渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2007年05月31日

ロケットがカムバック

 いよいよ“ロケット”がMLBの大舞台に戻ってくる。

 古巣ニューヨーク・ヤンキースへの復帰を予定しているロジャー・クレメンス投手はマイナーでの3度に渡る調整登板を順調に終えた。28日には3Aスクラントン・ウィルクスバレーでデトロイト・タイガース傘下の3Aトレド戦に先発。6回を2安打、6奪三振、2四球、計89球で無失点に抑えた。

 この試合でのクレメンスの投球をスポーツ専門局のESPNは普段スポーツ・ニュースを放送しているチャンネルで生中継するなど、復帰の注目度は今や全米規模になっている。

 気になるメジャー復帰日だが、6月4日にシカゴで行われるホワイトソックス戦になりそうだ。チームの公式発表はまだないものの、ジョー・トーリ監督がそのことを示唆する発言をしたためで、30日付のニューヨーク地元紙は「シカゴで会おう」(ニューヨークポスト)、「ロケット発射まであと5日」(デイリーニューズ)などと一斉に報じている。

 当初は1日からボストンで予定されている宿敵レッドソックスとの3連戦で先発かと期待されていたが、残念ながら見送られることとなった。この点についてトーリ監督は王建民、マイク・ムシーナ、アンディ・ペティットに先発させるとし、彼ら3人に「満足している」と説明したとのことだ。

 ただ満足しているとはいっても各投手の最近4試合の登板実績を見ると、王が2勝2敗、ペティットが1勝3敗、ムシーナが1勝2敗ととても安定しているとはいえない。チーム自体屈辱の5連敗中だ。クレメンスへの期待が高まるのも無理はないことだろう。

 ただ8月に45歳になるクレメンスにどこまで負担をかけられるのか、チーム状態が良くないだけに一抹の不安を感じるのも事実なのだが。

 一方、やはりメジャー復帰を目指す井川慶投手だが、残念ながら調整は期待通りには進んでいないようだ。クレメンス登板の翌日、29日に同じスクラントン・ウィルクスバレーでのトレド戦に先発したものの5回8安打1四球、6三振で4点を失い敗戦投手となってしまった。ボールが先行する制球難に苦しんでいるようだ。

 クレメンスとは対照的に今後しばらくは3Aでの調整が続くことになりそうだ。クレメンスと共に復帰し、ヤンキースを救って欲しかったのだが。

May 31, 2007 07:35 AM

2007年05月24日

「3番松井」はヤ軍を救えるか

 22日終了時点でここ4試合ヤンキースの松井秀喜外野手が3番左翼で起用されている。ジョー・トーリ監督はクリーンアップのうち特に3番を重要視しているので、松井への信頼がそれだけ高いということだ。

 では松井はその期待に応えられているだろうか。4試合の成績を見てみると18打数5安打、打率は2割7分8厘、打点は0。残念ながら好成績とはいえない数字である。

 過去7日間での打率を見ると2割9分4厘、これが14日間だと3割9厘になる。つまり調子が良く信頼度が高い選手を3番に、という監督の思惑とは裏腹に次第に調子を落としてしまっているのだ。

 では肝心の勝利への貢献度はどうか。先週お伝えしたように、ヤンキースは強敵との対戦が続いている。松井が3番に起用されたのは19日のサブウェイシリーズ、対メッツ3連戦の2戦目で、第1打席に中前安打を放ったが、その後の4打席は凡退。投手陣の不調が最大の原因だが、チームの連敗の一因となってしまった。

 翌20日は5打数3安打と活躍。チームもメッツに初勝利している。ただ松井の安打はいずれも点には結び付かなかった。

 21日からは宿敵レッドソックスとの3連戦。1試合めは5打数無安打だったが、チームはライバルを6-2で破っている。

 そして22日は3打数1安打で、3-7でチームは敗れた。

 この4試合で2死ながらスコアリングポジションに走者を置きながら凡退してしまった場面が5回ある。残念ながら数字だけでなく、効果的な活躍もできていないというのが現状だ。

