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2006年09月15日

松坂大輔に見るエースの条件

◇エースとは勝って欲しいときに勝てる投手

プロ野球選手の約半数は投手である。
これは数としては非常に多い。
その中から12球団の先発を任されるのは、年間合計で100人以上にも上る(1試合だけの先発などもあるためローテーション通りの計算にはならない)。
これも、数としてみるとかなりの人数がいることになる。

それだけの先発投手がいる中で真のエースは誰かということになると、一握りの投手の名前しか挙がってこない。
エースの条件はいろいろあるだろう。
勝星、勝率、防御率、様々な尺度となるデータが発表されている。
しかし、データ以上に「絶対に勝たなければいけない試合に勝つ」という条件をクリアできる者こそが、真のエースと呼ぶに値するのではないだろうか?
それを実感させる試合が9月13日にあった。

日本ハム-西武戦である。

この試合で日本ハムが勝てば、ついに首位交代になるという、まさに天王山とも言うべき大事な試合だった。
この試合で西武のマウンドに上がったのは、日本のエースとも言われる松坂大投手。
対するは、先発マウンドに戻って間もない武田勝投手。
当然のように西武の優勢が予想された試合だったが、「絶対に勝たなければならない」というプレッシャーは、時として最高のピッチャーをも呑み込んでしまう場合がある。
しかし、高校時代に甲子園で優勝、WBCでも優勝に大きく貢献した松坂大投手は、プレッシャーを楽しむかのように投げ、味方の援護も後押しして見事な完封勝利を挙げた。
今回は、プレッシャーの申し子のような松坂大投手を取り上げてみたい。

◇今年は最高の内容

まず、今年の成績を見ておこう。

松坂 大輔(西武ライオンズ)
     勝敗  BBR  防御  回数  安打  HR  三振  四死  失点  自責
3/30 ●   71.0    1.13   8   9   0   6    3    2    1
4/07 ○   79.6    1.20   7   6   0   5    2    1    1
4/14 ○   97.1    1.13   9   5   1   13   0    1    1
4/21 ○   80.1    1.16   7   5   0   11   2    1    1
4/28     43.0    2.04   4.1   6   1   2    0    4    4
5/05 ○   79.6    1.91   7   6   1   3    3    1    1
5/12 ○   95.8    1.75   9   5   0   7    1    1    1
5/19 ○   64.1    2.31   7   11   2   10   3    7    5
5/26 ○   100.0    2.00   9   3   0   14   1    0    0
6/02 ●   42.9    2.21   6   7   1   6    0    4    3
6/09 ○   100.0    2.08   9   4   0   14   1    1    1
6/16 ○   91.6    2.07   9   3   1   12   1    3    2
6/24     65.7    2.05   0.2   0   0   0    2    0    0
7/08 ○   93.5    2.03   10   4   2   11   1    2    2
7/15 ●   90.2    1.95   8.2   4   0   5    2    1    1
7/26 ○   85.8    1.92   6.2   7   0   6    2    1    1
8/02 ●   64.3    2.01   8   6   2   8    2    3    3
8/09     47.1    2.07   5   8   1   4    1    2    2
8/16 ○   95.0    2.00   9   7   1   7    1    1    1
8/23 ○   86.2    2.08   8   4   0   12   2    3    3
8/30 ○   91.7    2.13   9   6   0   14   1    3    3
9/06 ○   91.8    2.04   7   3   0   9    0    0    0
9/13 ○   99.7    1.93   9   5   0   10   2    0    0
計 16勝4敗 80.7     1.93  172.1  124  13  189   33    42    37

※回数の0.1は1/3回、0.2は2/3回を意味する
※データは9/13現在

BBR100が2回あることも目を引くが、相手チームを完全に抑え込んだと言えるBBR90点以上が、23試合中11回もあったのが驚異的である。
逆に、完全にノックアウトされたと言える50点未満はわずかに3回。
これも素晴らしい内容だ。

ただ、自責点を見てみると意外にも完封は少ない。
5/26の試合と天王山となった9/13の試合以外では完封していないのである。
自責点1点という試合が結構多いのだが、その意味では相手のチームからすると手も足も出ないという状況ではない。
今年は打たせて取るような投球術も身につけたようだ。

それでいて奪三振は189とトップ。
奪三振率でもソフトバンクの斎藤投手を抑えて1位である。
三振が多い一方で、今年は最も多い四死球を出した試合でも、その数はわずかに3個である。
三振が多く四死球が少ないという理想的な投手の投球内容を実現できているのが、2006年の松坂大投手だと言えよう。

