渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2008年01月03日

クレメンスの薬物疑惑報道続く

 例年、クリスマスから元日にかけてのホリデー・シーズンにはMLBに関する大きな動き、ニュースがなくなってしまう。が、この冬は違った。

 ミッチェル・リポートによって薬物使用疑惑にあるロジャー・クレメンス投手に関する報道が続いているのだ。それも通常のMLB報道とはかなり違った形で。

 まず12月26日、クレメンス側のラスティ・ハーディン弁護士が「(リポートでは)真実を語っていない者がいる。ロジャーは全て否定しており、信頼に値する」と再度疑惑を否定したうえで、リポートの正当性について独自に調査を行うことを発表した。

 これに対抗する動きに出たのが、リポート内でクレメンスに薬物の注射をしていたと証言した元トレーナー、ブライアン・マクネイミー氏。実はクレメンスの件で証言しているのは同氏だけであり、クレメンス側の独自調査とは実質的にマクネイミー氏に対するものなのである。

 それに対抗するものとして29日のニューヨークタイムズが報じたのが、マクネイミー氏側が名誉毀損などの案件に精通するリチャード・エメリー弁護士と契約したというもの。同紙はクレメンス側がマクネイミー氏の証言が嘘だと発言し続けた場合、訴えを起こすだろうというエメリー弁護士のコメントを載せている。

 さらに同紙は元日付の紙面で、クレメンスとハーディン弁護士側の戦略とその困難さを分析した記事を掲載した。

 それによると、薬物を“使用しなかった”ことを証明することの難しさをハーディン弁護士自ら認めているのだという。

 さらにもう1つ大きな問題として、クレメンスの練習パートナーであるヤンキースのアンディ・ペティット投手が既報どおり薬物使用を認めている点が挙げられている。これによりマクネイミー氏の証言を否定するのが難しくなっているのでは、という指摘だ。これに関してもハーディン弁護士は「いい質問だ。その件に関する回答を私は持っていない」と答えたという。

 クレメンスのケースはさながら法廷ものストーリーの様相を呈してきた。さらに泥沼にはまっていくのか、うまい落としどころを双方が見つけるのか、はたまたMLB側は動くのか、年末年始に関係なく先行きはまったく不透明な状況にある。

 そんななか、同じ日にクレメンスが12日に地元テキサス州で高校のコーチたちを前に講演を行うことが明らかになった。疑惑と混乱の中で、クレメンスがどんな話をするのか、注目される。

January 3, 2008 02:14 PM