2007年08月07日
問われる球宴の権威、オレ流嘆き節:鈴木忠平
7月20日、オールスター第1戦。セ・リーグを指揮する落合監督の表情は冴えなかった。「楽しくなんかないよ。気をつかうことばっかりだ」。「オレもいろいろ考えを言ったけどムダだ。もう言うのはやめた」。出てくるのは嘆き節ばかり。とてもこれから年に1度のお祭りに向かう人とは思えなかった。
一見、華やかな球宴の舞台裏では主催者である日本野球機構と、現場との軋轢(あつれき)があった。問題の1つは球宴史上初めてデーゲームが開催されたことだ。第1戦は東京でナイター。第2戦は仙台でデーゲーム。主催側の事情があってのことだが、監督、選手は第1戦後、深夜の移動を強いられた。コンディションがいいはずがない。
「ケガをする可能性があるだろう。そんな状況で選手を預かれない」。この日程が決まった春先、何より故障防止を最優先とする落合監督は球宴監督辞退の姿勢すら見せたという。同じくパ・リーグ王監督も意義を唱えた。この結果、ナイター後、仙台への最終の新幹線で移動するという措置がとられた(結局、当日は事故によって発車が遅れたのだが…)。
また球宴辞退者に関するルール変更もあった。基本的に辞退者は後半戦から10試合の出場停止だが、これまでは「顕著な傷病等」と認められた場合は停止期間が短縮されるという“特例”があった。昨年は右ひざ痛の福留らがこれに該当した。しかし、今季からいかなる理由があっても辞退すれば出場停止が課されることになった。つまり故障をタテにしたズル休みを防止するということ?
「そういうことなんだろうな。でもほとんど選手は出たいと思っているさ」。少なくとも福留は昨年からオールスターには並々ならぬ意欲を持っていた。ズル休みを防止するようなルール変更はかえって機構側が球宴の価値を下げているだけのような気がした。
近年、球宴の権威が問われてきた。そんな中で第1戦はアイドル歌手で女性ファンを騒がせ、第2戦はベテラン芸人の軽妙なトークで笑いを誘った。バラエティー感覚のファンサービスが悪いとは言わない。ただプレーの質、試合内容を置き去りにして球宴の権威も何もあったものではない。
そういえば先日、大リーグ取材から帰国後、落合監督の第一声が「(メジャーの)オールスター見てくりゃいいじゃねえか」だった。今思えば、これにはいろいろな意味が含まれていたのかもしれない…。
August 7, 2007 04:15 PM 投稿者:鈴木忠平
