2005年08月11日
稼頭央復帰に対するNYの感情
9日、サンディエゴでのパドレス戦でメッツ松井稼頭央内野手が、54日ぶりにメジャー復帰を果たした。代打での遊撃内野安打は華々しくはないものの、俊足の松井らしいプレーだった。また、出塁からホームインするきっかけとなる適時打を放ったのが、二塁手の座を争うカイロというのも、印象深かった。
この復帰を地元メディアがどう伝えたかといえば、ご想像通り、諸手を挙げての歓待からはほど遠かった。
まず、この日の復帰について地元紙デイリーニューズは「松井は依然、第2バイオリン」という見出しの記事で紹介した。内容は、西武時代の活躍、連続出場から負傷までの経緯を紹介するとともに、ウィリー・ランドルフ監督の勝利を優先させるとのコメントを掲載し、復帰しても松井がカイロに次ぐ2番手になるというもの。だが、元チームメートで現ロイヤルズのジョー・マクユーイングの言葉を使って、プレッシャーの多いニューヨークでプレーすることの難しさ、さらに今回の問題は負傷が原因ということを強調しており、まだ好意的だった。
これが同じ地元紙ニュースデーになると、もっと辛らつだ。見出しは「カズが復帰(あくび)」で、一昨年にマンハッタンで行われた入団会見で「アイラブ・ニューヨーク」と言った松井の言葉から、「20カ月後、そんな感じはお互いにない」とまで表現。さらに「試合がロードだから、メッツファンは松井にブーイングできない」などとこき下ろしている。加えて3年間で2010万ドルの契約は失敗だったともしている。
同紙は復帰試合後の10日付紙面でも、松井は回復し、メジャーに呼び戻されたものの、先発メンバー入りする機会は当分なさそうであることを強調した「カズ、消え始める」という見出しの記事を掲載した。
確かに、ランドルフ監督が「カズを起用する緊急性はない。彼には(起用されるだけの)資格はあるが、我々がすぐそうする必要はない」と話すのは、現在の選手状況からすれば仕方ないといえる。だが、同紙には、期待が大きすぎたことが引き金になった厳しすぎる感情があるようだ。
ちなみに10日付ニューヨーク・ポストは、松井の復帰を試合レポートの中で「カズオ・マツイは負傷者リストから復帰した最初の試合で、内野安打を放った」と伝えただけだった。これはこれでかなり寂しい感じがした。
念願の復帰を果たしても、メディア、そしてファンから厳しい目を向けられている松井。「与えられた機会を活用し、そこで実行するだけ」という彼の言葉通り、事態を打破するには“実行”しかない。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
August 11, 2005 07:00 AM
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