渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2005年10月13日

失意のNY…松井も批判の対象

 今、筆者の手元に1つのTシャツがある。プレーオフが始まったときに売り出されたもので、胸のところに英語で「ウィン・オア・ゴー・ホーム」と大きく書かれ、その下にヤンキースとレッドソックス、今年のワールドシリーズのロゴが並んだデザインのものだ。

 「勝つか、家に帰るか」とは、プレーオフのさまをよく表したもので、その戦いに挑む東部のライバル2チームにはぴったりだな、と日本の友人のために購入したのだった。

 そして今、ニューヨークは落胆に沈んでいる。エンゼルスとのア・リーグ地区シリーズで第5戦までもつれ込んだ末、3-5で負け、敗退してしまったのだから仕方ない。

 11日の地元紙はいずれもその報道に多くの紙面が使われることとなった。ニューヨークポストやデイリーニューズといったタブロイド紙はどれも1面、裏1面の両方を使っており、失望感の大きさを示している。

 それら両1面で一番に使われた写真は外野手のブバ・クロスビーとゲイリー・シェフィールドが3回、飛球を追って衝突した場面のもの。試合を決めることとなったこのプレーが、ちぐはぐなことが多かった今季のヤンキースを象徴する場面と写ったようだ。

 さらに各紙に共通で次にきていたのはがっくりとしたアレックス・ロドリゲスの写真だった。プレーと高給の両方でMLBを代表するA・ロッドはこの第5戦で4打数無安打など、いいところがなかった。ニューヨーカーにはこれが許せないらしく、デイリーニューズなど「A・ドッグ」と犬呼ばわりし、すっかり戦犯扱いだ。

 さらにニューヨークタイムズなどで、年俸に総額2億800万ドルも使いながらワールドシリーズに届かなかったことに対する批判記事が目立ったのも印象的だった。まさに不満渦巻く、といった状態である。 もちろん、こうした失策探しの対象に松井秀喜も含まれている。松井はこの試合で塁上に計8人の走者を置いて5打席立ち、無安打無打点だった。しかも一塁ゴロに終わった試合最後の打者も松井である。

 ニューヨークポストはベンチに戻って苦虫をかみ潰す松井の写真を掲載し、A・ロッドとともにチャンスを生かすことができなかったことを伝えている。

 また同時に各紙は早くもオフシーズンのチーム改革に言及し始めた。バーニー・ウィリアムスやシェフィールド、ジェイソン・ジアンビなどがトレードなどでヤンキースを離れる可能性を指摘されている。また移籍の可能性は低いが松井もフリーエージェントとなる。プレーオフが不甲斐なかった分ヤンキースの話題は冷えることなしに、ホットなストーブリーグへと突入しそうだ。

 ということで、描かれた両チームが“お家に帰らされた”今、くだんのTシャツをどう言って友人に渡そうか、悩んでいるところである。

【ジャーナリスト 渡辺 史敏】

October 13, 2005 07:00 AM

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