渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2007年04月26日

KO状態のヤンキース

 ヤンキースがピンチだ。宿敵レッドソックスに屈辱の3連敗。23日には井川慶がデビルレイズ相手に5回持たず被安打8、被本塁打2、自責点7と打ち込まれて4連敗となった。さらに翌24日も負傷から復帰したエース王建民が力投を見せたものの、7回に後続のマイク・マイヤーズがカール・クロフォードから逆転満塁本塁打を浴びて5連敗である。これでヤンキースはア・リーグ東地区最下位に転落してしまった。

 不振の原因はやはり投手陣。レッドソックスとの緒戦では守護神マリアノ・リベラがまさかの2失点で逆転を許した。第2戦のジェフ・カーステンス、第3戦のチェイス・ライトはいずれも5回までに4点以上をとられ、降板。先発、中継ぎ、抑えがそれぞれ不振ぶりを披露している状態なのだから、最下位も致し方ない。

 井川の登板翌日24日のニューヨーク地元紙には「KEI-O」という見出しが並んだ。井川の名前とノックアウトのKOをかけたものだが、まさに今のヤンキースはKO状態そのものといえるかもしれない。

 そんな状況に地元メディアでは今”救世主”捜しが行われている。まずその候補に上げられたのが20歳のフィル・ヒューズだ。開幕前井川と先発枠を争った期待の若手が26日のブルージェイズ戦でメジャー・デビューすることが発表されたためだ。ヒューズは今季3Aスクラントンで2勝1敗、防御率3・94をマークしている。果たして期待通りのピッチングを見せてくれるか注目される。

 と同時に気になるのはやはり井川の立場。負け投手になったとはいえ王は先発として及第点の投球内容だった。これでヒューズが先発ローテーション入りすれば当然落ちる投手が出ることになる。井川の場合左腕であり、すぐに外されることはないと思うが、あまりに悪い結果が続くと可能性は高まる。まさかここまでハラハラさせられることになろうとは、開幕前には予想だにしなかったが、なんとしても切り抜け、チームの建て直しに一役買って欲しいものである。

 攻撃面を見ると、あれだけなんだかんだと騒がれ続けたアレックス・ロドリゲスが既に14本もの本塁打を放ち、打率3割8分5厘と記録的な活躍を見せていていて、しかもチームの打率と本塁打数もア・リーグのトップにある。にもかかわらず、チームはここまで低迷しているのだからベースボールとはつくづく難しいと言わざるを得ない。

April 26, 2007 06:53 AM

2007年04月19日

MLBのチケット事情

 レッドソックス松坂大輔投手の活躍を伝えるテレビ中継で必ず見かけるのが、現地まで応援に駆けつけた日本人ファンの姿。同時に本拠地フェンウェイパークは小さいため、チケット入手は困難、という報道も良く目にする。実際のところはどうなのか。ニューヨーク地区で長年全米のチケットを取り扱っている公認チケットブローカー、マンハッタン・エンターテイメント社の中原氏に今シーズンのMLBチケット事情について聞いた。

 まず松坂人気に沸くレッドソックス戦についてだが「やはり人気は上がってますね。元々レッドソックスは人気があり、そこに松坂選手の入団があって、去年よりもオーダーはかなり増えています。松坂投手の人気は日本だけのものではないです。ポスティングの件が大きな話題になったこともあり、アメリカでも人気があります。そのため日本からの需要が増えたためだけでなく、全体的な人気で値段が上がっていると思います」とのこと。やはり松坂人気は本物のようだ。ちなみに次に松坂の登板が予想されている22日の試合は相手が宿敵ヤンキースということもあり、同社のウェブサイトで販売されているチケットは右翼外野立ち見でも110ドルからで、1階内野1塁側前方の席では875ドルというものもあった。

 では井川慶投手が加入し、松井秀喜外野手が復帰間近なヤンキースはどうだろう。中原氏よると「ヤンキースに関しては昨年は松井選手のケガで売り上げに影響が出たんです。今シーズンは一昨年と同程度まで戻っていると思います」と話してくれた。ヤンキース人気も依然高いようだ。

 「日本人のお客様に関してはやはりレッドソックス、ヤンキース、マリナーズ戦に人気があります。その他のチームに関してはあまり大きな変化は出ていません」ということだが、「デビルレイズの岩村選手が活躍していることもあり、これまでほとんど需要の無かったデビルレイズ戦の人気も少し出てきました」らしいので、その他のチームの日本人選手のより一層の活躍に期待したいところではある。

 ところで日本人にとって生観戦のチャンスになるのがゴールデンウィーク。特に今年は27日からヤンキースタジアムでレッドソックスが、さらに5月4日からはマリナーズがそれぞれ3連戦を行う。中原氏のところにも例年以上のオーダーが殺到したとのこと。さすがに間近になったこともあり、ピークは過ぎたそうだが、まだまだ申し込みがあるという。ラストのチャンスにかけるのもいいかもしれない。

 また次のピークになるのは夏休みだが、まだ申し込みは少数ということだった。ただやはりフェンウェイパークの場合収容人数の問題は深刻らしく、チームの状況などで変化するため読めない部分が多いとしたうえで、動くなら「早ければ早いほうがいいと思います」とアドバイスをくれた。松坂も厳しい登板が続いているが、チケット争奪戦もさらに激化しそうな感じである。

