渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2007年11月29日

Aロッドが新契約でもらえる金額は…

 何かと話題のヤンキース、アレックス・ロドリゲス三塁手の新契約問題だが、今週もまたユニークな話題が出てきた。

 ヤンキースとAロッドの間で10年総額2億7500万ドルの条件で基本合意されたのは既報の通りだ。26日に複数のマスコミが伝えたところによると、これにさらに“歴史的快挙”に対するボーナスが認められたのだという。

 歴史的快挙とは、これからAロッドが達成しそうな本塁打記録。5つの既存記録に並び、突破する度に600万ドルが支払われるのだ。5つの記録とは、ウィリー・メイズの660本、ベーブ・ルースの714本、ハンク・アーロンの755本、バリー・ボンズの762本、さらに今後伸びるであろうボンズのMLB記録の突破である。

 MLB新記録だけでなく、過去の記録に達することが条件となっているところが過去の大選手達の記録を大切にし、常々話題にするMLBならではといえそうだ。特に記録では他の選手に及ばないが、オールラウンド・プレーヤーとして鮮烈な印象を残すウィリー・メイズの記録が対象条件に入っているところが印象深い。

 同時にこの契約で特に興味深いのはMLBでは記録達成を条件にしたボーナス設定を認めていない点である。今回基本合意にこのボーナス条項が入っていることをスクープしたのはニューヨークタイムズだったのだが、他のメディアも含め、果たしてどうやってクリアするのか注目を集めていた。

 結果としてMLBおよび選手会の双方がボーナスを認めたのだが、これにはわけがある。それはこのボーナスは年俸契約の一部ではなく、各記録達成時にAロッドが個人としてセレモニーに出席し、記念品にサインを行うなどの活動を行うことへの報酬契約となっているのだ。

 なるほどそういう手で来たか、という少し裏技的な契約によって承認を得たというわけである。

 なんにせよ承認されたことによってAロッドの新契約は実質的に総額3億500万ドルへと跳ね上がった。ここまで518本の本塁打を放っているAロッドは今32歳。本契約は近日中に結ばれる見込みだが、果たしていくつの快挙を達成し、実際にいくら手にすることになるか、楽しみである。

November 29, 2007 11:56 AM

2007年11月22日

Aロッド再契約の裏に意外なところから援軍

 この1週間、アレックス・ロドリゲス三塁手ほど大きなスリルと喜びを味わったMLB選手はいないだろう。


 先週、Aロッドが再びヤンキースと再契約する可能性があるとの報道を紹介したが、その当日、14日にAロッドと妻シンシアさんが代理人スコット・ボラス氏抜きでヤンキース首脳と会談。15日には地元メディアなどが一斉に契約更新で基本合意したと報道するに至った。

 合意した内容は10年、総額2億7500万ドル、バリー・ボンズが持つ本塁打記録を塗り替えた場合の報奨金も含まれるといわれている。これは文句なくMLB史上最高額の契約となる。

 ボラス氏は当初ヤンキースに対し、10年3億5000万ドルという条件を提示し、これを蹴られたことからチームを離れると見られていた。Aロッド側が大幅譲歩した形だが、それ以上に異例なのが代理人を同席させず本人が直接交渉した点。代理人制度が確立しているアメリカ・プロスポーツ界にとってはこれほどの大物選手が直接交渉とは異例中の異例のことだ。

 この直接交渉の秘密について、意外なメディアがスクープしている。世界的に知られる経済紙ウォールストリート・ジャーナルだ。17日付の「アレックス・ロドリゲス、オマハのファンから驚きのアシストを得る」という記事によると、ネブラスカ州オマハに住む著名な投資家、ウォーレン・バフェット氏がこの直接交渉を仲介したのだという。バフェット氏はサイン入りユニホームを飾るほどAロッドのファンで、2人は数年前に知り合っていたのだとか。Aロッドがバフェット氏にヤンキースとの交渉について電話でアドバイスを求めたことから、事態が進展することになったらしい。確かにその展開を見ると普段スポーツ報道に力を入れていないが、経済、ビジネス関係には非常強いウォールストリート・ジャーナルならではスクープではあった。

 そして19日にはロドリゲスがア・リーグのシーズンMVP選出が発表された。54本塁打、156打点でア・リーグ2冠王に輝き、打率3割1分4厘、20盗塁、自己最多の143得点という成績を見れば、2位のマグリオ・オルドネス外野手(タイガース)を大きく引き離しての受賞も皆納得するところだろう。

