渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2006年07月27日

即戦力欲しいヤ軍、果たして補強は…

 プレーオフ出場に向けシーズン後半戦に突入しているが、ヤンキースはライバル・レッドソックスに依然追いつけないでいる。

 これにいら立つ地元メディアはアレックス・ロドリゲスの不調について論じたりしてきたが、今月末のトレード期限を前に再び慌ただしくなっているのが主力級選手獲得報道だ。

 24日のニューヨーク・ポストはヤンキースがフィリーズにボビー・アブレイユ外野手獲得を打診したものの、交換条件が合わずすぐ拒否されたと報じた。アブレイユは走攻守3拍子揃った選手で、現在複数のチームが獲得に向け動いていると言われている。松井秀喜とゲリー・シェフィールドの欠場が続くヤンキースにとって外野手補強は長く論議されてきただけに最後にもう一度チャレンジしてみた、というところだろうか。

 対して26日付のデイリーニューズは、現在ヤンキースが獲得について強い関心を寄せているのは外野手ではなく、投手だという記事を掲載した。

 その理由について、同記事は現在メルキー・カブレラがそれなりの打撃成績をあげており、自信を持ってプレーしていることと、松井とシェフィールドの復帰が見えてきたことをあげている。

 さらに、情報筋の話としてヤンキースがダイヤモンドバックスのミゲル・バティスタやオリオールズのロドリゴ・ロペスを含む中堅クラスの投手についてそれぞれの所属チームと交渉した、と具体的な動きを紹介。

 だが、ヤンキース側が傘下のマイナーチームに所属するフィル・ヒューズやホセ・タバタといった若手有望株の選手を手放すことを拒否したため、条件が合わなかったと伝えている。

 前述のニューヨーク・ポストの記事でも、投手補強の必要性が指摘されており、そこではカブスのグレグ・マドクスやジャイアンツのジェーソン・シュミットら大物投手の名前があがっていた。

 タンパで復帰に向けた練習を開始した松井のニュースを見ていると、確かに今は投手陣の補強に集中した方がいいようにも思える。と、同時にアブレイユの話も、先の中堅投手の話も相手が欲しがった若手の放出をヤンキース側が拒否した、という点が気になるところ。即戦力を欲しいヤンキースと将来の戦力が欲しい他チームという立場の違いが鮮明になっていた。チームの将来像も含めて、このあたりの判断をブライアン・ キャッシュマンGMたち首脳陣がどう判断していくかがカギになりそうだ。

 期限まであと数日。果たして補強は実現するだろうか。

July 27, 2006 09:56 AM

2006年07月20日

現実味増してきた松井の復帰

 ここのところニューヨークは毎日どこかで雷雨が来ることもあって蒸し暑い日が続いている。MLBの選手たちにとってもスタミナを削られる環境でのプレーを強いられているが、そんな天候の影響をモロに受けたのが17日から19日まで行われたマリナーズ対ヤンキース3連戦だった。

 17日の第1戦はナイターにもかかわらず、気温34度という暑さの中の一戦となり、ヤンキースが4-2で勝利している。

 18日の第2戦も前日と同じ気温34度で試合は開始されたが、この試合は非常につらい展開になってしまった。9回裏に入った時、4-2でマリナーズがリード。4連勝中のヤンキースは望みを捨てず、代打アーロン・ギールの右前打で1点を返した。ここで少し前から降り始めた雨が本格的なものなった。さらに微妙な判定がある中、ジョニー・デーモン外野手はマリナーズの守護神J.J.プッツ投手の握りが甘くなったところを逃さず、犠牲フライで同点に追いついたのである。

 さらに2死で代打アレックス・ロドリゲスの打席中に激しい雷雨となり、試合は1時間58分にも渡り中断してしまった。再開後延長に突入し、結局日付が変わった0時38分、“松井秀喜の代役”ミルキー・カブレラ外野手が劇的なサヨナラ本塁打を放ってやっと決着がついたのだった。

 さらに19日の第3戦はなんと午後1時からのデーゲーム。気温は昨夜より若干マシの気温28度とはいえ、日差しは強く厳しい環境での試合に変わりはかわりはなかった。最終的にイチローの活躍もあってマリナーズが4連敗を止め、3-2で勝利したのだが、試合時間は3時間を超えた。

 選手達もホトホト疲れた3連戦だったに違いない。暑さはこれからも続きそうで、スタミナがチームの調子を決めるより重要なファクターになりそうだ。

 さてそんな中、注目すべき記事が19日付のデイリーニューズに掲載されていた。それは松井のリハビリ状況を伝えたもの。ロジャー・ルービン記者による同記事は、松井がいつもクラブハウスでリハビリに励んでおり、さらに20日に担当医師が打撃練習を再開していいかどうかの診断をすることを紹介している。これまで負傷後の経過について伝えることが余り多くなかっただけに、地元メディアもいよいよ復帰が近いと注目し始めたのであろう。

 実際、同記事も松井とシェフィールドの戦線離脱による穴埋め補強候補がいろいろ上げられたが、結局一番多く出た名前は松井だった、としている。

 さらに負傷で連続出場が途切れながらも、松井が荒れることなく復帰に向けリハビリを続けきたことを強調したが、これはやはり松井ならでは、といったところか。

 現実味が増してきた松井の復帰。できればその日は穏やかないい天気であって欲しいものだ。

July 20, 2006 11:39 AM

2006年07月13日

球宴ナ逆転負けでメッツに余波?