 ◆マンハッタンエンターテイメント:http://www.ticket-ny.com/

April 19, 2007 07:10 AM

2007年04月12日

井川にプレッシャー、ヤ軍投手陣ギア入る

 7日のMLB初先発が5回7失点と散々な結果に終わったヤンキースの井川慶投手。翌8日付のニューヨーク地元紙には、井川とレッドソックス松坂大輔投手のデビューをニックネームで比較した「NO DICE FOR IGGY(井川は松坂のようになれず)」(デイリーニューズ)や「井川のデビュー戦は悲惨だった」(ニューヨークポスト)など、厳しい見出しが並んだ。

 だが、井川ばかりが集中砲火を浴びたかというとそうでもない。井川だけでなく、ヤンキース先発陣全体がひどい状況だったからだ。象徴的だったのは7日の試合中継で井川が5回を投げ終え、降板した際に現地アナウンサーが「これで井川は今シーズン一番長く投げた先発投手になった」と皮肉を込めて語っていたこと。

 そう、開幕のカール・パバーノからアンディ・ペティット、マイク・ムシーナといずれも先発投手の最低責任といえる5イニング持たずに降板していた。さらにいえば、井川の次に先発したダレル・ラズナーも5回途中で降板している。先発陣全員が責められる試合が続けていたというわけだ。

 それでもしぶとく2勝できていたのはアレックス・ロドリゲスをはじめ、打線が好調だったおかげだ。

 ただ先発陣が2巡目に入って状況が変わってきている。9日、パバーノは7回を6安打2失点に抑え、10日はペティットが6回を4安打無失点で、共にきっちりと仕事をしチームを連勝に導いた。急にギアが入った感じだ。

 また、本来開幕投手を務めると見られていた王建民と先発争いをしていたジェフ・カーステンスの2選手が負傷から順調に回復してきているとジョー・トーリ監督が発表している。

 こうした展開はヤンキースとファンにとってはうれしいものだが、同時に井川にとってはプレッシャーが高まることになる。13日のアスレチックス戦と見られる次の登板では結果を残すことが要求されるのだ。

 井川は初登板後、「これからやっていけるな、という感じはある」と語っていたが、ぜひその自信を早く現実のものとして欲しい。

 また松井秀喜外野手が負傷欠場となった。注目の松坂との初対決が先に延びることになってがっくりきている人も多いだろうが、23日には万全の体制で復帰できそうなのは不幸中の幸いと思うべきかもしれない。ぜひそのまま長いシーズンを乗り切って欲しいものだ。

April 12, 2007 08:03 AM

2007年04月05日

注目度ダントツの松坂大輔、MLB開幕

 遂にMLB2007年シーズンが開幕した。今年は13人の日本人選手が開幕ロスターに名前を連ねている。

 その中でアメリカでもダントツの注目度を集めているのは、やはりレッドソックスの松坂大輔投手。全国紙のUSAトゥデーは2日付のMLB開幕特集面の中で「レッドソックスにとってダイスケ・マツザカはどれぐらい貴重か?」という記事を掲載した。

 松坂が今春のセンセーションであり、レッドソックスが日本から彼を移籍させるのに1億300万ドルを投資したことをあらためて紹介し、そのうえで選手やコーチの松坂評を集めたものである。

 それによるとパイレーツのクリス・ダフィー外野手は「自分は1人の人間があれほどたくさんの球種を投げるのを見たことがない、しかも彼はそれらでストライクをとれるんだ」と松坂の持つ球種の多彩さを評価。

 さらに松坂の投球を「ナスティ(いやらしい)」とし、「彼はこの星の出身じゃない」とまで表現したのはオリオールズの三塁手メルビン・モーラだった。

 ただ「彼は早めに仕上げる必要がある。しかし華氏40度(摂氏4.5度)の気候では日本人ルーキーはうまくスタートできないだろう」というちょっと厳しい予想をした人物もあった。日本のマリーンズ監督のボビー・バレンタイン監督だ。MLBも日本も、そして松坂もよく知る人物であり、要注目だ。さらにバレンタインは「彼はうまく行くだろう。いくつかのゲームですばらしい完投をするだろう。彼はいくつかホームランを打たれるだろうね、とても長いホームランを」というコメントも寄せている。果たして的中するだろうか。

 同紙はさらに翌3日付紙面でも松坂関連の記事を掲載した。見出しは「マツザカ、メディアの磁石」というもの。シーズン開幕戦となったカンザスシティのスタジアムに松坂は登板しなかったのにもかかわらず約100人もの日本人報道陣が集まり、松坂の一挙手一投足を追っていたことをレポートしたものだ。

 この手の日本人報道陣のフィーバーぶりを伝える報道はイチロー、松井秀喜に続き、すっかりおなじみになった感がある。アメリカ・メディア側も慣れてきたのか、この記事でも前例に触れていた。さらに騒ぎは少なくとも先発が予想される4月11日の対ヤンキース戦まで続くだろう、と冷静に予想していたのがおかしかった。たしかにこの予想は当たりそうである。
 さてその松坂がいよいよ現地5日に初先発を迎える。どんな盛り上がりが日米で見られることになるだろうか。

April 5, 2007 11:08 AM