2006年04月27日
過熱するボンズ報道
メッツが24日からサンフランシスコでジャイアンツとの3連戦を行っている。26日の第2戦を終わった時点で1勝1敗のタイだが、ニューヨークの地元メディアを見てやはり、と思わざるを得なかった。
デイリーニューズが25日付けの記事で「メッツ、バリーを歩かせて打たれる」という見出しで前日の敗戦を伝え、翌26日付けの記事では「メッツ、バリーを返り討ち」と勝利を伝えているようにバリー・ボンズ絡みの表現が並んだためだ。まるでメッツはバリー・ボンズ1人と対戦しているようですらある。こんなことになったのはもちろん筋肉増強剤使用疑惑が原因だ。
ちなみに第1戦の報道の場合はボンズを2度歩かせた後、2度とも後を打つモイゼス・アルーが本塁打と安打で得点をたたき出した点が焦点となった。
第2戦では2回にボンズが本塁打を放ったが、メッツはハビエル・ネイディとクリフ・フロイドの2人が本塁打を打ち勝利をもぎ取ったことが“返り討ち”と表現されたのである。見出しどおりにボンズが勝負の行方に関わっているか疑問もあるが、致し方ないかなと感じるのも事実だ。特に25日の本塁打は通算710号だったこともあり、与える印象の強い一発だったということができる。
さて、それでは疑惑問題の行方はどうなっているかというと、26日付けの全国紙USAトゥデーはリーグによる調査が新たな段階に入ったとしている。調査はバド・セリグMLBコミッショナーによってリーダーに指名された元上院院内総務のジョージ・ミッチェルの下で進められるが、いよいよ関係者への聞き取りが開始されたのだという。これはミッチェル自身が25日に、「法律家と調査員によるチームは現在聞き取りを指揮する段階にある」と明かしたもの。その際、今回の疑惑解明の難しさはミッチェルがかつて直面した北アイルランドや中東の和平問題と同様では、という質問も出たが、ミッチェルは同調しつつも「どれもすべて重要だ。しかし、和平問題では人々が死ぬのだ」と答えたとのこと。
またミッチェルがレッドソックスのディレクターで、ボンズが出演する番組を放送するESPNを傘下に持つウォルト・ディズニーの会長であることから、公平な調査が行われないのでは、と批判を浴びているがそれについては「何かすれば批判されるものだし、何もしなくても批判されるもの」とかわしたとしている。
ベーブ・ルースの記録が目前に迫っているだけに、メディアと世間の関心がさらにヒートアップしていくのは必至だ。調査の進展と試合の進行、両方が絡まるなか、果たしてどんなゴールが待ち受けているだろうか。
April 27, 2006 08:42 AM
2006年04月20日
マルティネス通算200勝達成
開幕前に故障者リスト入りしてしまい、いまだ復帰できていない松井稼頭央とは裏腹に、メッツは順調なスタートを切っている。18日のブレーブス戦は落としたものの、17日にはMLB両リーグで10勝一番乗りを果たした。18日終了時点で2位のブレーブスに4ゲーム差を付け、ナリーグ東地区首位を走っている。
その10勝目をあげたのはエース、ペドロ・マルティネスだった。この試合マルティネスは6回2/3を3失点の好投で、今季無傷の3連勝をマークしただけでなく、自身の通算200勝を達成したのである。
もちろんこのMLB103人目の快挙を地元メディアは、マウンドを降りるとき手を上げてファンからの歓声に応えたマルティネスの写真を裏1面で掲載するなどして、大きく伝えた。
試合後開かれた200勝を祝福する記者会見で、マルティネスは「野球人生の中で最高の出来事」と語り、「体格的に恵まれていなかったことや様々な不安要素があったが、ベースボールを始めて、やっとここに到達することができた」と1993年のMLB初勝利からの15年を振り返っている。
相手打者に対しデッドボールも辞さない挑戦的な投球をするかと思えば、以前レッドソックスに在籍していたときプレーオフで宿敵ヤンキースに負けて「ヤンキースは我が父親」と発言し、地元ファンの不興を買ったりしたこともあるマルティネス。しかしMLB最強右腕の1人であることは疑いようもない。200の勝利数に対し、負け試合が84で、勝率の高さがそのことを証明している。
また、同じ記者会見で「本当に大事なのはこの試合でブレーブスに勝ったということではなく、プレーを続け、今のような成功を手にし、より強い信頼を築くことだと思う」と今季のチーム全体の好調ぶりを喜び、より重要なのはシーズンの行方であることも強調したのだとか。
確かに今のマルティネスにとってなによりも欲しいのはワールドシリーズ・チャンピオンのリングだろうし、今季にはそのチャンスがあると感じているに違いない。スポーツ成績調査分析会社によると、メッツは17日に2位に5ゲーム差をつけたが、これはMLB史上最短記録だったという。
マルティネスが望むとおり、この勢いを失うことなくメッツがシーズンを乗り切ることができることにニューヨークでは期待が集まりはじめている。もちろんそれには松井の存在が不可欠だと信じている。
April 20, 2006 10:33 AM
