渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2006年12月16日

NYも注目、1億ドル腕松坂

 ついにレッドソックスと契約に至った松坂大輔投手。期限いっぱいの14日まで及んだその契約交渉については期限に近づくにつれ、ESPNなど全米規模のスポーツ・メディアなどで大きく報道されていった。

 ここニューヨークのメディアも同様だったが、その扱いはそれなりの大きさ、といった感じだった。やはり地元優先ということなのだろう。全米のMLBファンが注目していようが、トップで扱われていたのはヤンキースやメッツ、さらに時期的なことからNFLの話題だったのである。

 そうした地元意識がよくわかるのが入団記者会見の翌日、15日付のニューヨークのローカル紙だ。1面で松坂のことを扱ったのはニューズデーのみ。それも元レッドソックスで、現ヤンキースのジョニー・デーモンがメーンで、レッドソックスの帽子をかぶる松坂の写真が小さく、見出しも無しに掲載されただけだった。

 記事に関してもニューヨーク・ポストなどは1/4ページほどのものを載せている程度。むしろ契約目前だった14日付のほうが扱いが大きかったのである。決裂の可能性があった交渉のやりとりには興味があっても、決まってしまえばライバルチームにとってめでたいことで、自分たちにとってうれしくない出来事、といったところか。

 そんななか、ニューヨーク・ポストがAP通信社の記事に付けた「ソックスの1億ドル腕、デッドラインで契約」という見出しが典型なのだが、各紙の松坂関連記事で頻繁に見られようになったのが”1億ドル腕”という表現だ。これはポスティングの約5111万ドルという落札額と6年間5200万ドルという総年俸額を合わせると約1億ドルになるところからきている。

 アメリカのメディアにとって、レッドソックスは松坂に1億ドルも使った、という意識が強いのだ。同時に落札額の高騰に対してポスティングシステムへの批判がかなり強くなっているといえる。

 さらにことさらニューヨークのメディアがこの額を気にするのにはわけがある。レッドソックスが松坂以外にも、5日にドジャースからFAになっていた2選手、J.D.ドリュー外野手と5年7000万ドル、フリオ・ルーゴ遊撃手と、4年3600万ドルで契約したためだ。ライバルは2週間のうちに”1億ドルの男”を含め、約2億ドルもの大型補強したことが気になっているのである。

 果たしてそれほどの大金を使って効果的な補強をできたのか、と疑問の目を向けているのだ。もちろんその目は松坂にもシーズンを通じてそそがれることになるだろう。

 なんだかんだといって、やはりライバルの動向は常に気になるもの。松坂は記者会見でライバル関係について聞かれ、「お互いにすごい意識し合っている相手だとは分かっていますし、普通の試合ではないということが分かっています」とこたえたそうだが、ニューヨークタイムズによるとさらに「皆、自分がヤンキースをたたきのめす、と言うべきだって言うんですよ」とジョークを言ったのだとか。

 松坂はこの屈指のライバル関係を理解しているようである。ブーイングの嵐が巻き起こるかもしれないが、彼がヤンキースタジアムのマウンドに立つ日が楽しみだ。

December 16, 2006 09:51 AM