2006年10月11日
ソフトバンクと1勝の重み
◇パ・リーグ、プレーオフ第二ラウンドの展望
パ・リーグプレーオフ第一ラウンドは、エース斉藤和を投入しながら初戦を落としたソフトバンクが、圧倒的不利な状況から2連勝して第二ラウンドへの切符をつかんだ。
考えてみると、2年連続でシーズンを1位で終えながら、プレーオフ第一ラウンドに出場したチームの「勢い」に押されて、日本シリーズへの出場権を手にできなかったソフトバンクが、今年はその「勢い」をつけての第二ラウンド進出を果たした訳である。
一方の日本ハムも、新庄のラストシーズンということで、大いに盛り上がっている。
プレーオフ第一ラウンドの試合を向こうに回して行われた紅白戦では、プレーオフ並の入場者数を記録し、北の大地はファイターズフィーバーの状態だ。
果たして、3年連続でプレーオフ第一ラウンドからの勝ち残りチームが勝つのか?
初めてアドバンテージの1勝を手にしたチームが勝つのか?
この興味と興奮は尽きることがない。
今回は、その第二ラウンドの展望について考えてみることとしよう。
◇先発投手予想
第一戦の投手だけは予告先発が発表になっているので、そこから全4戦の先発投手ラインナップを考えてみよう。
10月11日(水)
福岡ソフトバンクホークス 対 北海道日本ハムファイターズ
【予告先発】杉内俊哉 【予告先発】ダルビッシュ有
10月12日(木)
福岡ソフトバンクホークス 対 北海道日本ハムファイターズ
【予想先発】斉藤和巳 【予想先発】八木智哉
10月14日(土)
福岡ソフトバンクホークス 対 北海道日本ハムファイターズ
【予想先発】和田 毅 【予想先発】武田 勝
10月15日(日)
福岡ソフトバンクホークス 対 北海道日本ハムファイターズ
【予想先発】寺原隼人 【予想先発】立石尚行
※最初の2戦は札幌ドーム、後の2戦がヤフードームで開催
2戦目以降の先発投手は、読みにくい。
特に、ソフトバンクの2戦目以降の投手は、おそらく1戦目の結果次第で変わってくる可能性が高いと思われる。
例えば、1戦目で日本ハムが勝利したとしよう。
すると、1勝のアドバンテージのある日本ハムは、残り1勝で優勝が決まる。
そのケースでは、12日の試合で必ず勝たなければならないソフトバンクは、2戦目に斉藤和を中4日で起用することもあると思われる。
逆に、1戦目でソフトバンクが勝てば、必ずソフトバンクは本拠地に戻って戦うことができることになる。
その場合は、本拠に戻っての3戦目に斉藤和を中5日で起用するものと推察される。
短期決戦だけに読みにくい状況ではあるが、本ブログでは上記のように先発を予想した。
◇第一戦の展望
1勝のアドバンテージは非常に大きい。
日本ハムはこの試合で勝ってしまえば、残り3戦のうち1勝をすれば日本シリーズ出場確定という状況になる。
それゆえプレッシャーはかかると思うが、そこに敢えてダルビッシュ有を起用した。
ダルビッシュ有は今年はエース級の活躍をした。
特に、後半から終盤にかけては、調子を落とした八木を補うようないい活躍を見せた。
一方の杉内は、昨年の最多勝投手だが、今年は調子が出ずシーズンを7勝5敗で終了している。
投球回数が昨年よりも64回も少なかったのに、自責点は昨年よりも多いという不本意なシーズンとなった。
この両投手の最近5試合を見てみよう。
<日本ハム>
ダルビッシュ 勝敗 BBR 防御率 投回数 被安打 被HR 奪三振 四死球 失点 自責点
2006/09/02 ○ 58.1 3.09 5.0 4 0 5 4 3 3
2006/09/09 ○ 78.5 2.99 7 4 0 4 5 1 1
2006/09/16 ○ 80.7 2.82 8 6 0 6 3 1 0
2006/09/23 - 51.8 2.93 7.1 7 1 3 3 4 4
2006/09/27 - 92.7 2.89 2 1 0 3 0 0 0
<ソフトバンク>
杉内俊哉 勝敗 BBR 防御率 投回数 被安打 被HR 奪三振 四死球 失点 自責点
2006/08/27 - 32.8 3.99 0.2 5 0 1 0 3 3
2006/09/01 - 74.0 3.77 6.1 6 0 3 4 2 0
