渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2007年09月27日

ヤンキース意地を見せろ!

 ヤンキースが24日のブルージェイズ戦と25日のデビルレイズ戦に連敗し、プレーオフ進出決定まであと1勝に迫りながら2試合連続で足踏みしてしまった。

 ワイルドカード争い首位のヤンキースと2位タイガースとのゲーム差は25日終了時点で4.5ゲーム、残り5試合だからほぼ進出決定と安心したいところだが、この連敗には地元メディアも少し苛立ちを感じているようだ。26日付の地元紙には「確定ならず」、「待つことに」といった見出しが並んでいる。やはり少しでも早く、いい状態で進出を決めて欲しいというのが地元意識なのだろう。

 対して驚くほど強気な記事を載せていたのがデイリーニュースだ。「ヤンキースはどう(シーズンを)終わるだろうか?」という記事で、大胆にも10年連続のア・リーグ東地区優勝をレッドソックスから“かすめとる”ことができるとしているのだ。一時は1.5ゲーム差まで詰めた首位レッドソックスとのゲーム差は3にまで広がっている。残り試合数を考えると通常あきらめてしまうのが当然の状況だ。

 しかし記事では残り試合がすべてアウエーではあるものの、対戦相手がデビルレイズとオリオールズという不振をかこうチームであることから連勝していけば可能性はるとしている。とはいえレッドソックスは残りをホームで戦うだけに、恐ろしく可能性は低いといわざるを得ないのだが。いずれにせよ、最後の最後までいちるの可能性を信じるというのも地元ならではの良さなのかもしれない。

 またそんな中で日本人として気になったのは、25日の試合で井川慶投手が約2カ月ぶりに先発したこと。ここで好投すれば評価アップになるのでは、と期待したのだが、5回を2安打2三振無失点に抑えたものの、5四球を与える結果に。勝ち投手の権利を得ていたが、中継ぎ陣が打たれ、前述のようにチームは負けている。

 相変わらずコントロールが課題で、井川自身「厳しいピッチングでした。一番良かったのは“運”かな」とコメントしていた。地元メディアもその投球内容から、結果以外に触れたところはほとんどなかった。ちょっと残念ではある。

 チームも井川も最後の最後まで意地を見せ、次に、そして奇跡の地区優勝に向けて突き進んで欲しいものだ。

September 27, 2007 08:24 AM

2007年09月20日

心強い松井の復活

 18日のオリオールズ戦に12-0で勝利したヤンキースはこれで3連勝。18日終了時点でア・リーグ首位レッドソックスとの差はついに2・5ゲーム差まで縮まった。残り試合数は11。奇跡の逆転地区優勝も現実味を帯びてきた。

 ニューヨークの地元紙も19日付紙面で各紙ともゲーム差を掲載して、優勝への期待を表している。ワイルドカード争いでは2位タイガースに4・5ゲーム差をつけており、ヤンキースにとって至上命令ともいえるプレーオフ出場は果たせる可能性は高い。それでもやはり地区優勝したいところではある。

 18日の勝利は一時はローテーションから外されるほど不振だったマイク・ムシーナ投手が7回を3安打無失点の好投を見せたことが何よりも大きい。デイリーニュースも「突然ムースの季節に」という大見出しをスポーツ面のトップで掲載し、ムシーナ復活を評価している。

 が、日本人ファンにとって何よりも嬉しかったのは、17日に40日ぶりの24号ソロ本塁打を放ったのに続き、この日2安打3打点で勝利に貢献した松井秀喜外野手の復活ではないだろうか。ニューヨーク地元紙もニューヨークポストが「松井のバット、ギアが戻る」、デイリーニュースが「松井、長い眠りから目覚める」というタイトルで、それぞれ松井の復調を知らせる記事を載せている。

 これらの記事では不振の原因としてヒザの故障をあげ、同時に「松井は疲れていないと話し、2カ月間ヒザの痛みを抱えているにもかかわらず、彼の不振には影響していないと主張している」(ニューヨークポスト)ことなどを紹介。さらに復調について「彼の解決法は睡眠、とヒデキ・マツイは冗談めかした」(デイリーニュース)ことなどにも言及している。地元メディアにとってもゴジラ復活は嬉しいことなのだ。状況が状況だけに心強く感じているに違いない。

 そんなヤンキースに対し、ニューヨークのファン、メディアを一転ハラハラさせているのがメッツだ。一時の独走態勢はどこへやら、18日のナショナルズ戦を8-9で落とし、ナ・リーグ東地区2位、フィリーズとの差が1・5ゲームになってしまった。

 こちらは残り12試合。ナ・リーグ、ワイルドカード争いも熾烈な状況で、よもやのレギュラーシーズン敗退の可能性まで出ている。このピンチはさすがにショックなのか、19日付地元紙の裏1面はいずれもヤンキースではなく、メッツがメインになっていた。

