渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2007年07月26日

好調松井がヤンキース支える

 ヤンキースが好調を維持している。24日までこの7日間の成績は6勝2敗、19、20日と連敗したものの、21日のダブルヘッダーから24日のロイヤルズ戦まで5連勝中だ。オールスター休み以後で見ても11勝3敗である。

 その好調を松井秀喜外野手の打撃が支えているのも変わらない。この7日間の成績は打率3割6分1厘、打点10、3本塁打と絶好調。これはチームの主砲アレックス・ロドリゲス内野手と比べても打率、本塁打で上回り、打点で並ぶ堂々としたものだ。

 これだけ好調だからプレーオフ・レースでもア・リーグ東地区首位のレッドソックスとの差をどんどん詰めて、といきたいところだが、そうは簡単にいかないのがMLBだ。ゲーム差は24日終了時点で7.5ゲーム。先週より0.5ゲームしか縮まっていないのである。

 これはレッドソックスも依然強さを維持しているため。オールスター明けの最初1週間は連勝できず、3勝4敗。このまま失速するかと思われたが、3連敗の後20日からヤンキース同様5連勝を飾っている。やはりこのしぶとさは本物のようだ。

 松阪大輔投手も7月の成績は勝ち負けが交互に続く3勝2敗で、今ひとつピリっとしないところがあるものの、防御率はいずれも3点台で安定はしてきているようだ。

 オールスター以後レッドソックスは18連戦、ヤンキースは20連戦中。夏バテする選手がどれぐらい出るかがカギになってくるかもしれない。ちなみに8月、レッドソックスは3日休養日があり、11連戦が最長。対してヤンキースは休養日は2日で、13連戦がある。8月のスケジュール的にはヤンキースのほうが若干厳しいともいえそうだ。

 地区首位争いではまだまだ先が見えないヤンキースだが、ワイルドカード・レースでは状況が違ってきている。現在首位はインディアンスでその差は4.5ゲーム。既に射程圏内に入ってきた。イチロー外野手のいるマリナーズが2位で、インディアンスとの差は3ゲームだが、こちらは5連敗中。しかも中地区、西地区とも首位と2位チームの差は3ゲーム以内となっている。最後の一枠を巡るワイルドカード争いに関しては早くも混戦の様相を見せ始めているのだ。

 プレーオフ進出は至上命令のヤンキースがこれからどんな奮闘ぶりを見せてくれるか、ライバルたちの動きも合わせて目を離せない日々が続く。

July 26, 2007 08:29 AM

2007年07月19日

ヤンキースにドラマの予感

 先週シーズン前半のヤンキースと松井秀喜外野手の調子の悪さを紹介し、心配していたら、12日の球宴休み明けからどちらも一転して絶好調となっている。

 チームは13日のデビルレイズ戦を4-6で落としたものの、17日まで残り5試合は全てものにし、現在4連勝中だ。

 特に目につくのがチームに勝負強さが見えてきたこと。その典型といえるのが17日のブルージェイズ戦で、9回まで1-2とリードされながら、メルキー・カブレラ外野手が三盗を決めた後、相手のジェレミー・アカード投手がボークし同点。続く10回にロビンソン・カノ二塁手の適時打でサヨナラ勝ちしている。

 カブレラの果敢に塁を狙うアグレッシブな姿勢が相手投手のミスを誘い、「何とか点を取るべく思い切りいった」と語るカノの勝利への執念が劇的なひと振りを生んだのだ。選手たちがこういう状態にあるときは、そう簡単に負けることはない。

 松井にしても同じだ。休み明けからの打率は3割8分5厘、5打点、3本塁打と乗りに乗っている。17日の試合では、連続試合安打を12に伸ばした他、今シーズン3度目の盗塁も決めた。

 さらに守備も良く、「打球まで的確なスピードで追いかけるし、1歩目のスタートがいい」とジョー・トーリ監督が絶賛する。デイリーニューズなど2回の守備で結果的にエンタイトル二塁打になったが、リード・ジョンソン外野手がフェンス際に放った大飛球にためらわずジャンプしながら捕球を試みた場面の写真をわざわざ大きく紙面で掲載していた。それほど松井の守備は皆に強い印象を与えているのだ。

 そんななか井川慶投手があいかわらずピリっとしないのが気になるところではある。

 全体に復調してきたとはいえ、ヤンキースとア・リーグ東地区首位のレッドソックスとの差は8ゲームもある。ワイルドカード・レースでも首位のインディアンスに対し7ゲーム差で、4位という状況だ。決して浮かれられる状況ではない。

 しかし、皆が波に乗っているこの状況を逃さず、勝ち星を重ねていけば、追いつく時間は十分にある。それだけにこの時期にチームも松井も復調、というのが今後のドラマチックな展開を予想せずにはいられないのだ。それが現実になることを期待したい。