2006/09/09 ○ 91.0 3.53 7.1 4 0 7 3 0 0
2006/09/23 - 59.5 3.55 7 5 2 6 1 3 3
2006/09/29 ● 51.4 3.53 6 5 0 8 0 2 2
※投回数の.0は0/3、.1は1/3、.2は2/3を表す
ダルビッシュ有の最後の登板は、記憶に新しいと思う。
優勝を決めた最終戦に、中継ぎ投手として登板して、2回を抑えたものである。
5試合を全体的に見ると、3勝を挙げてはいるが、先発として大成功という訳ではない。
その意味で、「勢い」を手にしたソフトバンク打線を0点に抑え込むのは、なかなか難しいと思う。
それでも、このところの安定感を見る限り、点を取られても試合を作ることはできるだろう。
対する杉内は心配だ。
今年調子が悪かったとは言え、本来であれば、新垣戦線離脱の後を受けて、プレーオフ第一ラウンドの3戦目に投げるのは当然であった。
しかし、その役目が寺原に回った理由は、「杉内よりも寺原の方が調子がいいから」と言われている。
寺原の3戦目のピッチング内容を鑑みれば、その判断が正しかったことがわかる。
一方で、杉内がこの重要な一戦に堪え得るだけの状況になっているのかどうかが問題だろう。
このように考えると、投手力としては日本ハムに利があると思われる。
ただし、両投手の状況を考えると、初戦は打ち合いになる可能性もある。
打ち合いになると、打撃は水物とは言っても、プレーオフ第一ラウンドを戦ったばかりのソフトバンクが有利ということも考えられるだろう。
◇第二戦の展望
第一戦の勝敗によって、第二戦の投手は変わって来るものと思われる。
一応、第一戦で日本ハムがわずかに逃げ切ると考え、それによって2戦目の先発を予想した。
その場合、日本ハムは八木を投入して勝負に出るだろう。
3戦のうち1つ勝てばいいとは言え、札幌ドームとヤフードームでは全然違う。
有利なホームグラウンドで連勝して、北海道で胴上げをしたいのが日本ハムの本音だろう。
対するソフトバンクはこれ以上負けられない状況下、エース斉藤和を持ってくると思う。中4日だが、経験がないわけではないし、短期決戦なのだから多少の無理は利くだろう。
両投手の対決は、シーズン終盤に実現した。
最高勝率の斉藤和が絶対有利と思われ(このブログでもそう書いた)、ソフトバンク有利を跳ね返すには、八木の奮起しかなかった。
皆さんの記憶にも新しいとおり、結果は斉藤和が先に点を取られ、八木が素晴らしいピッチングを見せて、日本ハムが非常に重要な1勝をものにしたのである。
両投手のここ5試合を見てみよう。
<日本ハム>
八木智哉 勝敗 BBR 防御率 投回数 被安打 被HR 奪三振 四死球 失点 自責点
2006/08/30 ○ 97.1 2.62 9 7 0 3 5 0 0
2006/09/06 ● 83.3 2.54 8 3 0 3 0 1 1
2006/09/12 - 50.6 2.73 2.1 5 0 3 2 4 4
2006/09/18 ○ 99.1 2.58 9 4 0 6 1 0 0
2006/09/26 ○ 86.8 2.48 7 3 0 5 1 0 0
<ソフトバンク>
斉藤和巳 勝敗 BBR 防御率 投回数 被安打 被HR 奪三振 四死球 失点 自責点
2006/09/02 ○ 95.6 1.77 8 3 0 5 1 0 0
2006/09/10 ○ 100.0 1.68 9 5 0 13 0 0 0
2006/09/18 ○ 83.1 1.66 8 7 0 10 4 2 1
2006/09/26 ● 43.7 1.75 6 6 2 10 0 3 3
2006/10/07 ● 86.3 1.13 8 4 0 9 2 1 1
※投回数の.1は1/3を表す
偶然だが、最後の登板でのBBRは86点台と両者ほぼ一線である。
その前の試合の状況など見ても、両者とも不安な要素はほとんどない。
ポイントとなるのは、このブログで何回か書いた斉藤和のメンタリティの部分ではないかと思う。
日本最高勝率の投手でありながら、重要な試合ではなぜか勝ちきれない。
9/26の日本ハム戦でも、10/7の西武戦でも、内容的には悪くないのに試合は負けている。
プレーオフ第二ラウンドの2戦目にもし斉藤和が登板し、ここでも負けるようだと
