2005年08月25日
ワイルドカード・レース
23日のブルージェイズ戦でヤンキースは9回裏の松井秀喜による同点本塁打と、フェリクス・エスカローナ1塁手のサヨナラヒットで、見事勝利をもぎ取ることに成功した。
だが、首位を走るレッドソックスとのゲーム差は依然3.5あり、なかなか首位奪還が見えてこない。ここ10試合の戦績を比べてもヤンキースが7勝3敗に対し、レッドソックスは6勝4敗とほぼ互角で、差を詰めきれない状況が続いている。
8月もあと1週間となり、ニューヨークのメディアやファンが目をやるようになっているのが、地区優勝ではなく、ワイルドカードによるプレーオフ出場だ。各リーグで地区優勝を逃したチームの中から最も勝率が高いチームに出場権が与えられる制度である。
ア・リーグの場合、ヤンキースが69勝55敗でワイルドカード・レースのトップに立っている。これと並ぶのが中地区のインディアンスで、70勝56敗で勝率5割5分6厘はヤンキースと同じだ。3位は西地区のアスレチックスで、そのゲーム差はわずかに1。さらに中地区のツインズも2.5ゲーム差に位置しており、4チームが熾烈な争いを展開しているのである。
このうちアスレチックスは西地区首位のエンジェルスとのゲーム差が3.5で、ヤンキースと同様首位も狙える位置にある。
対して、中地区はホワイトソックスがインディアンスとの差を7ゲームつけて独走しているという状況だ。
地区優勝とワイルドカードの両方を睨みつつ戦うとの、ワイルドカードのみを狙っていくののどちらが有利ということはないだろう。同じ地区に独走するチームがいることは不利といえそうのだが、ホワイトソックスの場合ここ10試合は2勝8敗だったりするのだから、長いシーズンというのは本当に面白いものだ。
ヤンキースにとってはとにかく1戦1戦を大事に戦うしかないが、9月10月の2回のレッドソックス3連戦だけでなく、9月2日からのアスレチックス3連戦も重要性が増すことになりそうである。
一方のナ・リーグだが、メッツは現在東地区で首位ブレーブスから5.5ゲーム差でナショナルズと並んで最下位に沈んでいる。が、ワイルドカード・レースに関してはトップのフィリーズから2ゲーム差に位置しており、可能性を残している。
言い換えれば東地区のチームすべてでワイルドカード・レースを演じているということだ。そこに中地区のアストロズが唯一入り込み、首位争いをやっている格好なのである。こちらも最後まで熱戦が続くことは必至だ。
順位表を毎日眺めることが楽しい日々が続きそうである。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
August 25, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)
2005年08月18日
ロイヤルズ連敗記録に全米が注目
8月も半ばを過ぎプレーオフ出場への熱い闘いはいよいよヒートアップしてきた。そんななか、逆の意味でにわかに注目されだしたチームがある。ア・リーグ中地区のロイヤルズだ。
16日のマリナーズ戦を終えた時点で17連敗を喫していたためである。
先月27日にホワイトソックスに6対5で勝利して延々と負け続け、15日から始まったマリナーズとの3連戦も最初の2試合をイチローの活躍もあって落としてしまった。
原因はなんといっても投手陣の崩壊が大きい。17連敗中失点が5点以上だった試合が実に14試合あり、10点以上取られたのも6日のアスレチックス戦の16失点を筆頭に6試合もある。これでは勝てないのも致し方ない。しかも14日のダブルヘッダーにおいて2試合連続で1点差負けするなど勝負弱さも目立っている。
もちろんロイヤルズが抱える問題はこの連敗にだけ出ているわけではなく、16日終了時点で今季の成績は38勝80敗勝率3割2分2厘。首位ホワイトソックスとのゲーム差は36.5で、ダントツの最下位である。
17連敗はア・リーグ史上10回めで、最多連敗記録は1988年オリオールズが記録した21。ナ・リーグでは17連敗は13回あり、最多は1899年クリーブランドの24試合だった。日本のプロ野球では今シーズン、イーグルスとファイターズが11連敗したそうだが、その比ではない。ちなみにプロ野球最多連敗は1998年マリーンズの18連敗である。
へたをすれば近々リーグ記録、MLB記録に到達か、と全米のメディアが注目し始めたというわけだ。CNNなど全米向けスポーツ・ニュースでもロイヤルズの連敗が伝えられるほど。その際、キャスターたちが少し笑みを浮かべるのが可笑しくも痛々しくもある。
16~18連敗の相手がマリナーズだったことは我々日本人にはちょっとラッキーだったかもしれない。ご存じのようにマリナーズも依然不調続きで地区最下位にとどまっており、この3連戦はありがたかったのではなかろうか。16日の試合後、イチローはコメントを求められ「それは難しい。(マリナーズも)さほど変わらない。僕らが何かを言う立場では全くない」と、あくまで真摯な姿勢を崩さなかったそうだが。
また、井口のいるホワイトソックスはロイヤルズに10勝2敗で、ありがたいお客さんとなっている。
17日のマリナーズ戦でもロイヤルズは11対5で負け、連敗記録は18に伸びてしまった。果たして新記録は達成されるのか、ロイヤルズの苦悩と全米の注目が高まっている。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
August 18, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)
