渡辺史敏の「from New York(フロム・ニューヨーク)」

2005年07月21日

野茂解雇、NYでは完全無視?

 16日、野茂英雄がデビルレイズから戦力外通告を受けた。先月15日のブルワーズ戦で日米通算200勝を達成したものの、今季はこれまで5勝8敗、防御率7・24と成績は最悪に近い。さらにチームの財政難もあって、解雇に至ってしまったようだ。

 日本人大リーガーのパイオニアとして、さらにその真摯(し)なプレーに何度も感銘を受けてきた日本人の1人として、この解雇は何ともやりきれないものがある。

 そんな中、先発陣崩壊に苦しむヤンキースが野茂を獲得するのでは、とちょっと期待したくなる報道が出ているようだ。実際、これまでの実績などを考えれば、可能性は十分にあるように感じられる。

 では、ニューヨークの地元メディアはこれらの件について、どんなふうに報道しているだろうか。主要地元紙をチェックしてみた。

 まず、98年にはメッツに在籍していた野茂の戦力外通告についてだが、この件を単独記事として伝えたのはニューズデー(ウェブ版)のみ。しかもAP通信社の配信した記事をそのまま載せただけである。かつては全米から注目された野茂の動向が、ほとんど無視といった状況なのだ。あくまで現在の地元優先とはいえ、寂しさを感じずにはいられなかった。

 では、ヤンキース入りの可能性についてはどうだろうか。これについてはニューヨークタイムズとデイリーニューズが通告翌日の17日付記事で触れている。

 ニューヨークタイムズは、ヤンキースがその前日にマーリンズから獲得したアル・ライター投手について書いた記事の最後の部分。先発陣のコマが依然として足りない状況を指摘した上で「デビルレイズが土曜にベテランのヒデオ・ノモを戦力外通告した。しかしヤンキースは彼を追いかけそうにない」としている。

 デイリーニューズも似ており、やはり先発陣が定まっていない、という記事で「タンパベイのヒデオ・ノモが昨日戦力外通告を受けた。しかしヤンクスは先発のスポットを探すことになりそうだ」としている。

 つまり、両紙ともヤンキースはすぐには野茂獲得に乗り出さないだろうと見ているのだ。そしてニューヨークポストとニューズデーはこの件について一言も触れていないのである。また、17日以降、20日まで野茂の名が出た新聞はなかった。

 こうしてしてみると、野茂がピンストライプのユニホームを着る可能性は現時点では低い、というのが現実のようだ。

 ただトレード期限は7月31日であり、ドラスティックに状況が変化するMLBにおいては今後どんなふうにトレード市場が展開していくかも分からない。土壇場で大逆転、があっても不思議ではないのである。

 チームはどこであれ、MLBの大舞台で野茂の力強いピッチングを再び見られる日が1日も早く訪れることを祈りたい。

【ジャーナリスト 渡辺 史敏】

July 21, 2005 07:00 AM

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