 ここ7日間の成績を見ると現在5番を打つホルヘ・ポサダ捕手が3割9分3厘、3本塁打と絶好調。さらに4番のアレックス・ロドリゲス三塁手も打率は2割7厘と低いがやはり3本塁打している。なんとか松井に本来のクラッチバッターとしての資質を発揮してもらい、レッドソックスとの間に開いた10・5ものゲーム差を1日も早く詰めてもらいたいものだ。

 と、松井の心配をしていたら、デイリーニューズが23日付紙面トップで、ジェイソン・ジアンビ内野手が昨年行われた薬物検査で、興奮剤のアンフェタミンに陽性反応を示していた、とすっぱ抜いた。新たなスキャンダルになるのは必至である。泥沼のヤンキースは更なる深みにはまってしまうかもしれない。

May 24, 2007 09:48 AM

2007年05月17日

今季もサブウェイ・シリーズに注目

 不振が続くヤンキースに対し、同じくニューヨークを本拠にするメッツは今シーズン開幕から好調で、現在ブレーブスとナ・リーグ東地区の首位争いを続けている。

 15日のカブス戦はカルロス・ザンブラノ投手に抑え込まれ1-10で敗れたものの、24勝14敗、勝率6割3分1厘という戦績はブレーブスと0・5ゲーム差、ナ・リーグ全体でも3位という堂々たるものだ。

 好調の要因としては、既に5勝をあげ防御率2・15のジョン・メインをはじめ、トム・グラビン、オリバー・ペレズと先発陣が安定していることが大きい。打撃陣もホセ・レイエス遊撃手やカルロス・ベルトラン外野手など打率3割以上の選手が4人いる。まさに攻守がかみ合っている状態だ。

 しかも現在右肩を痛め先発陣の一角を占めていたオーランド・ヘルナンデスが先月末に負傷者リスト入りし、戦列を離れているのである。それでも15日までのここ10試合を6勝4敗で乗り切っている。まさに先発陣の不調とケガ人続出でつまづきっぱなしのヤンキースとは正反対の状況なのだ。

 そんなメッツとヤンキースが18日から3連戦を行う。恒例のインターリーグ戦だが、両チームにとってはまさにシーズン前半のクライマックスになりそうである。

 メッツはカブスとの3連戦の後にヤンキースと対戦。1日休んだ後の22日からブレーブスとの直接対決3連戦に突入するのだ。

 対するヤンキースはもっと過酷だ。16日のダブルヘッダーを含むホワイトソックスとの3連戦後そのままメッツと対決。さらに休みなく宿敵レッドソックスと3連戦となるからである。しかもさらに1日休んだ後、ア・リーグ西地区首位のエンゼルスとの3連戦まで控えている。

 12試合も山場といえる試合が続くのだ。選手たちにはかなりのストレスとなりそうだが、この12試合をなんとしても乗り越えなければ、シーズンの行く先はかなり暗いものになってしまうだろう。逆にうまく勝ち越していければ、これまでの停滞ムードを一挙に払拭し、さらに“救世主”として期待されるロジャー・クレメンス投手の復帰も予定されているので、シーズン中盤へうまく乗り出していけるに違いない。

 両チームが負けられない状況で迎える今年最初のサブウェイ・シリーズ。かなりの緊張感が味わえそうである。

May 17, 2007 07:20 AM

2007年05月10日

クレメンス復帰で厳しい決断下された井川

 不振にあえぐヤンキースに偉大なる助っ人が登場することになった。6日、史上最多のサイ・ヤング賞7回を誇るロジャー・クレメンス投手がヤンキースに復帰することが明らかにされたのだ。

 発表はマリナーズ戦の7回裏の前、恒例の「セブンス・イニング・ストレッチ」が終わったときに、大スクリーンにオーナー席にいるクレメンスが映し出され、さらに「ロジャー・クレメンスが今ヤンキースの一員に」と表示されるドラマチックな演出がされた。