大舞台では弱いというレッテルが貼られてしまう可能性もある。
斉藤和のためにも、この試合では是非がんばってもらいたい。
予想としては、この試合はソフトバンクが有利ではないかと思っている。
それは、日本ハムがなんとか札幌で優勝したいと思うあまり、プレッシャーがかかり過ぎるのではないかと思ったためだ。
そうした状況になっていれば、斉藤和が楽々抑えてしまうことも可能性としては高いのではないだろうか。
◇第三戦の展望
第三戦は、ヤフードームに場所を移して行われる。
過去2年、ヤフードームではいい成績が残せていないソフトバンクだが、今年はプレーオフ第一ラウンドから登場したこともあり、去年までとは違うだろう。
予想投手は武田勝と和田である。
これも直近の成績を比較してみよう。
<日本ハム>
武田 勝 勝敗 BBR 防御率 投回数 被安打 被HR 奪三振 四死球 失点 自責点
2006/09/03 - 71.0 1.71 2 0 0 1 3 0 0
2006/09/07 ○ 88.0 1.68 6.1 4 1 6 0 1 1
2006/09/13 ● 34.3 2.05 5.0 6 1 1 3 4 4
2006/09/19 - 60.3 2.05 4.1 7 0 2 1 1 1
2006/09/27 ○ 72.1 2.04 5 6 0 3 0 1 1
<ソフトバンク>
和田 毅 勝敗 BBR 防御率 投回数 被安打 被HR 奪三振 四死球 失点 自責点
2006/08/30 ○ 69.2 3.16 6.1 7 1 5 3 2 2
2006/09/06 ○ 99.3 2.97 9 2 0 6 2 0 0
2006/09/16 - 79.3 2.88 7.2 5 1 7 3 1 1
2006/09/27 ● 45.2 2.98 7 7 2 5 0 4 4
2006/10/08 - 50.7 6.23 4.1 5 1 5 2 3 3
※投回数の.0は0/3、.1は1/3、.2は2/3を表す
気にかかるのは、和田の最後の登板である。
西武とのプレイオフ第二戦、負け投手にこそならなかったものの、4回1/3で3失点と今ひとつの内容だった。
斉藤和に次ぐ、2番目の投手としてはこのところの成績も今ひとつである。
対する武田勝は、5回を1失点に切り抜けれてくれたら上出来で、長い回を投げるような使い方はされないだろう。
あとは、今年の日本ハムの代名詞とも言える強力なリリーフ陣に任せて万全の展開へ持ち込むということになると思われる。
予想は難しいが、最近の安定度では武田勝投手の方に軍配が上がるように思われる。
和田投手も、プレーオフに入ってソフトバンクリリーフ陣も好調なので、長い回を投げることを考えるのではなく、5回を1、2点に抑えるピッチングを最初から考えた方がよいのではないだろうか。
そうすれば互角の勝負に持ち込めるはずだ。
◇第四戦の展望
最終戦が行われる可能性は、日本ハム1勝、ソフトバンク2勝というパターンしか考えられない。
最後になるので、両チームとも総力戦になるだろうが、一応登板予想としては、立石と寺原というマッチアップになるだろう。
ここまで勝負がもつれこむと、金村の出場禁止措置が問題になってくる。
立石も決して悪い投手ではないが、エース級の金村とは明らかに差がある。
この両投手の成績も見てみよう。
<日本ハム>
立石尚行 勝敗 BBR 防御率 投回数 被安打 被HR 奪三振 四死球 失点 自責点
2006/08/18 ● 41.5 2.08 5 4 1 2 1 2 2
2006/08/24 ○ 74.7 1.99 6 4 0 5 2 1 1
2006/08/31 - 50.6 2.25 3.1 6 0 1 2 4 2
2006/09/08 - 42.4 2.47 3.1 6 1 3 3 2 2
2006/09/15 - 50.5 2.72 2.1 6 0 0 0 2 2
<ソフトバンク>
寺原隼人 勝敗 BBR 防御率 投回数 被安打 被HR 奪三振 四死球 失点 自責点
2006/08/12 - 53.3 3.34 5 7 0 2 1 2 2
2006/08/19 ● 31.4 3.52 4.1 6 1 2 1 3 3