 ヤンキースとメッツ、両チームとも良くも悪くも最後の最後までファンの目を釘付けにしてくれそうだ。

September 20, 2007 09:12 AM

2007年09月13日

もがいたジアンビが復調した

 ヤンキースの勢いが止まらない。11日のブルージェイズ戦を9-2で制し、4日から6連勝を飾った。11日終了時点でア・リーグ東地区首位のレッドソックスとの差は依然5ゲームあるが、ワイルドカード争いでは2位タイガースに4ゲーム差、3位マリナーズに6・5ゲーム差をつけトップを堅持している。

 残りゲーム数は18試合で、レッドソックスとは14日から3連戦を残すものの、タイガース、マリナーズとの直接対決は残っていない。ワイルドカード獲得にはかなり有利で、地区優勝の可能性もわずかに残している状況といえる。

 好調の原因はもちろん打撃陣にあり、9月に入って7勝しているうち、9点以上取った試合が5試合を占めている。そんななかで不振を極めているのがご存じ松井秀喜外野手だ。7月に打率3割4分5厘、13本塁打、28打点で初の月間MVPを受賞した後、8月も3割3分3厘、2本塁打、17打点とそれなりの数字を残した。が、今月に入ってからは28打数2安打、7分1厘とどん底に落ち込んでいる。

 原因は膝の状態の悪化や疲れなどだろうが、それでもチームに貢献しようとプレーを続ける松井はニューヨーク地元紙が使う“もがく”という言葉がまさにぴったりな状態にある。

 実はヤンキースの主要打者の中で不振にもがいていたのは松井だけではない。ジェイソン・ジアンビ内野手はもっと長い間厳しい状態にあった。8月に故障から復帰したものの、今ひとつ調子が上がらず、8月の結果は打率2割4分、5本塁打、6打点。さらに9月に入っても18打数2安打1割1分1厘と低迷している。このため“マツイと共にもがく”などと表現されていたのだ。

 が、そんな状態からジアンビは先に抜け出せたかもしれない。11日の試合で5回表に試合を決定づける満塁本塁打を放ったからだ。実に6試合ぶりの安打、11試合ぶりの本塁打だった。これに対しデイリーニューズは12日付で“ジアンビ、満塁本塁打でスランプ脱出”といささか気の早い見出しで、この活躍を伝えている。

 対する松井も4打数で安打はなかったが、8回に左犠飛を打ち上げ1打点を記録している。松井もジアンビと共にスランプ脱出への光が見えてきているのかもしれない。

 もがいてもがいて、再浮上しぜひチームのプレーオフ進出を決定づけるようになって欲しいものだ。

September 13, 2007 07:08 AM

2007年09月06日

イチロー200安打の米報道“偉大な静かさ”

 ア・リーグ、ワイルドカード首位争い直接対決ヤンキース対マリナーズ3連戦。3日の初戦でイチロー外野手が7年連続の200安打を達成した。日本でも大きく報道されたように、史上3人目の大記録である。

 達成の瞬間テレビに映ったスタジアムは歓声に包まれるようなことはなく、むしろ静まりかえったといった感じだったのが、印象的だった。アウエーで、しかも地元ヤンキースファンが信頼するロジャー・クレメンス投手から勝ち越し本塁打を放ったのだから、当然と言えば当然の結果といえよう。

 翌4日付のニューヨーク地元紙の反応も同様だった。ニューヨークポストもデイリーニューズも試合レポートの短信欄などで、ウィリー・キーラーの8年連続、ウェイド・ボッグスの7年連続に続く3人目の達成者になったことを短く伝えただけだった。4日終了時点でゲーム差2というデッドヒートを繰り広げている両チームの対決の中で、とりわけ大きく取り上げることもない、といったところだろうか。

 これに対してちょっと違ったのがニューヨークタイムズ。4日付では他紙と同じく事実のみを知らせたのだが、5日付紙面で「歩いても振っても、スズキは攻撃力となる」というあらためてイチローのすごさを紹介する記事を掲載しているのだ。

 その中でイチローが長打ではなく単打狙いの打者として抜きん出ていることを強調。ヤンキース、ホルヘ・ポサダ捕手の「彼はただ単打を打とうとしている。素晴らしい目をしていた手と目の連携が信じられない。彼はどこかのロボットだと思う」という称賛のコメントを紹介している。

 またイチローがその気になればもっと本塁打を量産できるのでは、という時々ある議論に対し、「自分にとって、フライを打って『あれはたぶん本塁打になるね』と言うようなシチュエーションになったことは一度もなかったです」というイチロー自身の言葉を載せているのも興味深かった。

 日本でも200安打目の本塁打は狙っていたのでは、というニュアンスの報道があったが、同記事でも同僚ジャロッド・ウォッシュバーン投手の「彼が本塁打を打とうとしていたかどうか分からないけれど、彼が『うん、200安打に本塁打を打ちたいね』と言っても驚かなかったろうね」という言葉を載せていた。

 プレーオフ出場を賭けた大勝負の中で、控えめな扱いになってしまった大記録達成。しかし、それはイチローが偉大な選手であるという認識が既に十分に浸透している故のことだったのかもしれない。

September 6, 2007 09:23 AM