 ニューヨーク地元メディアももちろんこの復帰をトップニュースで報じた。「カムバック? ロジャーがそれだ!」(ニューヨークポスト)、「クレメンスはヤンキースのSOSを聞いた」(デイリーニュース)といった見出しにヤンキースの低迷状態と救世主を渇望する気持ちが表れている。

 まずはマイナー契約で調整した後、メジャー昇格となる見込みだが、メディアの多くは6月1日から行われるレッドソックスとの3連戦を予想している。本人もヤンキースのライバルであり、自身も新人当時から13年に渡り所属したレッドソックス戦に特別な意識があることを明かしていることから確率は高そうだ。

 救世主登場と共に厳しい決断を下されてしまったのが井川慶投手。クレメンス復帰発表の翌日の7日、マイナー降格を通告されたのだ。フロリダ州タンパで再調整し、その後に傘下3Aか2Aのチームで登板、メジャー再昇格に備える。
 この降格はマット・デサルボ投手の昇格に伴うもの。当初はダレル・ラズナー投手が降格すると見られていたが、前日6日のマリナーズ戦で好投したため、逆に4日のマリナーズ戦で8失点し、KOされていた井川が落とされることになってしまった。

 現在ヤンキース不振の戦犯としてブライアン・キャッシュマンGMを責める報道が目立ち始めている。その失敗例として上げられているのが、カール・パバーノと井川の契約なのだ。

 特に井川の場合交渉権獲得に2600万ドル、5年契約に2000万ドルをつぎ込んだだけに風当たりは強い。スポーツ専門チャンネルのESPNもこのことを全米向けニュースで放送していた。

 現在の井川への失望感は高い。なんとしても早く本来の調子を取り戻して、再昇格を果たし、汚名を返上してもらいたいものだ。

May 10, 2007 09:59 AM

2007年05月03日

ヤ軍オーナーが声明「監督、選手信じる」

 4月をまさかの9勝14敗、ア・リーグ東地区最下位で終えてしまったヤンキース。このまさかの低迷に4月30日、遂にジョージ・スタインブレナー・オーナーが声明を発表した。

 その中でスタインブレナーは「ここまでの結果は明らかに私やヤンキースファンにとって好ましいものではない」と、いかにも”悪の帝王”らしくばっさり斬り捨てている。

 となると首脳陣の責任追及に発展、と皆思うところだが、今回の声明にはそのことに先回りして「ブライアン・キャッシュマンGM、ジョー・トーリ監督、そして選手たちは全員、この状況から早急に抜け出せると信じているし、私も彼らを信じている」し、「私は状況が改善するよう、彼らをあらゆる方法でサポートする」という文言が含まれていた。トーリたちにここまで配慮した、と言う点で注目される。

 声明が出たとき責任問題をあおろうとしたであろうニューヨーク地元メディアもこれには出鼻をくじかれたようで、「ジョージはキャッシュとジョーをサポート…今は」(ニューヨークポスト)、「キャッシュマン、トーリは声明に応えなければならないことをわかっている」(デイリーニューズ)などと、いささか弱い形で報じることなった。

 とはいうものの、本当に厳しい状態が続いているのは事実だ。特に1日は期待の新人、フィル・ヒューズ投手が7回1死までノーヒットノーランの好投を見せながら、突如左ハムストリングを痛めて降板、故障者リスト入りが確実になってしまった。不運としかいいようがない。

 これで今シーズン、負傷した先発投手は5人目である。復帰した王建民もつめを割って先発回避する事態にもなっている。

 そのおかげで一時は先発から降格された井川慶が、ジェフ・カーステンスの負傷降板による緊急登板で好投し、先発に戻されたのは本当に不幸中の幸いといったところなのだ。王に代わって4日のマリナーズ戦で先発する井川がこのままヤンキース復活の立役者に、なってくれるといいのだが。

May 3, 2007 09:53 AM