渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2006年10月26日

低迷続くWシリーズの視聴率

 熱戦が続くワールドシリーズだが、全米テレビ中継では苦戦が続いている。23日に発表された第2戦までの視聴率は、タイガースがカージナルスに2-7で敗れた21日の初戦が8・0%、3-1でタイガースが勝った第2戦が11・5%だった。平均は9・8%で10%に届いていない。

 実はプレーオフが始まった当初、米国の放送・広告業界ではある危惧がささやかれていた。それは”サブウエーシリーズ実現”。ヤンキースとメッツのニューヨークが対決する同シリーズは00年に実現したが、この時の平均視聴率は12・4%で当時の歴代ワールドシリーズ平均視聴率最下位を記録しており、その再現が恐れられたのである。

 サブウエーシリーズ自体は話題性があり、ニューヨークは全米最大の都市地域ではあるものの、熱狂する地元が1地域だけでは全米平均で見た場合注目度は低くなる、という認識がこの結果生まれたのだ。実はそれ以降もシリーズの視聴率は低迷気味で、昨年には史上最低の11・1%を記録してしまった。これでサブウエーとなったら、と関係者が心配したのも無理はなかったと言える。

 が、願いが届き? 今回の対戦となったものの、開けてみればこの数字である。頭を抱えている人も多そうだ。

 原因の1つと考えられるのはデトロイトとセントルイスというフランチャイズ都市の組み合わせ。視聴率を調査しているニールセン・メディアリサーチによると両都市地域のテレビ視聴世帯数は共に200万世帯未満。約737万世帯を抱えるニューヨークや560万世帯以上のロサンゼルスなどに比べ大幅に少なく、基本的な部分で不利は否めない。

 地元では熱狂的な人気があったとしても大きく見ればその規模は小さく、プホルスの活躍やタイガースの躍進は全米で報道されていてもMLBファンはともかく一般視聴者まで引きつけられる話題性があるかというとそれほどでもない、ということなのかもしれない。

 そんな苦しい状況だが、執筆時点ではまだ結果が明らかになっていないものの、24日に行われた第3戦以降は視聴率が急上昇するだろうという予測が流れている。その理由は第2戦で勝利投手となったケニー・ロジャーズが初回投球時に松ヤニを使った不正投球疑惑が全米で報道されたため。一般ニュースまで扱ったため、注目度が上がったというのだ。

 人々のスキャンダル好きはいつものことだが、こうした注目度アップには複雑な気持ちになってしまう。選手たちのプレーは高いレベルにあるので、できれば試合自体の魅力で視聴率が上がっていくことを期待したい。

October 26, 2006 11:10 AM

2006年10月19日

頑張れ、メッツ!

 17日(日本時間18日)に行われたナ・リーグ優勝決定シリーズ第5戦で、カージナルスに2-4で敗れ、リーグ優勝に王手をかけられてしまったメッツ。

 レギュラーシーズンを通して見せた強さはどこへいってしまったのか…。このシリーズでは初戦をものにしたあとは第4戦には勝ったものの、モタモタした展開ばかりが目についた。カージナルスには田口壮外野手がいるが、ニューヨークを拠点とする者としてはせめて本拠地でもうひと踏ん張りして欲しいものだ。18日の試合で決まる可能性もあるが、この記事を読まれるときにシリーズが終わっていないことを祈っている。

 さて、そんなメッツの窮地をニューヨークの地元紙も揃って伝えている。18日付でニューヨーク・ポストは「メッツが瞬きし、崖っぷちに」、「終了まで1つ」という見出しをつけた。瞬(まばた)きとはせっかく第4戦に勝ったのに、第5戦で黒星をつけてしまったということ。”終了まで”とはちょっと後ろ向きな印象を受ける。

 対してデイリーニューズは表裏両1面を割いているが、こちらで目についた見出しは「レッド・アラート(緊急事態警報)」というもの。メッツが窮地に立たされたことと、カージナルスの赤いチームカラーをかけたものであろう。なかなかうまい言い回しではなかろうか。ポストよりはまだ前向き?

 そしてニューズデーは「シェイ&プレイ(祈り)」という見出しで、もうホームアドバンテージと神頼みといった感じである。

 それぞれに特徴の出た見出しになっていておもしろいものである。メッツがピンチなのは同じなのだが。

 ニューヨークのメディアとファンはほんの2週間前まで、サブウエー・シリーズが実現すると信じていた。それだけに、これでメッツまで敗退となったら、まさしく地獄のどん底に落とされた気分になるに違いない。

 そんな中、17日付のニューヨーク・タイムズに興味深い記事がスポーツ面の1面で掲載された。「新進のスーパースターが、最も高く入札するチームを待つ」という日本の松坂大輔を紹介したもの。WBCで力投する松坂の写真と共にロッテのボビー・バレンタイン監督の「松坂は本物の実力を持っている。メジャートップ級の先発投手になれる」というコメントなどが書かれている。噂されるポスティングは11月に入ってからと言われているが、メッツのことも気になるが既に来年への準備も着実に始まっているのだ。