◇苦しんだ2005年

今年と好対照という意味で昨年の成績も見ておこう。

     勝敗  BBR  防御  回数  安打  HR  三振  四死  失点  自責
3/26     84.5    0.00   8   4   0   12   3    1    0
4/02 ●   51.8    2.81   8   7   0   7    3    5    5
4/08 ○   82.5    1.96   7   5   0   3    0    1    0
4/15 ●   79.2    2.03   8   4   0   6    2    2    2
4/22 ●   83.7    2.03   9   6   1   11   2    2    2
4/29 ●   50.4    2.25   8   6   0   7    6    6    3
5/05 ○   90.1    2.05   9   8   0   8    1    1    1
5/11 ○   99.5    1.77   9   6   0   11   0    0    0
5/18 ●   57.9    1.82   8   7   1   13   3    3    2
5/25 ○   95.3    1.73   9   3   1   12   2    1    1
5/31 ●   67.8    1.78   8   6   0   7    6    2    2
6/07 ●   39.6    2.13   6   10   0   9    1    5    5
6/14 ●   54.6    2.14   8   9   0   8    5    3    2
6/21 ○   56.1    2.29   5   10   1   6    0    3    3
6/27 ●   70.4    2.36   8   5   0   9    4    4    3
7/03 ○   92.6    2.34   9   11   0   12   0    2    2
7/09 ○   100.0    2.18   9   5   0   14   1    0    0
7/15 ●   56.2    2.31   8   9   3   6    0    4    4
7/27 ○   86.6    2.21   7   4   0   4    3    0    0
8/03 ○   71.1    2.24   6   5   1   3    2    2    2
8/10 ●   35.2    2.47   6.2   8   2   5    3    6    6
8/17 ●   41.1    2.70   6.1   8   1   6    2    6    6
8/24 ○   84.0    2.63   8   6   1   12   1    1    1
8/31 ○   95.3    2.55   9   7   0   9    3    1    1
9/07 ○   82.4    2.46   7   5   0   5    2    0    0
9/13 ○   84.7    2.37   7   1   0   9    2    0    0
9/19 ○   99.8    2.27   9   3   0   10   1    0    0
9/25 ●   41.0    2.30   5   4   1   2    1    2    2
計 14勝13敗 72.6    2.30   215   172  13  226   59    63    55

※回数の0.1は1/3回、0.2は2/3回を意味する
※2005年の成績

2005年の松坂大投手を総括すると、「いい投球はしたが勝てなかった」ということに尽きる。
BBR80点台を出しながら負け投手になった4/22の試合(自責点2で完投)に象徴されるように、好投しながら味方の援護がなく勝てない試合が多かったのである。

8月後半からの連勝でなんとか勝星が敗星を上回ったが、一時は、年間平均のBBRが投手のベスト3に入っていながら、負けが先行するという厳しい展開だったのだ。
最終的な年間平均BBR72.6というのは、両リーグの投手の中で5位に入る素晴らしいものだったが、それでも松坂大投手にしてみれば納得はできない成績だっただろう。

2005年と2006年の成績を比較して気づくのは自責点の違いだ。今年は1点という試合が多いのに対し、昨年は8月後半からの連勝以外では自責点が意外に多い。
それが年間防御率の1点台と2点台の差に出ている。

確かに、昨年は味方の援護が少ないなどの不運もあったが、やはり防御率1点台の先発投手というのは、勝ちに直結するのだ。

◇大事な時期に勝てること

9/13の試合では、今年2度目の完封勝利が日本ハムに大きな打撃を与える勝利となった。
もしこの試合を落としていれば、日本ハムがトップに立ち、ますます勢いを増すところだった。

いまだにデッドヒートは続いており、最終的な結果はまだまだ分からないが、もし西武がリーグ優勝をすることになれば、この9/13の試合が天下分け目の1戦だったと言われるだろう。
それほど重要な試合だったのだ。

その試合で完封できた松坂大投手は本当に精神的に強いと思う。
また、精神的な面だけではなく、疲れがたまっているはずの8月後半から5試合でBBR90点以上が4試合、80点以上が1試合と、シーズン終了間際の重要な時期にほぼ完璧なピッチングができる肉体的な強さも目を見張るものがある。

昨年も、この時期に素晴らしいピッチングを見せていたことからすると、松坂大投手のピークはこの最も重要な時期に来るのである。
まさに、真のエースとして監督の信頼を勝ち得る投手なのだ。

パ・リーグの順位争いの面白さも去ることながら、ピークの時期を迎えた今年の松坂大投手の投球を見ることは、プロ野球ファンにとって最高の喜びではないだろうか?
来年はポスティングシステムでメジャー移籍も噂されているが、日本のプロ野球ファンには、今の松坂大投手の投球をぜひその目に焼き付けておいてもらいたい。

September 15, 2006 03:35 PM

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コメント

勝つてほしい試合に勝つてこそ真のエースだと思う

投稿者 堺正勝 : 2006年09月20日 14:35

あれはどう見ても、危険球ではない!涌井頑張れ!

投稿者 博多団塊獅子 : 2006年09月24日 07:23

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