渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2007年11月01日

ヤ軍監督人事を巡る“2つの驚き”

 ヤンキースの監督問題が決着した。2つの驚きを伴って。

 ジョー・トーリ前監督の契約拒否により、先週ヤンキース首脳陣は前マーリンズ監督のジョー・ジラルディ氏、ドン・マッティングリー・ベンチコーチとトニー・ペーニャ一塁コーチの3人を監督候補として面談を実施。その後地元メディアは週明けすぐにオファーを出すだろう、との見方をしていた。

 そして29日、チームがジラルディ氏にオファーを出したことが明らかになったのである。ジラルディ氏の代理人がオファーを受けたことを認めたものだ。契約条件は3年総額750万ドルと見られている。

 もちろん地元メディアはこのことを一斉に報道したのだが、先週お伝えしたように候補者の中でメディアとファンの一番のお気に入りはマッティングリー・コーチだったのである。このため、翌30日付けの地元紙ではジラルディ氏が選ばれたこととほぼ同じスペースを使って、マッティングリー・コーチ“落選”が伝えられることとなった。デイリーニュースなど「なぜ彼は監督になれなかったのか」という見出しでこの件を裏1面全部を使って報じたほどである。ジラルディ氏をとがめる論調は皆無だが、この判断に驚き、がっくり来た人々がかなり多いようだ。

 実際、なぜジラルディ氏が選ばれたかというと、トーリ色の強いマッティングリー・コーチではなく、43歳と若いジラルディ氏によりチーム改革を一挙に進めようという意図が働いたためという説が強い。

 そしてその30日にジラルディ氏の監督就任決定が発表されたのである。

 これでこの一連の問題は終了、と思ったらそうではなかった。実はこの日、ニューヨークポストがトーリ前監督がドジャースの監督就任に向け動いている、とスクープしたのである。これを受け、各報道機関の取材合戦が活発化。本日31日にもトーリ監督就任が正式発表される見込みともされている。

 噂されている契約条件は3年、年483万ドル。これはヤンキースが出した年俸500万ドルを下回るが、複数年契約という点がカギになったようだ。それ以上にヤンキース首脳陣との確執を推測したくもなるのだが。

 面白かったのはニューヨーク地元紙の報道で、各紙ともジラルディ監督正式決定よりもトーリ前監督の件を大きく報じていること。それだけ愛されてきた存在ということなのだろう。ただこの一連の流れを見ているとジラルディ新監督の存在が薄くなってしまったようで、ちょっと可哀想な感じすらする。

 とにもかくにも監督問題は一段落したが、アレックス・ロドリゲスがFAとなって退団が決定し、マリアノ・リベラ投手、ホルヘ・ポサダ捕手らもFAとなっている。新チーム構築のため、ブロンクスの慌ただしさがこれからも続いていくのは必至の情勢だ。果たしてどんな“改革”が行われていくだろうか。

November 1, 2007 07:11 AM