October 19, 2006 10:49 AM

2006年10月12日

ヤンキースの大騒動

 7日、地区シリーズでタイガースにまさかの敗退を喫したヤンキース。落胆ムードが漂うなか、翌8日にいきなり大騒動が勃発した。

 地元紙デイリーニューズが8日付け紙面において、ジョー・トーリ監督の解任が濃厚で、後任候補は元マリナーズ監督のルー・ピネラ氏が有力、と伝えたのだ。そして他メディアもワールドシリーズに進出できなかったことへの”戦犯捜し”のムードがあっただけに、一斉にこの解任説に飛びついたのである。
 
 同日さらにジョージ・スタインブレナー・オーナーが「ひどく失望した。私にも、偉大なヤンキースファンにも到底、受け入れがたい結果であり、この悲しい失敗を繰り返さないために、すぐに手を打ちたい」という2年連続地区シリーズ敗退に激怒した内容のコメントを発表。これで騒ぎに拍車がかかった。チーム再編を匂わせる内容なだけに、これでトーリ監督解任は決まり、といったムードに一挙になってしまったのである。
 
 が、今度はピネラ氏が「スタインブレナー・オーナーとは友人だが、監督の話などはしていない」と就任交渉を否定。報道は迷走状態に陥った。
 
 この展開にこれは新監督探しは難航か、と思った矢先、10日にトーリ監督が会見を開き、来季も指揮を執ると発表したから驚いた。会見直前にオーナーから電話があり、続投を要請されたのだとか。
 
 いったいこの3日間の騒ぎは何だったんだ、といった感じではある。ただヤンキースにとって6年もワールドシリーズ王座から離れ、しかも2年連続地区シリーズでの敗退はそれほどまでに一大事ということなのだ。11年連続プレーオフなど、気にしてもらえないのである。そして来季は絶対ここ2年と同じことを繰り返せないことも明らかだ。
 
 ただ今回の騒動で1つ良かったと思えたこともある。それは松井秀喜外野手ら選手たちがトーレ監督支持を表明し続けたこだと。監督だけでなく自分たちの尻に火がついてることを自覚し、来季は一層結束したプレーを披露してくれることを期待したいい。ただその前に特に投手陣で大型補強が行われるのは必至だが。
 
 とにもかくにもこの騒動が一段落したおかげで、ようやくニューヨークのファンたちは腰を落ち着けてメッツの戦いぶりに注目することができそうである。

 PS. 11日、マンハッタンの高層アパートに小型機が衝突した。同機にはヤンキースのコリー・ライドルが搭乗しており、この事故での死亡が確認された。冥福を祈りたい。

October 12, 2006 11:11 AM

2006年10月05日

ヤンキースとメッツの明暗

 3日、MLBプレーオフ、地区シリーズが始まった。この日ア・リーグ東地区1位のヤンキースはワイルドカードのタイガースと初戦を戦い、8-4で快勝。幸先の良いスタートを切ることができた。

 翌4日付の地元紙はいずれもこの勝利を大きく報じているが、中でもニューヨーク・ポストとデイリーニューズはいずれも表・裏両1面を割く力の入れようだ。そしてその計4面全てで写真が使用されたのが、デレク・ジーター内野手である。

 ジーターといえば、もともとヤンキースの顔と言えるスター選手だが、第1戦はファンの期待を裏切らない活躍を見せた。なにしろ本塁打、2本の二塁打を含む5打数5安打の大爆発。5安打はポストシーズンにおける1試合最多安打タイ記録である。さらに守備でもダブルプレーを決めるなど、攻守にわたって勝利の原動力となった。

 そして、この日もスタジアムの観客席で目立ったのが、「2006 MVP」、「ジーターにMVPを」というプラカードや横断幕。これは地区優勝が決まった頃からよく見られるようになったのだが、内容通りジーターのシーズンMVP獲得を願うものだ。

 レギュラーシーズンでのジーターの成績は打率が3割4分3厘でリーグ2位、さらに打点97、本塁打14、盗塁34と堂々としたもの。そのうえキャプテンとしてぶっちぎりの地区優勝にチームを導いたのだから、ファンが早くからアピールしたくなるのも当然だろう。しかも重要なプレーオフ初戦でのこの活躍で、第2戦以降、ジーターへの期待と声援が高くなることは必至である。

 もちろん、ジーターもファンもそしてメディアも、6年ぶりのワールドシリーズ制覇こそが最上の願いだが。

 こうして最高の滑り出しを見せたヤンキースに対し、ナ・リーグ東地区1位のメッツはやはり抜群の成績を残したのにもかかわらず、暗いニュースでプレーオフ突入となってしまった。4日のドジャースとの地区シリーズ初戦で先発を予定していたエルデュケことオルランド・ヘルナンデス投手が前日の練習中に右のふくらはぎを故障、登板回避となってしまったのだ。4日の報道では、ポストシーズン全体でプレーできないだろうとされている。既にエース右腕のペドロ・マルティネス投手が右肩のけがなどで戦線を離脱しており、先発の2枚看板を失ってしまった。

 果たしてサブウエーシリーズは実現するのか。ニューヨークのファンたちはまさにワクワクドキドキしながら、2チームを応援している。

October 5, 2006 10:09 AM