2006年08月31日
2人の松井がまたメディア賑わす予感
30日付けのニューヨークタイムズ、スポーツ・セクションで2人のマツイが同じ紙面に写真入りで取り上げられ、懐かしい感じを覚えた。
“メッツの期待をロッキーズで果たす”という見出しで記事になったのは、ロッキーズの松井稼頭央内野手。29日に行われた古巣メッツとの一戦で5打数3安打2盗塁の活躍を見せたためだ。
記事では松井が「環境を変えたことは良かったです」と話し「ニューヨークでは結果を残せませんでした。ここに来たことで、そのチャンスを得られるように思います。チャンスをもらえるのは素晴らしいです」と再出発の機会が得られた充実感を語ったとしている。
ただ松井は今もニューヨークでのパフォーマンスを悔いているとし、「全て自分のせいです。うまくいかなかった。良い結果を出せなかった」と後悔の念を口にしたとも記している。
コロラドへのトレードとAAAからの再出発は、彼の言葉と記事のとおり成功だったように見える。このまま復活を果たし、MLBを代表する内野手となって彼に今度こそブーイングを浴びせたメッツ・ファンを黙らせてほしいものだ。
ちなみに環境の変化の1つとして「一度はニューヨークでの彼の全動作を記録していた日本人記者の群は4、5人にまで減った」ことがあげられていた。皮肉だが、たしかにメディアのプレッシャーが減ったことも良い要因になったには違いない。
そしてもう一人のマツイの記事。ヤンキースの松井秀喜外野手が「今日彼の復活の重要な一歩を歩む」と紹介されているのは、29日にトレーナーがフリー打撃開始の許可を出し、30日から打ち込みを再開することを報じたものである。
さらにこの打撃練習はテストの一つで、ジョー・トーリ監督は次にゲームの中で彼のスイングをチェックする意向であることを伝えている。トーリは「たぶん彼を指名打者あたりだ。そうすることが一番安全と思う」と話したとのこと。既に復帰への青写真はできあがっているようだ。
このフリー打撃開始はニューヨーク・ポストも「ヒデキ、バッティング・ケージへ向かう」と紹介するなど、地元では高い関心が寄せられている。
2人の松井が新聞やテレビを賑わす、そんな日がまたやってくる予感を秋の気配とともに感じている。
August 31, 2006 10:49 AM
2006年08月24日
メッツの快進撃が止まらない
ナ・リーグ東地区で首位を独走するメッツだが、先週フィリーズ相手に3連敗。その後持ち直したが、完敗状態だっただけに心配された。また20日には左腕のエース、トム・グラビン投手の利き腕が血行障害を起こしており、今季絶望の可能性があることが明らかになった。一挙に暗雲が立ちこめたような状況だったのである。プレーオフに向け、勢いがなくなったのではと皆が不安を感じたに違いない。
が、22日、そんな雰囲気は一気に吹き飛んだ。まずグラビンの症状は軽く、投薬で治癒が可能だという検査結果が発表された。1週間から10日間の休養で復帰できる見込みだ。
一つ事態が好転すると次々に良いことが起こっていくのが、勢いに乗っているチームのこわいところ。同日、さらにメッツはダイヤモンドバックスのショーン・グリーン外野手の獲得も発表した。左打ちのグリーンは通算314本塁打を記録し、今シーズンも打率2割8分3厘、11本塁打、51打点という成績。強打者が加わることで攻撃力がさらに高まることは確実だ。
そして行われたのがカージナルスを迎えて本拠シェイ・スタジアムでの一戦。5回裏までに1-7とリードを許したが、まずカルロス・デルガド一塁手が満塁本塁打で反撃ののろしをあげると、9回裏6-7、1死走者一塁の場面で3番のカルロス・ベルトラン中堅手が初球を右翼スタンドに運ぶ逆転サヨナラ本塁打を放ったのだ。
良いことずくめの1日は劇的なエンディングを迎えることとなったのである。ベルトランは「気持ちいいよ。あれほどの打撃を披露できたんだからね」と勝利を自らのバットでもぎ取ったことを喜び、ウィリー・ランドルフ監督も「今日起こったことはすべてハッピーなことだったし、チームにとっていいことだった」とこの日のことを振り返った。
