2007年08月25日
岩瀬の揺るがぬ守護神哲学:伊藤馨一
1勝4敗33セーブ、防御率2・62。この数字を見た場合、どんなイメージが思い浮かぶだろうか。クローザーとしては十分すぎるほどの数字だと思う。ファンの方なら、お分かりだと思うが、これは岩瀬の23日現在の今季成績だ。7月16日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)で自己ワーストの5失点を喫するなど、開幕から「不振」と言われ続けてきているが、チームの58勝中34勝に貢献している。
今季の岩瀬が「不安定」に映る要因は44回2/3で42安打を許すなど「打たれている」というイメージがあるのかもしれない。さらに直球も140キロ前後。例年に比べると、見栄えは決していいとはいえない。それでもここまでの救援失敗は「5」。ちなみに絶対的なイメージのある阪神藤川の失敗は「2」。本調子ではない中で、岩瀬はチームの勝利を締めくくっているといえるだろう。
プロ9年目。これまでも多少のスランプはあったものの、入団から8年連続50試合以上に登板し、2年連続40セーブ以上をマークするなど、これまでの順調なプロ生活を送ってきた。だが、体調面で苦しみ、初めて「カベ」にぶつかっている。それでも岩瀬は「今年は苦しいシーズンになっていますね…。でも最後をしっかりと投げて、チームの勝ちに貢献するのが仕事ですから」と話している。
04年にクローザーに転向して以来、岩瀬は一貫してこう話してきた。「たとえボクが点を取られたとしても、リードを守ってチームが勝てれば、それでいいんですよ」。ずい分と控えめだなと感じていたが、今年は違う。落合監督は「切り札」として岩瀬に試合の最後を任せる。チームの勝利を締めくくるのが仕事。万全ではないと感じているだけに、そのプレッシャーは計り知れないだろう。
福留が米・ロサンゼルスで右ひじを手術した。これでペナントレース中での復帰は絶望的な状況だ。多くの得点は望めない。今後は勝つ時には接戦になることが多くなるだろう。勝ち試合のほとんどで岩瀬が最後を締めくくることになるかもしれない。ペナントレースは残り36試合。ブレない「守護神哲学」を持ってマウンドに上がる岩瀬が真価を発揮するのは、これからだと思っている。
August 25, 2007 07:02 PM 投稿者:伊藤馨一
2007年08月07日
問われる球宴の権威、オレ流嘆き節:鈴木忠平
7月20日、オールスター第1戦。セ・リーグを指揮する落合監督の表情は冴えなかった。「楽しくなんかないよ。気をつかうことばっかりだ」。「オレもいろいろ考えを言ったけどムダだ。もう言うのはやめた」。出てくるのは嘆き節ばかり。とてもこれから年に1度のお祭りに向かう人とは思えなかった。
一見、華やかな球宴の舞台裏では主催者である日本野球機構と、現場との軋轢(あつれき)があった。問題の1つは球宴史上初めてデーゲームが開催されたことだ。第1戦は東京でナイター。第2戦は仙台でデーゲーム。主催側の事情があってのことだが、監督、選手は第1戦後、深夜の移動を強いられた。コンディションがいいはずがない。
「ケガをする可能性があるだろう。そんな状況で選手を預かれない」。この日程が決まった春先、何より故障防止を最優先とする落合監督は球宴監督辞退の姿勢すら見せたという。同じくパ・リーグ王監督も意義を唱えた。この結果、ナイター後、仙台への最終の新幹線で移動するという措置がとられた(結局、当日は事故によって発車が遅れたのだが…)。
また球宴辞退者に関するルール変更もあった。基本的に辞退者は後半戦から10試合の出場停止だが、これまでは「顕著な傷病等」と認められた場合は停止期間が短縮されるという“特例”があった。昨年は右ひざ痛の福留らがこれに該当した。しかし、今季からいかなる理由があっても辞退すれば出場停止が課されることになった。つまり故障をタテにしたズル休みを防止するということ?
「そういうことなんだろうな。でもほとんど選手は出たいと思っているさ」。少なくとも福留は昨年からオールスターには並々ならぬ意欲を持っていた。ズル休みを防止するようなルール変更はかえって機構側が球宴の価値を下げているだけのような気がした。
近年、球宴の権威が問われてきた。そんな中で第1戦はアイドル歌手で女性ファンを騒がせ、第2戦はベテラン芸人の軽妙なトークで笑いを誘った。バラエティー感覚のファンサービスが悪いとは言わない。ただプレーの質、試合内容を置き去りにして球宴の権威も何もあったものではない。
そういえば先日、大リーグ取材から帰国後、落合監督の第一声が「(メジャーの)オールスター見てくりゃいいじゃねえか」だった。今思えば、これにはいろいろな意味が含まれていたのかもしれない…。
August 7, 2007 04:15 PM 投稿者:鈴木忠平