2006年04月13日
“エベッツ・フィールド”が戻ってくる
6日、メッツが建設を予定している新本拠地球場のデザイン・プランなどを発表した。そのニュースを見て思わずにっこりしたニューヨーカーも多かっただろうと思う。“メッツ・ボールパーク”という仮称の新スタジアムの外観が伝説的なエベッツ・フィールドを模したものだったからだ。
エベッツ・フィールドはかつてマンハッタン島からイーストリバーを挟んだ東側にあるブルックリンに存在したスタジアムで、ドジャースが本拠地にしていた。ブルックリンはニューヨークの下町と知られ、ドジャースは庶民的な人気を持ったチームだったのである。
それゆえ1958年にドジャースがロサンゼルスに移転した際にはニューヨークは大きな悲しみに包まれたことで知られる。今も当時のユニフォームや帽子が売られており、ニューヨーカーの間では根強い人気を誇るのだ。同じブルックリンに設立されたマイナーリーグ1Aのブルックリン・サイクロンズの集客数が他より多いのは、いまだに残るドジャース・ファン層が「我が街のチームが復活」と支持したおかげなのである。そんな“エベッツ・フィールド”が戻ってくると聞けば、地元ファンが心踊らせるのも当然かもしれない。
今回このデザインになった背景にはメッツのフレッド・ウィルポンの意向があったと伝えられている。ウィルポン自身が8、9歳の頃父にエベッツ・フィールドへと連れて行ってもらい、そのときの興奮が忘れられなかったのだとか。ノスタルジックな外観のスタジアムはここ10年以上のブームだが、そんな背景を聞くと単なる流行ではないということがわかってうれしくなる。
また、純粋にベースボール・ファンとしても新スタジアムは待ち遠しいに違いない。現在のシェイ・スタジアムは1964年にオープンし、当時流行の最先端だった可動式観客席によるフットボール兼用スタジアムである。それゆえベースボール・スタジアムとしてはフィールドが見にくかったり中途半端な部分も多かったためだ。
今回の新スタジアムはベースボール専用で、客席が全てホーム・ベース方向を向いているほか、スタンドとフィールドが近いといった観客にとっての基本部分がしっかりしているものになる予定である。
また、コンコースが広がり、物販飲食施設が充実するのでチームのビジネス面でも収入増が期待できそうだ。
気になるオープンは2009年の予定。新しいヤンキー・スタジアムも同じ年のオープン予定である。新たな“伝説的スタジアム”が2つ登場する3年後は華やかになりそうで、今から待ち遠しいものだ。と言いつつ、やはりまず気になるのは今シーズンの行方だったりするのだが。
April 13, 2006 10:22 AM
2006年04月06日
“グランド・トゥ・ブランド”
MLB開幕から3日。すでにヤンキースは2戦を消化した。それに対する地元紙の報道ぶりに、またシーズンが始まったんだなぁ、と改めて感じている。
敵地オークランドで行われたアスレチックスとの開幕戦は15-2でヤンキースが圧勝した。もちろんこの幸先のいい初勝利は4日付各紙で1面の扱いとなった。
ニューヨーク・ポストは“グランド!”という大見出しを打った。
このグランドとは“グランド・スラム”(満塁本塁打)のことで、2回表に満塁本塁打を放ったアレックス・ロドリゲスがメインで扱われているのである。これはライバル紙であるデイリーニューズなども同じだった。確かにこの一発が試合を決めたともいえ、当然の扱いともいえるが、4打数4安打1本塁打の松井秀喜などもいただけにちょっと印象的だった。いずれにせよまさに華々しいスタートといった感じの報道ぶりだったのである。
しかし、この日行われた第2戦は接戦の末9回裏、左翼松井の頭上を越える安打によって3-4のサヨナラ負けを喫したのだ。
それに対する5日付けの報道はというと、ニューヨーク・ポストは裏1面で“グランド・トゥ・ブランド”という大見出しを付けた。ブランドは退屈とかおっとりとかいう意味で、グランドから退屈へ、といった感じだろうか。さらに「燃えていたバットが眠りに落ち、ヤンキース9回に負ける」という中見出しもついている。
前日の猛攻による大勝から一転貧攻に、といったところだろうが、それでも3点とっているし、という感じがしないでもない。
また、見出しに“グランド”が使われているように、この日もメーンになったのはA・ロッドである。デイリーニューズも同じように凡退したA・ロッドの写真を裏1面で使っていた。良くても悪くても矢面に立たされるのはA・ロッドなのだ。そのフォーカスのされ方はちょっと気の毒な気もするほどだが、昨年本塁打王とア・リーグMVPに輝きながらメンタル面での弱さをしばしば指摘され、さらに年俸の高さもあって皆が彼に注目し続けることは致し方ないのかもしれない。
いずれにせよ、たった2戦でこの一喜一憂ぶりと、さらに持ち上げたと思ったら落とすさまは、いかにも地元メディアならでは。そんな様子を見ると、ニューヨークにベースボールが戻ってきた、と感じてしまうというわけである。
April 6, 2006 10:29 AM