 こうして2つの喜びを得たAロッドだが、対するヤンキースもホルヘ・ポサ捕手、Aロッドに続き、19日には守護神マリアノ・リベラ投手も3年総額4500万ドルで残留に基本合意したと報道されている。心配されていた主要FA選手の引き留めに見事成功というわけだ。

 アメリカは22日のサンクスギビング・デーからホリデー・シーズンに突入する。ヤンキースの面々にとっては幸福な季節となりそうだ。

November 22, 2007 10:43 AM

2007年11月15日

ヤンキース、来季へ着々とチームづくり

 ヤンキースが進める来季のチーム体制づくりが一歩前進を見せた。今週、まず主役となったのはFAを申請している守護神マリアノ・リベラ投手とホルヘ・ポサダ捕手。2人に対しての独占交渉権が12日までだったため、期限間際に条件提示が行われたのだ。

  これに対し、すぐに動きがあったのはポサダだった。事前に3年4000万ドルという提示条件が報道されていたが、13日の地元各紙は4年5240万ドルで契約に合意した、と大々的に報じている。ポサダはチーム生え抜きの選手で、今季144試合に出場、打率3割3分8厘、20本塁打、90打点をマークしており、投手陣の女房役として欠かせない存在。まずは一安心といったところか。

 対してリベラだが、14日現在チームに返答をしていない模様だ。チームが提示している条件は3年3900万ドルといわれている。ただ今月38歳になり、今季34回のリリーフで4回の失敗を経験しているリベラの衰えを心配する意見も多い。

 いずれにしてもリベラ側の回答待ちの状況だが、ニューヨークタイムズはリベラを獲得できない場合、チームは今季セットアッパーだったジャバ・チェンバレンを代わりに起用するかもしれないとしている。ただできれば先発に回したいため、リベラを確保したいことには変わらない、ともしているのだが。信頼できるクローザーはチームにとってなくてはならない存在だけに今後の動きが気になるところだ。

 そして14日付の地元各紙が大きく取り上げているのが、またまたアレックス・ロドリゲス三塁手についてである。先週ニューヨークポストがFAになったAロッドに対し、チームが年俸調停を申請し、チームに留まらせようとするのでは、という報道をしたことをお伝えした。それが14日付ではそのニューヨークポストのみならず、ライバル紙のデイリーニュースもAロッドがヤンキースに戻ってくる可能性を報じているのだ。

 ニューヨークポストはジョージ・スタインブレナー・オーナーの長男で、チームの業務を引き継いだハンクがAロッド帰還の可能性に対し“扉を閉めていない”ことを示唆したと報道。対してデイリーニュースはチームとAロッド側が過去数日交渉していたことが判明した、と伝えている。

 両紙の報道で一気に可能性が増した格好だが、これも実際結果が出るまでは分からない。とはいえ、少しずつ新しいチームが見えてくるのはうれしいものである。

November 15, 2007 11:01 AM

2007年11月08日

超大物Aロッドを巡る報道合戦過熱

 ヤンキースとの契約を破棄しFAになることを宣言したアレックス・ロドリゲス三塁手獲得を巡る動きが激しくなってきた。

 ニューヨークの地元紙は3日、ヤンキースに対し3億5000万ドルを要求し、交渉が決裂したと伝えている。これだけの金額を支払える球団となるとそう多くはないのだが、そんな中で意外な獲得候補として浮上したのがマーリンズである。

 フロリダの地元紙、パームビーチポストが、マーリンズはミゲル・カブレラ三塁手らをトレードに出し、代わりにAロッドを獲得するために動いていると報じたのだ。マーリンズは資金力に劣るチームとして知られているだけに、前途は多難だが、大ばくちを打って実現させる可能性はありそうだ。

 また前ヤンキース監督のジョー・トーリ新ドジャース監督もAロッド獲得に関して「我々はよい関係にある」とコメントし、可能性を否定しなかった。さらにロサンゼルス郊外に位置するエンゼルスも獲得の有力候補とされている。

 ではニューヨークはすっかりAロッドにさよならムードかというとそうでもない。地元紙デイリーニュースは6日、Aロッドの代理人スコット・ボラス氏がメッツ首脳陣と面談することを伝え、メッツが有力候補だと大々的に伝えたのだ。メッツならば資金力も十分で、確かに可能性は高そうではある。