もちろん地元メディアも「アメージン・デー(素晴らしい1日)」などと、この日がいかに特別だったか伝えている。
これで5連勝となったメッツと2位フィリーズとのゲーム差は13.5。勝率6割1分3厘はナ・リーグで唯一6割を超え、堂々のトップだ。当然ワールドシリーズの最有力候補なのだが、全米のファンにメッツがワールドシリーズに行けるかをアンケートすると「いける」と答えた人は半数以下だったとか。意外と”アメージング・メッツ”の実力を信じている人は少ないようだ。しかし、22日のような展開を見ていると、メッツのアメージングぶりは本物のような気がしてならないのである。
August 24, 2006 12:47 PM
2006年08月17日
祝賀ムード一色ではない新スタジアム
16日午前10時、ヤンキー・スタジアムの北側に位置するマコームス・ダム公園で、新ヤンキー・スタジアムの着工式が開催された。
式典はマイケル・ブルームバーグ市長やジョージ・パタキ州知事をはじめ、数多くのVIPが参加する華やかなものになったようだ。しかし地元ニュース専門チャンネルなどは、決して祝賀ムード一色ではないと伝えている。
2009年完成予定の新スタジアム建設計画が発表された後、周辺住民や公園利用者から反対の声が上がっていたためだ。建設中公園が閉鎖され、さらに建設後は現行のスタジアム跡地に代替施設が提供されることになっているものの、これが現在より狭く、不便になるというのである。このため反対グループは建設の一時差し止めを州最高裁判所に申請するまでになっていたのだ。
15日に判事がこの申請を却下したため、無事着工となったが、式典中も周囲では反対派が抗議行動を行っていたという。
地元紙も16日付け紙面でこの着工について紹介している。ニューヨーク・ポスト紙によれば、15日、ジョージ・スタインブレナー・オーナーは新スタジアム建設で、“ベーブ・ルースが建てた家”と呼ばれた現行のスタジアムが無くなることについて「確かに、ちょっと寂しいな」と答えたとか。しかし新スタジアムに関しては「もう一方の考え(新スタジアム)はもっといいと思う。ファンにとってもとてもいい」と新スタジアムをPRすることも忘れなかったらしい。さすがオーナーといったところだろうか。
また16日がルースの58回目の命日あたることも紹介されていた。
さらに同紙のジョージ・キング記者は、ヤンキースの守護神、マリアノ・リベラ投手が「新スタジアムでとても投げたいんだ」と話したことを取り上げてもいる。「その後引退できれば」と続けたそうだが、この希望を実現するには新しい契約が必要になることも指摘していた。
ちなみに地元テレビ局の式典レポートで面白かったのは、「新スタジアムはどこにできるの?」という質問が最近多いと言っていたこと。新スタジアム予定地は前述のように現スタジアムの北側、161丁目の道路を挟んだところにある。今後は工事が本格化するからわかりやすくなるだろう。もし生観戦などでヤンキー・スタジアムを訪れる機会があるなら、ついでに見ておくといいかもしれない。
August 17, 2006 01:29 PM
2006年08月10日
ピアザはメッツを代表するスターだった
フリー・エージェントでの移籍が普通になり、シーズン中に主力級選手をトレードすることが常態化して久しいが、これらが原因になって地元の顔、地元に根付いたスター選手がだんだん少なくなっているように感じているのは筆者だけではないはずだ。
しかし他の地域へ去っていっても、依然慕われ続ける選手も中にはいる。そんな選手はスター性という希なタレントを持っているのだ、と実感させれる出来事がニューヨークで起こった。
8日、開催されたパドレス対メッツ戦で昨季まで8年間メッツに在籍していたマイク・ピアザ捕手が、パドレス移籍後初めて“古巣”のシェイ・スタジアムに登場したのである。
