2007年01月01日

もっと自己主張を:高山通史

 新年を迎えました。だがプロ野球界の「正月」とはいつか、ご存じですか。それは開幕戦だと、よく言われています。実際に巨人へ移籍した小笠原、中日へ移籍した上田に話を聞いた時には、開幕前夜に「タイの尾頭付き」を食べるのが恒例とのこと。現在は各選手とも世間一般の正月を過ごしていると思いますが、もっと先にある1年間の始まりを見据えているのです。

 1年の準備期間であるオフ。各選手を取材していて、気になることがあります。選手たち、特に若手選手の自己主張が弱いという点です。個人的に「いいな」と感じたのは、ルーキー木下くらい。2年目の今季は「最低でも半分くらいは1軍にいたい」としっかり、堂々と口にしました。ビッグマウスな彼にしては目標自体は控えめですが、これが逆に目標設定をしている証しだと思います。その言葉の裏、考え方を推測したくなるような、深みのある所信表明でした。

 ほぼ回答の大半が「1軍で…」、「レギュラーを…」など。取材をしていて、ちょっと物足りなく感じました。それは日本ハムに限ったことではなく、他球団の選手も一緒。いろいろな報道を見ている限り、そう感じています。昨季は新庄氏の引退インタビューをすることができました。約2時間30分、5分ほどの3回の休憩を挟んだだけで、ほぼノンストップで行いました。その間、何度も微妙な表現を言い直したり、言葉を選んだりと、自分の「言葉」を大切にし、こだわる姿勢が印象的でした。

 広島黒田の残留会見での一言。「カープに育ててもらった。そのチーム相手にめいっぱいボールを投げ込める自信がなかった」。レッドソックス入団会見での松坂の「本当は一番興奮していると言った方が良いのかもしれないですけど、正直なところは、結婚と子供が生まれたことの次に興奮しています」。この2つは個人的に人間性が伝わるオリジナル、主張のあるコメントだと感じました。1つの言動が大きく活字になることが多いオリックス清原もそう。強い言葉で自分を表現できるかという点も、野球の能力だけではなく、一流選手の共通項の1つだと思います。

 特に目標などは口には出さず、胸に秘めているという美学を持つ選手、また私のような一般社会に生きる人の中でも多いでしょう。ですが、周囲へ向かって言葉にすることで重圧にし、パワーへと変えることもできるのではないかと、個人としては思います。特にプロ野球選手は、ファンがいてこその存在。個人ブログなどでも良いでしょうし、テレビ、新聞を通じてでも言葉で「ファンサービス」をしていくことも可能でしょう。恋愛でも、仕事でも…。言葉は自分の気持ち、または個性を伝える1つの大事な手段だと思います。

 一年の計は元旦にあり-。開幕戦までには取材ノートに一字一句、正確にメモをとるような緊張感のある取材ができる選手が増えることを、期待しています。

January 1, 2007 09:53 AM 投稿者:高山通史

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