 と思ったら、ライバル紙のニューヨークポストがこのデイリーニュースの報道を否定した。7日付の紙面で同紙コラムニストのジョエル・シャーマン記者による「アレックスを忘れろ、メッツのライトこそが三塁手だ」という記事を掲載したのである。

 メッツがAロッドと契約すると三塁しか守れないデイビッド・ライト三塁手が浮くことになり、トレードしなければならなくなる。しかしGMのオマー・ミナヤは「我々はデイビッドを移籍させることはできない」とコメントしたことから、Aロッド獲得もない、というのがこの記事で展開されている論法。

 そして同記者は別の記事でヤンキースが調停を申請し、Aロッドをチームに留まらせるために動くだろうという、仰天の予測をしている。FA宣言をする前、ヤンキースはFAになった場合、交渉には応じないとしていただけにこの変わり身が実施されれば驚くしかないが、今オフの三塁手市場にいい選手が多くないことを考えるとなくはない、と感じられる。

 一方デイリーニュースだが、7日付紙面ではヤンキースは前述のカブレラ獲得に挑むだろうとやはり大々的に報じている。

 こうしたライバル紙同士の報道合戦もなかなか面白いものである。しかし、これだけ多くの人々を振り回し続けるのだから本当にAロッドは大物だ、と痛感せざるを得ない。ニューヨークのファンも複雑な心境のことだろう。

November 8, 2007 11:20 AM

2007年11月01日

ヤ軍監督人事を巡る“2つの驚き”

 ヤンキースの監督問題が決着した。2つの驚きを伴って。

 ジョー・トーリ前監督の契約拒否により、先週ヤンキース首脳陣は前マーリンズ監督のジョー・ジラルディ氏、ドン・マッティングリー・ベンチコーチとトニー・ペーニャ一塁コーチの3人を監督候補として面談を実施。その後地元メディアは週明けすぐにオファーを出すだろう、との見方をしていた。

 そして29日、チームがジラルディ氏にオファーを出したことが明らかになったのである。ジラルディ氏の代理人がオファーを受けたことを認めたものだ。契約条件は3年総額750万ドルと見られている。

 もちろん地元メディアはこのことを一斉に報道したのだが、先週お伝えしたように候補者の中でメディアとファンの一番のお気に入りはマッティングリー・コーチだったのである。このため、翌30日付けの地元紙ではジラルディ氏が選ばれたこととほぼ同じスペースを使って、マッティングリー・コーチ“落選”が伝えられることとなった。デイリーニュースなど「なぜ彼は監督になれなかったのか」という見出しでこの件を裏1面全部を使って報じたほどである。ジラルディ氏をとがめる論調は皆無だが、この判断に驚き、がっくり来た人々がかなり多いようだ。

 実際、なぜジラルディ氏が選ばれたかというと、トーリ色の強いマッティングリー・コーチではなく、43歳と若いジラルディ氏によりチーム改革を一挙に進めようという意図が働いたためという説が強い。

 そしてその30日にジラルディ氏の監督就任決定が発表されたのである。

 これでこの一連の問題は終了、と思ったらそうではなかった。実はこの日、ニューヨークポストがトーリ前監督がドジャースの監督就任に向け動いている、とスクープしたのである。これを受け、各報道機関の取材合戦が活発化。本日31日にもトーリ監督就任が正式発表される見込みともされている。

 噂されている契約条件は3年、年483万ドル。これはヤンキースが出した年俸500万ドルを下回るが、複数年契約という点がカギになったようだ。それ以上にヤンキース首脳陣との確執を推測したくもなるのだが。

 面白かったのはニューヨーク地元紙の報道で、各紙ともジラルディ監督正式決定よりもトーリ前監督の件を大きく報じていること。それだけ愛されてきた存在ということなのだろう。ただこの一連の流れを見ているとジラルディ新監督の存在が薄くなってしまったようで、ちょっと可哀想な感じすらする。

 とにもかくにも監督問題は一段落したが、アレックス・ロドリゲスがFAとなって退団が決定し、マリアノ・リベラ投手、ホルヘ・ポサダ捕手らもFAとなっている。新チーム構築のため、ブロンクスの慌ただしさがこれからも続いていくのは必至の情勢だ。果たしてどんな“改革”が行われていくだろうか。

November 1, 2007 07:11 AM