2006/08/27 ● 33.6 3.77 4.2 5 2 1 1 4 4
2006/09/03 ● 32.8 4.23 0.1 6 0 0 0 4 4
2006/10/09 - 58.3 1.80 5 3 1 3 1 1 1
※投回数の.1は1/3、.2は2/3を表す
プレーオフ第一ラウンドでの寺原のピッチングはよかった。
5回1失点で降板したためBBRは50点台だったが、これは予めデザインされたゲームプランによるものだろう。
結果として、寺原は十分に試合を作る役割を果たすことができた。
寺原に求められるのは、この10/9の試合と同じようなピッチングだ。
一方の立石は、シーズン終盤の1位通過争いの状況では登板がなく、その前の登板も3回2失点というようなペースのピッチングが多い。
時間が経っているので、そのままの調子ということはないだろうが、計算できる投手とは言い切れない。
ただし、ここまでくれば最終戦なので、9/27のダルビッシュ有のように先発級の選手も短いイニングでどんどん投げてくるだろう。
立石に求められるのは、3回を1失点というピッチングではないだろうか。
この試合にまで決着がずれ込むことになれば、先発投手陣と安定感と地の利に勝るソフトバンクが有利と言えるかもしれない。
◇キーになる選手
最後に、野手でキーになる選手を見ておこう。
日本ハムはやはりSHINJOだと思われる。
もし、日本ハムが初戦から連勝して北海道で優勝を決めるとしたら、そのときにはSHINJOが大活躍をしているはずだ。
日本ハムではセギノールもポイントになる。
小笠原が徹底マークされる状況では、セギノールがどれだけ打てるかが重要である。
ソフトバンクでは、ズレータが絶好調だがやはりポイントは松中だろう。
ズレータがマークされた時には、松中が打てないと打線がうまく繋がらない。
ここ2年涙を呑んだ松中が、ヤフードームで歓喜の涙を流せるか?
それはすべて本人にかかっている。
松中が大活躍するようであれば、1勝のアドバンテージはあまり関係なくなりそうだ。
◇それでも日本ハムの有利は動かない
いろいろ展望を考えてみたが、やはり1勝のアドバンテージは非常に大きい。
日本ハムが無理に北海道で優勝を決めてしまいたいという焦りをみせなければ(西武は終盤~プレーオフ、その焦りで勝ちきれなかったように思われる)、その有利は動かないだろう。
過去2年間、ソフトバンクが日本シリーズへの切符をつかみ損ねた要因の一つとして、リーグ1位通過後のインターバルが長いことが挙げられている。
その結果、ソフトバンク救済策とも言えるリーグ1位通過チームの1勝アドバンテージが今シーズンから付加されたが、この救済策がまさか自らの首を絞めることになろうとは、ソフトバンクの選手たちは露ほども思わなかっただろう。
2年間の雪辱。
これを果たすには、かつて好敵手たちに微笑みかけた「第一シリーズの勝利の女神」をソフトバンクの選手たちがその手で振り向かせるしかない。
October 11, 2006 09:16 AM
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コメント
短期決戦では主軸の不振が勝負を左右しますね。
ソフトバンクでは松中。日本ハムでは小笠原でしょう。
松中は二年続けて大ブレーキでしたが、今年の第一ラウンド
では、大丈夫のようでした。第二ラウンドではどうでしょう?
小笠原は、短期決戦ではあまり打つイメージがないのですが、
どうでしょうね。
いずれにせよ私の地方ではTV(地上波)放送がほとんど
ありませんが(第一ラウンドは全くなし)楽しみです。
投稿者 権俵 : 2006年10月11日 11:39
プレーオフ第一ラウンドのソフトバンクの戦いぶりはとても感動的で見事でした。圧倒的不利だった中で第一戦を松坂にやられ、大ファンの僕でも諦めかけていた中での二戦目の逆転勝ちは本当に涙がこぼれました。そのまま勢いを三戦目にももってこられたのはとてもよかった。王監督のためにももう一踏ん張りしてほしいものですね。ファイターズは本当に手強いですがこのままの勢いで最後によい結果を出してほしいと願っています。そしてドラゴンズと再び戦ってください。
投稿者 とも : 2006年10月11日 15:28
