2006年06月27日
スーツ姿で取材することにこだわる訳:上野耕太郎
甲子園から神宮、そして神戸と続いた遠征から26日、北海道に戻ってきた。6月にもかかわらず、蒸しぶろのような甲子園では食欲が減退。梅雨のうっとうしさも味わった。
そんな遠征中、選手数名から声を掛けられた。
「何でスーツ着てるんですか。見ているこっちが暑くなりすよ」。
確かに周囲を見渡してみても、ジャケットを着ている記者はほとんどいない。36歳。個人的にはあまり考えなくてすむので楽だ。「服装に気を使わなくていいから」と答えていた。
それも理由の一つではあるが実は違う。野球というスポーツ、チーム、そして選手に対しての自分なりのリスペクトだ。プロ野球取材が年齢的に遅かった私にとって、せめて身だしなみくらい、という気持ちだった。どこかの元社長が球界参入の時、ノーネクタイをとがめられていた。その是非はともかくだ。
仕事につながっているかは別の話。野球取材の先輩からは「その服装じゃ、選手とキャッチボールとかできない。一緒に汗をかくのも取材の一つ」とも言われた。取材する側にもその手法はさまざま、個性もある。選手との相性もある。自分に合った方法を探ることも必要だ。
逆に選手たちには記者を「うまく使ってほしい」と思うときがある。照れ屋なのか「プレーで表現している」という意識からなのか「自己プロデュース」に対しての意欲が薄い気がする。そのプレーの中に隠されているもの、そしてプレーヤー自身を知りたい。それを聞き出し、正確に伝えていくことが仕事だと思う。
移転3年目、新庄が引退を表明した。交流戦はどこへ行っても「日本ハム戦は良く観客が入る」と言われた。移転の「導入部」は成功した。その大きな要因でもある新庄が去っていく。日本ハムにとって「新庄後」という時期が近づいてくる。取材する自分も新しいシーズンに備えなければいけない。ただリスペクトすることだけで良いのか、批判するときも紋切り型になってはいないか-。ヨレヨレになった自分のスーツ姿を鏡で見て、そう思い返した。
June 27, 2006 10:38 AM 投稿者:上野耕太郎
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