2005年07月28日
松井が橋渡し、米国で日本祭り
以前紹介したヤンキース傘下で、マイナーリーグ1Aに所属するスタッテンアイランド(SI)ヤンキースが25日、「ミズノ・ジャパニーズ祭り」を開催した。
ヤンキースの松井秀喜外野手が特別ゲストとして来場し、始球式を行ったので、その報道を見た方も多いだろう。
会場となったSIヤンキースの本拠地、リッチモンドカウンティバンク・ボールパークは、ちょうちんで装飾され、コンコースでお面やヨーヨー、いなりずしや枝豆が売られるなど、まさに日本の“祭り”の雰囲気に包まれた。
フィールドでも太鼓のパフォーマンスやSIヤンキースの必勝を祈願する神道儀式なども行われ、こちらはアメリカ人ファンが興味深げに見ていたのが印象的だった。
さらに面白かったのが入場ゲートで配られた扇子とウエットティッシュ。気温が34度に達する暑さだったこともあって、人種を問わず両方とも重宝され、試合中のスタンドで数多くの扇子が揺れる日本的な風景が出現したのである。
松井はというと、試合開始前にロッカールームで自ら招待した金沢リトルリーグ、地元の子供たちと交流の場を持った後、フィールドに登場し、多くの声援を受けながら始球式を行った。
この日の入場者数は約5600人。今シーズンの平均が約4000人だから大成功だったといえるだろう。
また、この日集まった日本の報道陣は約100人。普段は地元メディア数人のみで、日本およびアメリカの日本人コミュニティーへのPR効果という点でも抜群だった。
このイベント開催の中心人物で同チームのグループセールス・マネジャー、白井孝明氏も、「月曜のゲームとしては破格の入場者数ですし、協力いただいたスポンサーなど関係者の方々にも喜んでいただけた」と成功を実感している様子だった。
実現までには「神道儀式の意味など、チーム内で理解してもらわなければならないことが多かった」と異文化交流ならではの苦労もあったようだ。それゆえに、現地の日本人にとっては懐かしく、アメリカ人にとっては日本の文化に触れる演出が成功したことの意義は大きい。
その上で、白井氏は「多かったとはいえ、満員にならなかったのは残念。もっと地元スタッテンアイランドのコミュニティーにアピールすべきだったかも」とチームマネジャーとしての課題把握も忘れてはいない。また、来年も日本を紹介するイベントを「ぜひ開催したい」と、意気込みを語っていた。
“祭り”は終わったが、エンターテインメントにあふれたSIヤンキースのシーズンは9月まで続く。
夏休み期間のオススメを白井氏に聞いたところ「8月26、27日には首位争いをしているメッツ傘下のブルックリン・サイクロンズとの“フェリー・シリーズ”があります。またお盆の時期の13日には花火大会が開かれ、16日にはべーブ・ルースのトーキング人形が配られる予定です」とのことだ。
松井が橋渡し役となった今回のイベントを期に、SIヤンキースが野球を通じた日米交流の人気スポットへと育ってくれることを期待したい。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
July 28, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)
2005年07月21日
野茂解雇、NYでは完全無視?
16日、野茂英雄がデビルレイズから戦力外通告を受けた。先月15日のブルワーズ戦で日米通算200勝を達成したものの、今季はこれまで5勝8敗、防御率7・24と成績は最悪に近い。さらにチームの財政難もあって、解雇に至ってしまったようだ。
日本人大リーガーのパイオニアとして、さらにその真摯(し)なプレーに何度も感銘を受けてきた日本人の1人として、この解雇は何ともやりきれないものがある。
そんな中、先発陣崩壊に苦しむヤンキースが野茂を獲得するのでは、とちょっと期待したくなる報道が出ているようだ。実際、これまでの実績などを考えれば、可能性は十分にあるように感じられる。
では、ニューヨークの地元メディアはこれらの件について、どんなふうに報道しているだろうか。主要地元紙をチェックしてみた。
まず、98年にはメッツに在籍していた野茂の戦力外通告についてだが、この件を単独記事として伝えたのはニューズデー(ウェブ版)のみ。しかもAP通信社の配信した記事をそのまま載せただけである。かつては全米から注目された野茂の動向が、ほとんど無視といった状況なのだ。あくまで現在の地元優先とはいえ、寂しさを感じずにはいられなかった。
では、ヤンキース入りの可能性についてはどうだろうか。これについてはニューヨークタイムズとデイリーニューズが通告翌日の17日付記事で触れている。
ニューヨークタイムズは、ヤンキースがその前日にマーリンズから獲得したアル・ライター投手について書いた記事の最後の部分。先発陣のコマが依然として足りない状況を指摘した上で「デビルレイズが土曜にベテランのヒデオ・ノモを戦力外通告した。しかしヤンキースは彼を追いかけそうにない」としている。
デイリーニューズも似ており、やはり先発陣が定まっていない、という記事で「タンパベイのヒデオ・ノモが昨日戦力外通告を受けた。しかしヤンクスは先発のスポットを探すことになりそうだ」としている。
つまり、両紙ともヤンキースはすぐには野茂獲得に乗り出さないだろうと見ているのだ。そしてニューヨークポストとニューズデーはこの件について一言も触れていないのである。また、17日以降、20日まで野茂の名が出た新聞はなかった。
こうしてしてみると、野茂がピンストライプのユニホームを着る可能性は現時点では低い、というのが現実のようだ。