2005年08月11日
稼頭央復帰に対するNYの感情
9日、サンディエゴでのパドレス戦でメッツ松井稼頭央内野手が、54日ぶりにメジャー復帰を果たした。代打での遊撃内野安打は華々しくはないものの、俊足の松井らしいプレーだった。また、出塁からホームインするきっかけとなる適時打を放ったのが、二塁手の座を争うカイロというのも、印象深かった。
この復帰を地元メディアがどう伝えたかといえば、ご想像通り、諸手を挙げての歓待からはほど遠かった。
まず、この日の復帰について地元紙デイリーニューズは「松井は依然、第2バイオリン」という見出しの記事で紹介した。内容は、西武時代の活躍、連続出場から負傷までの経緯を紹介するとともに、ウィリー・ランドルフ監督の勝利を優先させるとのコメントを掲載し、復帰しても松井がカイロに次ぐ2番手になるというもの。だが、元チームメートで現ロイヤルズのジョー・マクユーイングの言葉を使って、プレッシャーの多いニューヨークでプレーすることの難しさ、さらに今回の問題は負傷が原因ということを強調しており、まだ好意的だった。
これが同じ地元紙ニュースデーになると、もっと辛らつだ。見出しは「カズが復帰(あくび)」で、一昨年にマンハッタンで行われた入団会見で「アイラブ・ニューヨーク」と言った松井の言葉から、「20カ月後、そんな感じはお互いにない」とまで表現。さらに「試合がロードだから、メッツファンは松井にブーイングできない」などとこき下ろしている。加えて3年間で2010万ドルの契約は失敗だったともしている。
同紙は復帰試合後の10日付紙面でも、松井は回復し、メジャーに呼び戻されたものの、先発メンバー入りする機会は当分なさそうであることを強調した「カズ、消え始める」という見出しの記事を掲載した。
確かに、ランドルフ監督が「カズを起用する緊急性はない。彼には(起用されるだけの)資格はあるが、我々がすぐそうする必要はない」と話すのは、現在の選手状況からすれば仕方ないといえる。だが、同紙には、期待が大きすぎたことが引き金になった厳しすぎる感情があるようだ。
ちなみに10日付ニューヨーク・ポストは、松井の復帰を試合レポートの中で「カズオ・マツイは負傷者リストから復帰した最初の試合で、内野安打を放った」と伝えただけだった。これはこれでかなり寂しい感じがした。
念願の復帰を果たしても、メディア、そしてファンから厳しい目を向けられている松井。「与えられた機会を活用し、そこで実行するだけ」という彼の言葉通り、事態を打破するには“実行”しかない。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
August 11, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)
2005年08月04日
ヤンキース野茂、初登板は失敗?
ヤンキースは先月27日、以前からうわさされていた野茂英雄投手とマイナー契約を結んだ。この動きをいち早く報道したのは、地元紙の1つ、ニューヨーク・ポストだった。
前々回、野茂とヤンキースの契約の可能性についての地元メディアの反応を紹介したとき、同紙は野茂獲得の動きについて一切報じていなかった。そこからすっぱ抜くところが、やはり地元メディアの強みといったところであろうか。今回の契約は、同紙が27日付紙面で報じた後、チームから正式発表、という運びになった。
われわれ日本人としては、すぐメジャーに昇格し、ピンストライプのユニホームで松井秀喜とともにプレーする野茂を期待してしまうが、その後の地元メディアの報道とチームの動きを見ていると、そうすんなりとはいかないかもしれない。
既に報道されているように、野茂はヤンキース傘下の3A、コロンバス・クリッパーズで2度の調整登板を行うことになっている。その初登板は1日、バージニア州ノーフォークでのノーフォーク戦で先発投手として行われた。結果は3回途中、2失点で降板、被安打3、奪三振4、与四球4だった。
日本語では“調整”という言葉を使うことが多いが、この登板について地元メディアはメジャーで投げる力が野茂にあるかどうかを見極めるための“テスト”ととらえている。
そのため、2日付のデイリーニューズは「ノモ、メジャー昇格への最初のマイナーテストに失敗」という見出しで、1日の登板について伝えている。さらに同記事には「何の約束も保証も存在していない」と、野茂が先発ローテーションの一角を保証されているわけではないことを強調するヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMのコメントも添えてあった。地元メディアにとっては“失敗”という印象だったのである。
またヤンキースは2日にパドレスを解雇されたデニス・レイエス投手と契約したが、これを同紙は「野茂との契約に似た動き」と表現し、キャッシュマンGMの「われわれはもっと選択肢が欲しいだけ」というコメントを掲載した。
つまり、野茂がヤンキースの一員としてプレーするには、単にテストされているだけでなく、いくつかの“選択肢”の中から勝ち上がらなければならないのである。
野茂にとって試練の道が続く。しかし彼はこれまでもいくつもの困難を乗り越えてきた。見事、勝ち上がり、ヤンキースタジアムでその勇姿を見られる日は近い、と信じたい。次のテスト登板は5日の予定だ。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
August 4, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)