July 19, 2007 07:45 AM

2007年07月12日

松井は“C”、井川は“F”評価

 オールスター戦も終わり、いよいよ12日からシーズン後半戦が始まる。いわゆる救援休みをきっかけに前半戦の総括を行ったところも多かった。

 ニューヨークの地元紙ではニューヨークポストが他に先がけ8日付の紙面で、“ミッドシーズン・レポート”を掲載した。同紙の有名コラムニストにヤンキースとメッツの主要選手をランク付けしたものだ。

 ナ・リーグ東地区首位で折り返したメッツを判定したのはマーク・ホール記者。今やMLBを代表する遊撃手となったホセ・レイエス内野手を筆頭にビリー・ワグナー投手など5人の選手がトップ評価の“A”判定を受けている。さらに同じランクの中でも高評価の“プラス”を付けてもらったデイビッド・ライト内野手など14人もの選手が“B”評価だった。その他“C”4人、“D”が3人で、今シーズンのメッツに大きな穴がなくチーム全体で好調を維持していることがわかる。

 対照的なのがジョージ・キング記者が評したヤンキースだ。“A”評価を受けたのはアレックス・ロドリゲス内野手とデレク・ジーター内野手、ホルヘ・ポサダ捕手のオールスター・トリオだけ。“B”評価も“プラス”はおらず王建民投手ら3人だけなのだ。“C”は8人、“D”が2人となっている。さらに落第点の“F”評価が5人もいるのだ。ア・リーグ東地区首位の宿敵レッドソックスに10ゲームも差をつけられ、ワイルドカード・レースでも6位という不調ぶりが選手陣にもありありと出ている。

 気になる日本人選手の評価だが、松井秀喜外野手は“C”評価。負傷で2週間戦列を離れたことと、以前はチャンスに強い打者だったのに、今は好機で打てないことが評価で問題になったと説明されている。“クラッチ・ヒッター”からの転落はアメリカのメディアでしばしば取り沙汰されるようになっており、バッシングの種になりかねないのでシーズン後半はぜひ頑張って欲しいところである。

 そんな松井以上に厳しい評価を受けたのは井川慶投手だ。ランクは“F”。評価理由はただ一文、「この4600万ドルを捨てたことに説明はいらない」だった。交渉権獲得と契約に多額の資金をつぎ込んだだけに、今の成績ではこの評価も甘んじて受けねばならないだろう。

 シーズンがもう半分終了、ということはまだ半分残っている、ということもできる。両選手にはなんとしても評価が跳ね上がる活躍を見せてもらいたいものである。

July 12, 2007 07:06 AM

2007年07月05日

ボンズの球宴出場が示したもの

 ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手が3日、751本目の本塁打を放ち、ハンク・アーロンの持つMLB記録にあと4本に迫った。

 ステロイド使用疑惑がくすぶり続けるボンズに厳しい意見を持つメディアやファンは依然多い。本拠地サンフランシスコでは熱狂的に支持するファンが多数派なのに、遠征になるとステロイド使用を揶揄するプラカードを持ったりコスプレをしたファンがスタンドを埋める、そんなシーンはすっかりスポーツニュースの見慣れた風景となってしまった感があるほどだ。

 ただ大記録達成が近づくにつれ、徐々に雰囲気が変わりつつあるようだ。ボンズの記録、活躍を肯定的に捉える意見が目立つようになっているのである。

 その現れといえるのが10日に開催されるオールスター戦に先発メンバーとして選出されたことだろう。ボンズは232万票余りを獲得し、ナ・リーグ外野手部門3位で3年ぶり14度目の出場を決めたのだ。

 以前の否定一辺倒の風潮であれば、今年も落選になっていたに違いない。

 この出場についてニューヨークポストのコラムニスト、ジョエル・シャーマンは1日付けの「ボンズの星はまだ輝いている」というコラムでこんな風に解説している。

 ボンズはどんなに嫌われていようと“スター”であり、今回の球宴開催地はサンフランシスコでその地元チームから先発メンバーに入れるほどの活躍をしている唯一の存在で、さらに視聴率を稼げる存在だからだと。かなりの皮肉ではあるが、サンフランシスコから遠く離れ、普段手厳しいニューヨークのメディアながら全否定になっていないところが現在の様子を反映しているように感じられるのだ。

 老舗紙ニューヨークタイムズはもっと肯定的だ。4日付けで、今回やはり選出されたケン・グリフィー・ジュニアとボンズとの似た境遇、2人の関係を紹介するストーリーを掲載。グリフィーがバッシングを受けてきたボンズを気遣うコメントなどを紹介しているのである。

 たしかにこれだけメディアなどから厳しく責められながらもリーグはボンズに対し、なんの処罰も下していない。疑わしきは罰せずという精神からしても、ボンズを全てのメディア、ファンが否定するのもおかしな状況だといえる。

 大記録達成に前後する形で開催されるオールスター戦でボンズがどんな活躍をし、メディア、ファンからどんな風に迎えられるか、例年とは違った意味でも注目の“夢のゲーム”となりそうだ。

July 5, 2007 07:28 AM