渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2007年07月05日

ボンズの球宴出場が示したもの

 ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手が3日、751本目の本塁打を放ち、ハンク・アーロンの持つMLB記録にあと4本に迫った。

 ステロイド使用疑惑がくすぶり続けるボンズに厳しい意見を持つメディアやファンは依然多い。本拠地サンフランシスコでは熱狂的に支持するファンが多数派なのに、遠征になるとステロイド使用を揶揄するプラカードを持ったりコスプレをしたファンがスタンドを埋める、そんなシーンはすっかりスポーツニュースの見慣れた風景となってしまった感があるほどだ。

 ただ大記録達成が近づくにつれ、徐々に雰囲気が変わりつつあるようだ。ボンズの記録、活躍を肯定的に捉える意見が目立つようになっているのである。

 その現れといえるのが10日に開催されるオールスター戦に先発メンバーとして選出されたことだろう。ボンズは232万票余りを獲得し、ナ・リーグ外野手部門3位で3年ぶり14度目の出場を決めたのだ。

 以前の否定一辺倒の風潮であれば、今年も落選になっていたに違いない。

 この出場についてニューヨークポストのコラムニスト、ジョエル・シャーマンは1日付けの「ボンズの星はまだ輝いている」というコラムでこんな風に解説している。

 ボンズはどんなに嫌われていようと“スター”であり、今回の球宴開催地はサンフランシスコでその地元チームから先発メンバーに入れるほどの活躍をしている唯一の存在で、さらに視聴率を稼げる存在だからだと。かなりの皮肉ではあるが、サンフランシスコから遠く離れ、普段手厳しいニューヨークのメディアながら全否定になっていないところが現在の様子を反映しているように感じられるのだ。

 老舗紙ニューヨークタイムズはもっと肯定的だ。4日付けで、今回やはり選出されたケン・グリフィー・ジュニアとボンズとの似た境遇、2人の関係を紹介するストーリーを掲載。グリフィーがバッシングを受けてきたボンズを気遣うコメントなどを紹介しているのである。

 たしかにこれだけメディアなどから厳しく責められながらもリーグはボンズに対し、なんの処罰も下していない。疑わしきは罰せずという精神からしても、ボンズを全てのメディア、ファンが否定するのもおかしな状況だといえる。

 大記録達成に前後する形で開催されるオールスター戦でボンズがどんな活躍をし、メディア、ファンからどんな風に迎えられるか、例年とは違った意味でも注目の“夢のゲーム”となりそうだ。

July 5, 2007 07:28 AM