スタジアムには「ありがとう、マイク」「NYはピアザを愛している」といったプラカードを持ったファンが多数詰めかけた。圧巻だったのは2回にピアザがこの日最初の打席に入った時。スタンドは総立ち状態になり、大声援でピアザを迎えたのだ。これに対し、ピアザはヘルメットをとって応えたが、あまりの歓声の大きさに3度も打席を外さなければならないほどだった。
普段は相手チームの選手に厳しい地元メディアもこの試合は別だったようで、試合日の8日付の紙面で“ピアザの帰還”を大きく報じた新聞が多かった。さらに翌9日付では「シェイ、ありがとう」という見出しとヘルメットを掲げるピアザの写真を裏1面に持ってきたニューヨーク・ポストのように、ほとんどの地元メディアがスポーツのトップ・ニュースとして扱ったのである。
ただメディアがここまでピアザに好意的になれたのは、3-2でメッツが試合に勝ったことも大きかったかもしれない。
またピアザを“将来の殿堂入り選手”と称したメディアも多かったが、先のオフシーズン、メッツがピアザと再契約しないことを決めた時、メディアもファンも異議の声を上げなかったのも事実である。ヤンキース入りが取りざたされたときも、それを後押しするような雰囲気はなかった。
結局ニューヨークを去ったからこそ、懐かしさをもって迎えられたのかもしれない、と考えると少し苦い思いもする。とはいえ、今こうして暖かく迎えられるのは、ピアザはやはりメッツを代表するスター選手だったと皆の心に刻まれているということなのだ。
August 10, 2006 10:02 AM
2006年08月03日
ヤ軍アブレイユ、まずまずのデビュー
先週新戦力補強動向を紹介したヤンキースだが、結局7月31日のトレード期限を目前にした30日に大きな動きを見せた。
フィリーズからボビー・アブレイユ外野手とコリー・ライドル投手を獲得したのである。
トレード時点のアブレイユの今季成績は、99試合の出場で打率2割7分7厘、8本塁打、65打点。MLB通算で打率3割1厘、198本塁打、841打点。守備にも定評がある。
ライドルは21試合の先発で8勝7敗、防御率4・74で、先発ローテーション入りする見込みだ。
ヤンキースはマイナーの若手選手4人を見返りとして放出したが、松井秀喜、ゲーリー・シェフィールドの負傷欠場による穴埋めと、先発陣の補強という2つの課題を一挙に解決した格好である。
そのアブレイユだが、早速1日のブルージェイズ戦で5番・右翼として先発。3打数無安打に終わったが、4回には無死二、三塁から四球を選び、その後バーニー・ウィリアムズが放った二塁打でホームを踏んでいる。地元ファンから大きな声援を浴び、まずまずのピンストライプ・デビューとなったようだ。
地元紙ニューヨーク・ポストは翌2日の裏1面を得点場面の写真と「アブレユ・ニュー・ワールド」という見出しで飾っている。さらにこの1戦での勝利でヤンキースは、45日ぶりにア・リーグ東地区首位に返り咲いた。この先が楽しみである。
ただこの補強により、松井、シェフィールドが復帰したとき、どのようなラインアップが組まれるのかという問題も。シェフィールドが右翼に入り、アブレイユが一塁に回る見込みが高いが、ジョー・トーレ監督は豪華すぎる布陣に悩むことになりそうである。
一方長く議論された末に動いたヤンキースとは逆に、緊急に補強を余儀なくされたのがメッツ。30日夜にセットアッパーのデュアネル・サンチェス投手がタクシーに乗っていて交通事故に遭い、右肩を負傷。今季絶望となってしまった。
このため期限ギリギリの31日にパイレーツからロベルト・ヘルナンデスとオリバー・ペレスの両投手を獲得している。見返りとして放出されたのはハビエル・ネイディ外野手だった。
ヘルナンデスは41歳だが、昨季メッツで好成績をあげ、今季も46試合の登板で0勝3敗2セーブ、防御率2・93と安定しているリリーフ右腕。彼なら穴埋めは可能だろう。
現在ナ・リーグ東地区で2位13ゲーム差をつけ、独走中であり、ワールドシリーズに最も近いと言われているだけに、このアクシデントを乗り越えてもらいたいものだ。
August 3, 2006 01:28 PM