 11日、MLBの真夏の祭典、オールスターゲームが開催された。試合は1点を争う好ゲームとなったが、9回表2死からレンジャーズのマイケル・ヤング遊撃手が逆転の2点タイムリー三塁打を放ち、ア・リーグが球宴9連勝を飾った。

 翌12日のニューヨーク地元紙は9回を無失点に抑えて球宴通算3セーブ目を記録したマリアノ・リベラ投手(ヤンキース)をはじめ、出場地元選手の様子を詳しく伝えている。

 そんな中おもしろかったのが、デイリーニューズとニューヨークポストが掲載した見出し。「アメリカン・リーグの逆襲でメッツのホーム・フィールドへの望みを台無しに」、「トレバーの失敗で、メッツのビッグ・ナイトが台無しに」というものだ。トレバーとはナ・リーグで9回に登板し、逆転を許したパドレスのトレバー・ホフマン投手のこと。そして“ホーム・フィールド”とは、ワールドシリーズの本拠地開催権のことだ。現在、本拠地開催権はオールスターゲームに勝ったリーグのチャンピオンが得るようになっていることを指している。ビッグ・ナイトもここでは同じ意味で使われている。

 両紙ともナ・リーグが負けたのでメッツが開催権を得られないことになった、と嘆いているのだ。

 つまりニューヨークのメディアはもうメッツがリーグ・チャンピオンになる、と意気込んでいるのである。今シーズンのメッツは快進撃を続けており、東地区では2位フィリーズに12ゲーム差をつけて独走中だ。53勝36敗、勝率5割9分6厘は、ナ・リーグでは唯一50勝以上、5割6分以上で折り返したチームではある。優位な立場にあるのは確かだ。
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 さらにニューヨークポストは「メッツがシリーズに勝つのに賭けろ」という記事を掲載している。それによると、現在ラスベガスでのワールドシリーズ優勝チームを当てる賭けのオッズでは、メッツが一番低い倍率(4倍)になっているのだとか。続く6倍で追っているのがレッドソックス、ホワイトソックス、ヤンキース、カージナルスとのこと。厳しく判定するオッズ設定者からもそれだけ高評価を受けているということだから、地元が強気になるのも分からないでもない。

 とはいえ、シーズンはまだ折り返したばかり。この先どんな展開が待っているかはまったく分からない。これほどの期待を受けているメッツには決して気を緩めることなく、13日からの後半戦に突入してもらいたいものである。

July 13, 2006 10:33 AM

2006年07月06日

楽しみな「サトウ・ジャパニーズ祭り」

 全米各地でパレードや花火大会が行われた独立記念日から一夜明けた5日、スタッテンアイランド・ヤンキースが「松井秀喜のインターナショナル・フレンドシップ・プログラム2006」の実施を発表した。

 スタッテンアイランド・ヤンキースはニューヨーク・ヤンキース傘下のマイナー・チームで1Aショートシーズンに所属する。その名が示すとおり、マンハッタンのすぐ南に位置するスタッテンアイランドに本拠を置く。現在本家ヤンキースで活躍するロビンソン・カノ二塁手や王建民投手、そして松井の“代役”メルキー・カブレラなどはこのチームの出身だ。

 同チームは日本との文化交流や邦人ファン獲得に熱心なことでも知られ、今回のプログラムもその一環。松井が全面的にバックアップし、子供たちの国際感覚を育むことを目標に、昨年は金沢リトルリーグをニューヨークに招待したが、今年は8月にスタッテンアイランドの選抜リトルリーグチームを日本の金沢に招待するのだとか。

 日本人MLB選手が定着し、WBCで優勝したといっても、アメリカ人がベースボールを通して日本に関心を寄せることはほとんどない。それだけにこうした地元に密着したプログラムは重要だ。

 そして同チームはこの他にも我々ニューヨークに住む邦人にとって楽しみなイベントを9日に開催する。MLBやマイナー・リーグでは試合にさまざまなイベントを合体させる“プロモーション・ゲーム”が盛んに行われているが、この日その1つとして「サトウ・ジャパニーズ祭り」が行われるのだ。

 当日は観客に扇子や団扇が配られるほか、日本食などの販売、WBC日本チーム優勝記念セレモニーなどが予定されている。さらに選手たちはこの日のみ日本語入りユニホームを着用してプレーするというから、かなりユニークな風景が見られそうだ。

 昨年開催された同イベントでは松井も来場し、スタジアムのコンコースではヨーヨー釣りが行われたり、提灯が飾られるなど、日本の夏祭りの様相を呈して楽しめた。

 マンハッタンの日本人コミュニティでは今、昨年多くの参加者を集めた“夏祭り”の開催が危ぶまれる事態になっている。日本の夏を思い出させてくれるイベントが少なくなっているだけに、このイベントの開催を心待ちにしている日本人、日系人は多そうだ。

 こうした邦人社会がニューヨークの地元社会とより強く結びつくとともに、その存在を示していくためにも、同チームのベースボール通じてのユニークな試みが長く続いてくれることを願うばかりだ。

July 6, 2006 06:51 AM