高山通史

 高校野球の地方大会が真っ盛りの今。プロ野球取材の現場でも、その熱気を感じることができる。外国人選手以外は全員が目指していた甲子園。プロへとステップアップしていった原点といってもいいだろう。この時期の試合前などでの練習中。取材をしている記者は、もう1つの業務を兼任することが多いのだ。「今、どうなっていますか? 」。それは、各地方大会の試合結果、経過の“速報係”として奮闘するのが、夏の風物詩になっている。

 7月23日。その日のターゲットは福岡県大会の東福岡-福岡一戦。田中賢介と陽仲寿、ともに全国でも名が知れた母校対決が、ちょうど後半戦開幕前の最終調整中に行われていた。大阪入りする前の新千歳空港。陽と出発ロビーの売店で会うと、唐突に我々、新聞記者の「対決」も幕を開けた。「今日は、ケンスケさん対陽ですよ」。戦いの号砲が鳴ったのだ。

 練習中、私も含めた新聞記者数人が携帯のボタンをピコピコ…。互いがそれぞれ自慢の我が社のHPの最新情報を更新して、いち早く経過を、その両選手へ伝えるため、惜しげもなく大量のパケット通信料を投入する。「今、1-0でリードしてるよ」。まずは日刊の私が自慢げに、陽へと伝えて“先制攻撃”を掛けた。すると、陽は「知っていますよ、もう」。ライバル者記者との対戦を前に、前哨戦から、まさか、まさかで、出はなをくじかれてしまった。

 そこからは、田中賢と陽は練習中で携帯を操れないため、記者同士でのガチンコ勝負に突入した。「●回終わって1-0」、「1-0のまま●回までいったよ」…。取材そっちのけで(デスクの方々、すみません)一進一退の攻防が続く。すると突然、ある回から更新スピードが明らかに遅くなり、全員の動きが止まる。すると、あるライバル紙の記者が田中賢に一言、「1-8のコールドで東福岡。6回に一挙8点だよ」。熱い? 戦いが終わった。私の夏の熱い1日だった。

 何とか一矢を…。その時、走塁練習をして近くにいなかった陽へ、せめて伝えて前哨戦の借りだけは返そう。ベンチへ戻ってくるところを狙い、待っていると、思わぬ伏兵が登場したのだ。田中賢が大声で陽へ、結果を伝えてしまったのだ。陽-ライバル紙の記者-最後は田中賢。結果は「0-3」の完封リレーを許しての完敗。次回こそは、まずはこの夏の1勝を目指す-。球児たちが目指している大阪で、記者も奮闘しているのだ。

July 26, 2007 03:39 PM 投稿者:高山通史

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