ただトレード期限は7月31日であり、ドラスティックに状況が変化するMLBにおいては今後どんなふうにトレード市場が展開していくかも分からない。土壇場で大逆転、があっても不思議ではないのである。
チームはどこであれ、MLBの大舞台で野茂の力強いピッチングを再び見られる日が1日も早く訪れることを祈りたい。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
July 21, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)
2005年07月14日
ピアザ、最後の球宴か
12日にデトロイトで開催されたオールスターゲームは、ア・リーグが7-5でナ・リーグを破った。豪快な本塁打を放ち、守備でもファインプレーを見せたオリオールズのミゲル・テハダ内野手がMVPを獲得したほか、日本人で唯一選ばれたマリナーズのイチロー外野手が2点適時打の活躍を見せたのは既にご存じのことと思う。ニューヨークの地元メディアも、この球宴について詳しく報じた。
そんな中で、新聞各紙がちょっと感傷的に伝えていたトピックがあった。ナ・リーグの捕手として出場したメッツのマイク・ピアザについてである。
ピアザは今回球宴12回目の出場となったが、これが最後のオールスターになるだろう、というものだ。
今年37歳になるピアザとメッツの7年間総額9100万ドルの契約は今年で切れるが、来年以降現役を続行するか、彼は明確にしていない。また、今回ファン投票で199万票あまりを集めて選出されたが、シーズン前半の成績は打率2割6分、本塁打9本と、決してオールスター級とは呼べないものだった。
こうしたことから各メディアが注目したというわけである。
ニューヨークポストなどによると、ピアザは5回に交代した後、この件について聞かれ、やはり来季以降のプレーについては明確にしなかったものの、「(フィールドへの)トンネルに入る直前、周りを見回したら、少しだけ感傷的になった」と明かしたという。さらに「自分がどれだけ幸運だったか分からない。これが最後になるなら、それでもいい。そうならないことを願ってるけどね。でもそうしたことすべてに納得しているし、楽しかった」と語っている。
またニューヨークポストによれば、ピアザは長年のライバルであるロジャー・クレメンス投手とバッテリーを組むことを望んでいたのだとか。残念ながら、交代によってこれは実現しなかった。
と、各記事を読むとやはりピアザは今季で引退か、と思ってしまう。だが、実際どうなるかは分からない。最近のMLBは、40代の選手が多数活躍しており、元“野茂の女房役”として日本でも知られるピアザの復調と長い現役生活を望みたいところだ。
きらびやかさが印象的なオールスターゲーム。出場選手たちはそれぞれ違った思いを抱きつつ、その舞台に上り、華麗なプレーを披露してくれたのである。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
July 14, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)
2005年07月08日
松井、ジーター落選の裏側
12日にデトロイトで開催されるオールスター戦出場選手のうちア、ナ両リーグ(各32人)最後の1人を選ぶ最終ファン投票の結果が6日、発表された。ア・リーグで選ばれたのは、ホワイトソックスの1番打者、スコット・ポドセドニク外野手で、ヤンキースの松井秀喜外野手は残念ながら出場はならなかった。
最終投票は、ファン投票や監督推薦などから漏れた両リーグ各5選手を候補とし、MLBの公式ホームページなどで行われた3日間の投票で争われた。ア・リーグで候補になっていたのは、ポドセドニク、松井、ヤンキースのデレク・ジーター内野手、ツインズのトリー・ハンター外野手、デビルレイズのカール・クロフォード外野手の5人。
5日に発表された途中結果では1位がジーター、2位ポドセドニク、4位松井となっており、ニューヨークではこれまでの実績、知名度からジーターが選出されるだろうとみんな、思っていたようだ。それがポドセドニクの奪取という最終結果となり、地元各紙は7日付の新聞で“ジーター、松井の落選”を伝えている。
そこで面白かったのが、投票へのプロモーションに関する指摘。デーリーニューズによると、ホワイトソックスはマーク・バーリー投手が月曜の試合で観客にポドセドニクへの投票を訴え、オジー・ギーエン監督の息子が“スコットに投票を”というプラカードを掲げ、さらにはポドセドニク自身が90分間にわたってサインをし続けたのだとか。本人だけでなくチームを挙げての活動が、見事“当選”に結びついたというわけだ。
これに対し、ヤンキースはそれほど熱心なプロモーションを行わなかったようである。ただニューヨークポストなどは、MLBがオールスター戦のテレビ広告でジーターを起用しており、ジーターのオールスター出場を期待していたようだ、と報じている。
さらにデーリーニューズには、松井を応援する日本人ファンが、ジーターを含め多くの選手に投票することが期待されていたものの、今回はそれが過大な期待だった、という記述も。ニューヨークの記者にしてみると、今回の日本からの投票状況は不満に映ったようだ。
いずれにせよ、これで松井のMLB3年連続、日本から数えると12年連続の球宴出場はなくなった。かなり残念ではあるが、本人も「だれでも休みたいでしょう」と語っていたように、いい休息期間となるに違いない。ぜひゆっくり休んでもらって、シーズン後半へとつなげてもらいたいものだ。
【ジャーナリスト 渡辺 史敏】
July 8, 2005 07:00 AM | トラックバック (0)
