2006年05月19日

新庄の原点、聖地のグラウンド「甲子園」:高山通史

 土のにおいがする。ちょっと芝生の青臭い香りがする。甲子園の記者席で、このブログを書いている。今は雨天中止から一夜明けた18日の試合前。目の前では、戦いを待つ聖地のグラウンド整備の真っ最中だ。昨季の阪神との交流戦。昨年6月12日、敵地3連戦の最終戦だった。ちょうど悪夢のような11連敗がここで止まった。1本塁打を放ちヒーローになった新庄は、後ろからくっついてきた報道陣に言った。

 「育ててもらいましたから。芝のにおいが…。よく寝転がってましたからね。世界一の球場でしょ」。
 日ごろは選手と歩調を合わせながら取材をされる、いわゆる「ぶら下がり」というスタイルではコメントを発することがない。だが甲子園では特別だ。あの黄金バットを披露した、昨年の球宴第2戦でも歩きながら、取材に応じた。ここではいつも何かから解き放たれたように「雄弁」になる。何も飾らない、素顔の新庄が見られるのは、ここだけのような気がする。

 引退と決めているため、今回を含めてあと2試合がラスト甲子園。誰よりも感慨深く、土を踏みしめるに違いない。以前は「間違って(阪神の)一塁側ベンチに行ってしまいそう」とまで話していた、プロ野球選手の原点がここにある。

 今季中にもう1度、ユニホームを着て帰ってこられるとしたら、日本シリーズでの古巣対決。仕事はもちろん大変になりそうだが、そんなシーンも見てみたい。野球人生そのもののような、ドラマチックなフィナーレは待っているのか。ただちょっと二日酔い気味のボーっとした頭の中には、まだそんなシーンは描けなかった。

May 19, 2006 10:15 AM 投稿者:高山通史

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